心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-超オススメです!
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      【大都会のど真ん中に…物語の舞台になりそうなとってもステキな花屋さん】

超オススメ!の本

 yorutokiri.jpg 『夜と霧 新版』  

 名著だと若い時から聞いていたけれど、ナチス強制収容所体験記なので、生々しくて辛くて読めないのではないかと、避けていました。ところが、大好きな小説『神様のカルテ2』の中に、やる気のなかった大学生が『夜と霧』を読んで、人生観が変わり大変身するという場面があり、早速『夜と霧 新版』を買いました。
ページ数もそんなに多くなく、訳も読みやすく、心配していた生々しさは、ほとんど気にならず、深く感動しながら一気に読んでしまいました。今までたくさんの本を読んできたけれど、1冊だけ推薦してと言われたら、迷わずこの本を挙げると言い切れるほど素晴らしい本でした。すべての人に読んで欲しい本です!

ヴィクトール・E・フランクル著/池田香代子訳『夜と霧 新版』 (みすず書房/2002年/1575円)

ナチス強制収容所での体験を、ユダヤ人精神分析学者が冷静につづったこの本は、既に1956年に出版されていて、古典として読み継がれていますが、古さを全く感じさせません。それは、単なる体験談ではなく、随所に人間の本質に迫る深い思索と感動があるからです。特に後半部の文章には、魂の震えを覚えました。


kamisamanokarrute2.jpg 『神様のカルテ2』

夏川草介著『神様のカルテ2』(小学館/2010年/1470円)

 前作と同様、夏目漱石を敬愛する内科医栗原一止が主人公。写真家の妻・ハル、信州の「24時間、365日対応」の本庄病院で働くスタッフ、下宿先「御嶽荘」の住人たちに、今回は新赴任の同窓生が加わる。自分の時間も体も家族も犠牲にしながら、「医者の良心」を貫く彼らの姿勢に、今回もまた心打たれると同時に、「医師である前に人間である」彼らのまともな生活を願わずにはいられませんでした。
こう書くと、とても辛く暗い話のようですが、ユーモアもあり、表現もうまく、とても楽しめる本です。現役のお医者さんでもある著者の、現代医療のあり方に対する憤りと、人間としての立派さを感じます。『夜と霧』を読んで人間が変わった本書の中の大学生は、若き日の著者なのかもしれません。


気楽に読めるけど、気持ちがよく書けている本

ティーンエイジャー向きと思って読まずに来ましたが、ちょっと読み始めたらはまりました。
石井睦美さん、この作者、上手いです!

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 まず読んだのが『キャベツ』 (講談社/2007年/1300円)

父親が亡くなり初めて働きに出ることになった母親と、兄妹の物語。料理を担当する兄の言動が、今、料理が楽しい私のツボにはまったようです。ちょっと空想癖のあるところも気に入り、とても面白く読めました。本当は大変な状況なのだから暗くも書けるのですが、明るく爽やかな話に仕上がっていて、でも決して上っ滑りではなく、言葉にしにくい想いをなんとか表したいという作者の感性が、心地よかったです。
P202
生きているあいだは、そのどの地点にもからだを置いていくことができなくて、ひとはじぶんのからだをひきずりながら生きていくしかないのだ。だけどひとは、その人の残像のようなものを、ところどころ残していく。


 『卵と小麦粉それからマドレーヌ』 (ピュアