心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
恩師の俳句[5]& 8月の短歌
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 先月末、S先生から電話があり、新作の俳句を頂きました。夏雲の写真と合わせてアップします。
S先生はパソコンをされないので、掲載時のブログのコピーを送らせてもらっているのですが、コメントにそれぞれの個性が出ていて、みんなの顔が見えるようで、とても嬉しいと言われていました。昔のままのお元気な声で、私も毎回S先生からの電話を楽しみにしています。
偶然のつながりの多い「亀」ですが、犬塚さん(ブログ「映写室」)の記事が載ったN新聞の代表と、S先生ご夫妻はとても仲良しだそうで、「僕も偶然つながったよ。」と、喜ばれていました。

ベッドより見る夏雲の広がりぬ 

「子規の『病床六尺』というわけにはいかないけど、僕も一日のほとんどをベッドで過ごすから、季節の移り変わりは、そこから見るんよ。」と言われていました。
どこにいても、見る気のある人には見える、見る気のない人には見えない。どんなことだって、そうなんだと思いました。


梅雨永(つゆなが)やショパンの曲のすぐ終はる

「ここのショパンの曲は『別れの曲』で、ラジオ深夜便でかかっていたもの。2:00~3:00はクラシック、3:00~4:00は現代の曲が流れる。」そうです。
眠れぬままに聴く「ラジオ深夜便」。比較的年配の方に、熱心なファンが多いと聞きます。


良きたよりありさうな花木槿(むくげ)かな

S先生のお隣の家の木槿は、ピンクの花をつけるそうです。優しい色合いの花が咲くと、心がほわっとして、何かいいことが起こりそうな気持ちになりますよね。「良い便り」が届くと、心の中に、しばらく幸せな時間が続きます。「花=便り」、「便り=花」と言えるかも知れません。


螢飛ぶ生家(せいか)は遠し過ぎし日も

先生の生家は、大洲にあって、山の方に200~300m入ったところだそうです。家の奥の谷川には蜷(にな)が多く、螢が家の中だけでなく蚊帳の中にまで入ってきたこと、魚釣りに興じたことなど、楽しく懐かしい思い出を語ってくださいました。
同じように、田舎の川で魚釣りをし、泳ぎ、捕まえた螢を家に放ち…という子ども時代を送った私は、この句にぽろぽろ涙がこぼれました。遠いのです、空間も時間も。


華やぎて淋しき市(いち)の金魚買ふ

「初めて松山に来たとき、夜市で買った金魚を、20年も飼っていたんだけど、死んでしまったんよ。」…20年もお世話をしていたら、愛着もひとしおで、喪失感も大きいことでしょう。
「華やぎて淋しき」には、夜市の雰囲気だけでなく、時の流れも重ねられている気がします。

005070811.jpg 【ベランダの南京ハゼ】

 
 暑さの厳しかった8月ももうすぐ終わります。皆さんにとって、8月はどんな月でしたか?
私にとって8月は、海や山、川の自然の中で元気に過ごす元気な月であるとともに、お盆、お墓参り、帰省、広島・長崎の原爆記念日、終戦記念日と、亡き人たちを偲び、平和を祈る月でもあります。

そんな思いを述べた歌の一つを、短歌結社誌「塔」8月号よりご紹介します。

原爆忌と原爆忌の間(あい)ちひろ忌はあり いつまでも透明な眼差し 小川和恵

senkanonakanokodomotati.jpg  【『戦火のなかの子どもたち』表紙】

いわさきちひろさんの柔らかいタッチの絵は、見る人を優しい気持ちにさせてくれますが、子どもたちの眼差しは、真実を見極めようと澄んでいます。私は、彼女の絵本『戦火のなかの子どもたち』の子どもたちの、厳しく鋭い目が忘れられません。それは、「大人たちは、一体何をしているの?」と、責め問うているようです。
第二次世界大戦を体験したいわさきちひろさんは、戦場にいる子どもたちのことをいつも思っていたそうです。いつまでたっても平和にならない世界で、心身ともに傷ついている子どもたちの目は、今、何を見つめているでしょうか?

034070811.jpg 【家の近くの道路沿いに咲くカンナ】

亡き人を思う気持ちを詠んだ拙歌を載せますので、読んでみて下さい。

八月は逝きし人らを思ふ月 赤きカンナの続く道の辺  大空の亀

赤いカンナは、元気で情熱的な花、お墓によく植えられている毒々しい花、私の中には両方のイメージがあります。ふつう、夏の花というと、向日葵や朝顔、百日紅や夾竹桃が浮かびますが、赤いカンナも、8月というと思い出す花の一つです。

036070811.jpg  【近くの公園に咲く百日紅】

次の二首は、この夏亡くなった同級生の訃報を受けて、詠んだ歌です。

くもの糸一筋空に光る朝 友の死知らすメール届きぬ

同窓の友また一人亡くなりて蜘蛛の巣ひとつ壊せずにゐる


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テーマ:俳句 - ジャンル:小説・文学

あんなことこんなこと-野球の話題&ライブの感想
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昨夕から今朝まで、激しい雷雨が続き、故障が怖く、パソコンにさわれませんでした。

夏の甲子園、やはり今年もドラマがありましたね。佐賀北高校の“逆転満塁アーチ”!公立高校の優勝は、96年の松山商以来だそうです。特待生問題などのある中、地元の生徒で、予算も優遇されないチームの優勝というのは、高校野球の原点を見るようで、いっそう嬉しく感じます。

ところで、高校野球もですが、阪神も、一昨日は桧山の“逆転満塁HR”!二日連続、劇的なホームランを見ることができるなんて思いもしませんでした。
今年の阪神は、オールスター以降、絶好調!(調子いいなんて書くと、いつも裏切られるのですが、今回は若手が活躍しているし、大丈夫!かな?…)今年は、オールスターに藤川投手(2日目は雨で出番なし)以外選ばれなかったのが、前半戦の疲れを取るのに、幸いしたのではないかと勝手に思っています。

「塔」誌8月号に、阪神ファンならニヤッとしてしまいそうな歌がありました。(写真の下の大きな字の歌です。)
[ 読売新聞8月21日夕刊「師あり弟あり」に、短歌結社「塔」の特集がありました。
ネットでも見られます。http://osaka.yomiuri.co.jp/shitei/te70821a.htm ]

038070811.jpg   【阪神球団マスコットのトラッキー   下の歌の作者は永田 淳さん】

「お父さんはなんで阪神ファンなん?」「生まれる前からやで、お前もそやろ」
このような会話が、もしかしたら代々続いているお家もあるかもしれませんね。
私は、どの選手も好きなのですが、シーツがバッターボックスに立って腰を振るたびに、我が家の愛猫ハオがネズミ(おもちゃ)を狙って腰を振る様と重なり、笑ってしまいます。
藤川球児の靴やグラブ、帽子がアップになるたび、そこに書かれている座右の銘が気になります。「本塁打厳禁」と「細心而剛胆」は知っているのですが、他にもあるのでしょうか?
勝った日のスポーツニュースのはしごが、一日を幸せに締めくくってくれる今日この頃です。

バナナホールのライブ
8月16日のライブは、いつもよりお客さんが多く(20代~80代?の年齢層で50人~70人ぐらい?)、出演者もみんな個性的で上手くて、とても満足しました。写真とあわせて簡単に紹介します。少し遅れていったので、最初の二人、基大介(龍想)さんと長井ゆみさんのは、残念ながら聞けませんでした。(ごめんなさい…)

hutarinori070816.jpg  【ふたり乗り(Tsubasa&Sora)女性デュオ】
マンドリンとベースギターという不思議な組み合わせの女性二人組です。
音楽センス&リズム感がよく、演奏も歌も上手くて、ヒットしそうな予感がします。

yoshimoto070816.jpg  【良元優作(よしもとゆうさく)シンガーソングライター】
ギターの抱え方が独特で、生活感のある上手な歌で、素朴な印象です。
『満月の手紙』は、故・中島らもさん晩年の愛聴歌だったそうで、雰囲気がありました。

oshiba070816.jpg  【大柴広己(おおしばひろき)シンガーソングライター】
ギターテクニックが素晴らしくて、歌声も伸びやかで迫力がありました。
『虹色』は、テレビ番組ソングとしても採用されているそうで、実力派だなと思いました。

aokitakuto070816.jpg  【青木拓人(あおきたくと)シンガーソングライター】
例によって脱力系で、今回はスナフキンのような帽子を被っての登場。
大柴さんから譲り受けたギターでやったR&Bのカバー曲(追記:ゴスペルの『People get ready』だそうです。)が、今回は一番気に入りました。オリジナルは、2曲目と5曲目の歌詞が詩的でよかったです。
声を生かした、さらなる精進&頑張りを期待しています。

bananatenugui00.jpg  【バナナホールの25周年記念手ぬぐい】
'80、'90、2000年のスケジュールを印刷した手ぬぐい3種、青木拓人が首に巻いて「300円!汗をよく吸います。」と宣伝していたので、1つ買ったのですが、中に、今とても人気のある実力派「コブクロ」の名前を見つけました。
前売り(予約)1500円+飲食チケット1000円でお店に入るのですが、食べ物がおいしくて安いのが、嬉しいです。サラダ付きイカ&たらこのスパゲティ600円、サラダ付きオムライス700円など…、特に300円のポテトは、毎回食べるお気に入りです。行けなくなるのは寂しいから、裁判勝って欲しいなあ☆


テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

猫日記「好(hao3)の日々」第26回
023070818tyou.jpg       【ベランダで羽化した蝶と、窓越しに狙うハオ-夜間撮影】
【 別名 ; 「ジャングル探偵 ・ ハオ」~吼えろ!ベランダで! by KANEGON 】

 8月18日(土)
暑いですねえ。母さんの友達は熱中症になったり夏バテしたりで大変ですが、皆さんは大丈夫ですか?
無理をしないで、体に気をつけて下さいね。

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 ところで、この猛暑を、「毛皮のある身として、いかに過ごすか。」最大の問題に、私ハオが取った対策は、以下の3つです。
1 シャワーをする。行水のようにさっと浴び、タオルでごしごし拭いてもらう。これは相当な快感で、夏の日課となりました。
2 冷え冷えシートの上で過ごす。フローリングが、体温ですぐ温もるのに比べ、ひんやり度が長持ちするのがありがたいです。
3 床につける面積を減らす。足を上げたり、壁にお腹を当てたり…。もちろん、家の中の一番涼しい所で寝転がります。
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                      【右端の写真は、ベランダのガジュマルにとまっているクマゼミ】

 黙っていても願いが叶う、ハオのおねだりポーズをお教えします。皆さんもやってみたらいかがですか?結構効果的ですよ。
方法は一つ。「ブログ右上のプロフィールにある写真のポーズ(正座?)で、母さんの顔をじっと見つめる。」です。
1 ご飯が欲しいときは、空のお皿の前で、このポーズ。
2 シャワーをして欲しいときは、お風呂場の床で、このポーズ。
3 外に出して欲しいときは、網戸の前で、このポーズ。
母さんは、「ちょっとぐらいミャーと鳴いたら。」と言うのですが、黙っててもしてくれるんだもん。夏バテしないよう、省エネ、省エネ。

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 中国語仲間G さん宅のショコラちゃん(フェレット)は、副腎が悪く、全身の毛が抜けていたそうですが、F先生の適切な診断と治療で、無事回復し、またふさふさしてきましたとのこと。よかったですね。白い方は、シナモンちゃんです。前に紹介したときより、大きくなったかな?

 今回の中国語のレッスンは、「飲料(yin3 liao4)」です。みなさん、夏には水分をしっかり取って下さいね。

「我想喝(wo3 xiang3 he1) ○○。」=私は○○が飲みたいです。○○には、下の飲み物を、どうぞ。

「鉱泉水(kuang4 quan2 shui3)」=ミネラルウォーター、 「蘚打水(su1 da2 shui3)」=ソーダ水、 
「氷水(bing1 shui3)」=お冷や、 「ロ卑酒(pi2 jiu3)」=ビール、「生ロ卑酒(sheng1 pi2 jiu3)」=生ビール、
「可口可楽(ke3 kou3 ke3 le4)」=コカコーラ、 「百事可楽(bai3 shi1 ke3 le4)」=ペプシコーラ、
「湯(tang1)」=スープ、 「熱水(re4 shui3)」=お湯、
「珈琲(ka1 fei1)」=コーヒー、 「紅茶(hong2 cha2)」=紅茶


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【う~ん、もう、どうにかしてよ、この暑さ…】

テーマ:猫のいる生活 - ジャンル:ペット

手作りが好き!-和風の小物(食卓編)
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 ランチョンマットを作るのが好きです。理由は、平面でまっすぐ縫えばいいだけなので、簡単にできるから…。その割に、色あわせや不要になったリボンなど、自由に組み合わせる楽しみがあります。
たくさん作ったのですが、洋風のはどれも、日常的に使うため汚れがあって、ここでお見せするには残念ながら耐えられない状態です。
ここに載せたのは、汚れ具合がまだましな、和の古布(端切れ)で作ったランチョンマットです。いつもは、ミシンで一気に縫うのですが、これは布の風合いが心地よかったので、テレビを見ながら、手でちくちく縫いました。


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お湯のみの下に敷いているのは、義姉の作ってくれた布製のコースターです。義姉は、手先がとても器用で、細かい作業も丁寧にいとわずやるので、売り物になる出来具合です。紺色の舟形のコースターは、折り紙細工のような面白さです。写真真ん中は、表と裏から撮ったものです。


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袋に入っている花形のコースターセットは、兄夫婦が田舎暮らしを始めたとき、ご近所への挨拶回りに配ったのと同じものです。手のかかるものを、何軒分も作るところに、義姉の細やかな心遣いを感じます。とても可愛くて、使いやすいコースターです。
義姉は、この夏、大きな手術をして、闘病中ですが、早く元気になって、また素敵な作品を見せて欲しい&教えて欲しい&作って欲しいと思っている、甘えん坊の義妹です。

テーマ:こんなの作りました♪ - ジャンル:趣味・実用

季節の詩歌(4)~素足は語る~
070808hikone.jpg  【彦根城のお濠】 

 先月下旬、高校からの友人Eちゃんの運転で「彦根キャッスルロード」と「醒ヶ井宿」に行きました。
写真はすべて、その時のものです。
彦根では、お城手前の「招福本舗」という猫をテーマにしたお店で盛り上がり、「たねや」では湖東焼きの展示を運良く無料で、しかも丁寧な解説付きで見せて頂きました。
醒ヶ井では、JR駅前の冷たくおいしい湧き水(1000mを超す雲仙山から流れてきている江戸時代の水だそうです!)に感激しました。有名な梅花藻は、6月~9月の水量の少ない時期が見頃だそうです。

070808samei.jpg  070808nouzenkazura.jpg 【醒ヶ井宿の澄んだ流れ。民家の凌霄花(のうぜんかずら)】 

 川の写真と関係があるので、俳句結社誌「空」の夏号に載せてもらった私の文章を転載します。
よろしかったら、読んでみてください。

季節の詩歌(4)~素足は語る~
                   
夏河を越すうれしさよ手に草履        与謝蕪村
暑い季節、澄んだ川を前にすると、私は、すぐに素足になり、ザブザブと水の中に入っていってしまう。素足に触れる水の流れや冷たさが心地よく、子供の頃に戻ったようで、気分が浮き浮きしてくる。この句を読んだとき、自分と同じ遊び心がうれしく、草履を片手に、にこにこしながら浅い小川を渡っている蕪村の姿や、周りの自然の様子が鮮やかに浮かび上がった。夏になると、真っ先に思い出す句である。また、この句の後に続けたいのが、次の、江戸時代の俳人の句である。素足が喜んでいる。
水ふんで草で足ふく夏野哉          小西来山

次にあげるのは、私の大好きな一首で、季節は異なるが、蕪村の「夏河を」の句を思うとき、必ず同時に浮かんでくる歌である。
絵日傘をかなたの岸の草になげわたる小川よ春の水ぬるき  与謝野晶子
蕪村の句と同じ遊び心に、絵日傘の女性らしい華やかさと、春の優しい季節感が加わり、美しい映像を見るようだ。当時の因習に、果敢に向かっていった晶子の強い性格と行動力が、「なげわたる」という一語によく表れていると思う。

 冒頭の句に詠まれている川は、蕪村が幼時に過ごした与謝地方にある小川だという。この句の楽しげな雰囲気は、母親の故郷でもある、懐かしい土地に居る心安さから来ているのかも知れない。小学唱歌「故郷」の「兎追ひしかの山 小鮒釣りしかの川」にあるように、川は故郷の匂いを伴う気がする。
「夏の思い出」という歌で有名な江間章子に、「水と風」と題した、次のような詩があるので、一部引用してみよう。
私が好きな水のにおい / ふるさとの村を / 
たてとよこにながれている / 小さな川の水のにおい / 


長田弘の次の詩ではないが、誰もが心の中だけでなく、現実にも自分だけの川を持っていた時代があるのではないかと思う。
誰もが心のうちに、じぶんだけの川をもっているのだと思う。
川を見つめるとき、ひとは流れを見つめているのではなく、じぶんの心の中を見つめている。
そうして、川の色に、自分の心の色を見ている。 
  (「それぞれの心の中の川」より一部引用)

少年期しろき細脛ゆらゆらと筏遊びの泥の河縁            小高 賢
目を閉ぢて川中に立つわが素足しづかに夏の流れを乱す      坂井修一
縁側にあそびがへりの足あらふ母の雑巾こちょぼったさよ      佐藤通雅

 こんな豊かな経験があるから、次のような句が詠め、また、読む側の私も、幸せな手足の感覚を思い出すのではないだろうか。
帰省して手足を川に浸しをり          阿部静夫
故郷の家に着き、荷を置いてまっさきにすることは何だろう。
身辺に母がちらちらして涼し帰省の折の母の温かさ      福永耕二
おふくろの国に来てゐる端居かな      上田五千石
故郷のもてなし素足になれといふ      柴田佐知子

お茶よりも何よりも、私は旅装を解き、右(上)の句のように素足になり、心身共に身軽になろうとするのではないだろうか。自分の身にまとっていたものからの解放感は、単に体だけではなく、心も存分に伸び伸びさせてくれる。素のままの自分でいられる気持ちよさ、故郷や身内に身も心も委ねられる安心感、自然を前にしての開放感。そんな思いを、素足が象徴している気がする。縁側で涼むとき、子供のころ遊んだ懐かしい川に出かけるとき、足は、すべての幸福感の表れとして、素足でなければならない。

 しかし、次のような歌を並べ、順番に読んでいくうちに、先に述べた気持ちが揺らぎ、素足は、心細く寂しいものなのかもしれないという感じがしてきた。
空地にはブランコ二つ子供ふたり素足に草を蹴りつつゆらす        花山多佳子
素足というのは、人間の原初に戻れる快感がある。川や草地など、自然を相手にしての素足が心地いいのはそのせいだろう。守ってくれる人がいるという安心感が、子供たちを素足にさせているとも思う。先ほどの俳句で、故郷と素足が優しく結び付くことができたのは、子供に戻れる「帰省」という状況だからかもしれない。
夏の素足はかなく垂らして遊びたり永遠におほきな椅子と信じて      米川千嘉子
永遠に大きな椅子は、保護者でもあり、豊かな自然でもあるのだろう。それが失われた今、素足でいることは危険なのである。

ひとりゐの素足の指をいろいろに動かしてみる夏のゆふぐれ         石川仁木
親から独立し一人で生きていく身になったときの、若者の孤独や不安。それらとどう付き合っていくのか、彼の自由とかすかな焦燥感が、足の指を見つめさせているのだろう。

七月の夜に思ひ出づミシン踏む母の足白く水漕ぐごときを          栗木京子
夏の歌なのに、ひんやりとした感じが漂うのは、ミシンの脚が冷たかったのを、私が覚えているせいか。白い足であること、水を漕ぐようであるという比喩、すべてに涼感がある。

夏過ぎてこの世に財を残さざる父の素足のいよいよ白し           佐伯裕子
勤め人の足か、病人の足か、素足で夏を過ごすことのなかった人の足は、恐ろしく白い。素足の白さが、はかなく頼りなげで、何とも悲しい歌である。足が、その人の人生を語っている。

最後にもう一度、夏の川に戻り、素足を浸けてみよう。
夏川の美しき村又訪はん      高野素十
カヌーイストの野田知佑が、日本には自然の川が残っていないと嘆いているが、それでも彼は、川ガキ養成講座「川の学校」を吉野川で開いている。川と素足は、日本の未来を拓くカギだと思う。


追記:これが冊子になったあと、次のような歌を見つけましたので、付け加えます。
制服のスカート上げて河の中ゆく少女らは楽符のごとし           花山多佳子
与謝野晶子の歌の隣に並べたい。高校の時、故郷の肱川をまさにこの歌のように、Eちゃんと渡ろうとしたことを思い出しました。
素手、素足、傷つきやすき〈素〉と思う誰にも逢わぬ独り居の今日      松平盟子
今回のテーマ(素足)のためにあるような歌で、石川仁木の歌に続けて読みたい作品です。

070808baikamo.jpg  【「醒ヶ井宿」の梅花藻。初め「さめがいしゅく」と打ったら、なんと!「鮫が萎縮」と出ました。】


テーマ:俳句 - ジャンル:小説・文学

あんなことこんなこと-「大阪市内あちこち」お出かけ
この夏出かけた&出かける「大阪市内のあちこち」をご紹介します。

☆サントリーミュージアム(地下鉄「大阪港」駅)

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ここは、海浜にあるので、周辺を散策すると、少しだけ潮の香りが漂います。向かいには巨大水槽のある「海遊館」、船で対岸に渡ると「USJ」があるため、外国からの観光客も目立ちます。

ディズニー・アート展〈7月14日~9月2日〉
デッサン、原画、背景画、どれも緻密で美しく、才能豊かな人たちが大勢関わって作り上げたディズニーアニメの原点に触れることが出来ました。特に今回メインだった『眠れるの森の美女』の作品群は素晴らしく、映像によるスタッフの紹介も優れていました。アニメになる前の段階で、すでに最高の芸術品になっていました。
この展覧会は、2005年冬に千葉大学で発見された、ディズニー映画の原画など250点(1960年に日本を巡回した「動画芸術 ウォルト・ディズニー展」のもの)に、秘蔵のコレクションを加え、ディズニー史上最大規模のアニメーション美術展とのことです。ディズニーファンでなくても、一見の価値ありだと思いました。

3D『ブルーオアシスⅡ』 〈IMAXシアター〉
滅多に来ないところなので、同じくサントリーミュージアムでやっている、立体映像を見てきました。立体的に見える眼鏡をかけて見るのですが、これが、ホントにすごい!実際に海に潜っているよりも迫力があり、思わず目の前の魚をつかもうとしたほどでした。珊瑚礁に生きる生き物たちについて、いっぱい知ることが出来ました。何でも「本物が一番!」と思っていましたが、「侮るなかれ!」の一日でした。


☆シネ・ヌーヴォ(地下鉄「九条駅」)

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駅からすぐの懐かしい感じのアーケード商店街に入ると、まず果物屋さんの巨大西瓜が気になります。すぐ右折、すぐ左折、すぐ右折で、目的地の映画館へ。建物の壁に大きい薔薇のオブジェがあり、なかなか面白そうな雰囲気です。先着順の紙を受け取り、小さなロビーで、雑誌やパンフレットなどを見るのも、いい感じで、壁には一面、「新藤兼人」「大森一樹」など映画関係者のサインがあるのも楽しいです。館内は、座席は70席と小さいのですが、天井からオブジェが下がり、壁面の絵も、普通の映画館と違って、芸術的な空気を醸し出しています。怪しげで、気に入りました。

河瀬直美監督 『殯(もがり)の森』
第60回カンヌ映画祭グランプリ受賞作品。奈良の自然を背景に、妻を亡くして認知症の「しげき」と、事故で幼い子を失った新任介護士「真千子」との心のつながりを描いたもの。私は「こうしゃな(せな)あかんてことはないから」という先輩介護士の言葉が、一番心に残りました。

ミッシェル・オスロ監督 『アズールとアスマール』
『殯(もがり)の森』を見たとき、予告編で見たこの映画の映像が、あまりに美しかったので、遠路?(自然の少ない大阪市内は苦手なので…)再び出掛けました。
夏にはいつもジブリの作品を楽しみにしているのに、今年は無いようで残念だなと思っていたのですが、ジブリ提供のフランスのアニメであるこの作品は、最高に素敵なアニメ映画でした。アラビアとフランスという、異なる文化圏・人種をきちんと描きつつ、素晴らしい冒険譚にもなっており、中でも可愛く聡明なシャムスサバ姫にはわくわくしました。もちろん主人公の青い瞳のアズールと黒い瞳のアスマールも魅力的ですが、ため息が出るほどの美しく洒落た画面は、超オススメです。


☆第19回なにわ淀川花火大会 (阪急「十三」駅)

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今年は見るのに専念したため、これはもらったパンフレットの写真です。
8月4日、恒例の花火大会に、手作りのお弁当と読書用の本を持って、出掛けてきました。もちろん無料で見ることは出来るのですが、我が家のお気に入りは、2000円の指定席です。水辺で迫力のある花火を見ることが出来ます。昨年までの「平成淀川花火大会」を「なにわ淀川花火大会」の改名し、さらにグレードアップし、新作も多い今年の花火大会でした。「おおーっ」という歓声や拍手が嬉しいですね。
追記:花火は2万発、人出は51万人だったということです。ゴミは相変わらずの多さで、あんなにきれいなものを見せてもらった後に、平気でゴミを捨てていく人の気が知れません。残念です…。


☆バナナホール(詳細は、右リンク先よりお入り下さい。)

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『Traveling Basket』ふたり乗り / 良元優作 / 青木拓人 /長井ゆみ / 基大介(from龍想)
応援している青木拓人が、8月16日(木)バナナホールで歌います。
お時間と金銭的に余裕のある方、よろしければ聴いてやって下さい。
追記:出番が決まりました。今回は最後で、21:30~です。

皆さんにも応援いただいたバナナホールと、イーディーコントライブ株式会社(現;株式会社YAMATO)が係争中だった裁判の判決が、8月31日に出るそうです。

テーマ:大阪 - ジャンル:地域情報



プロフィール

大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !



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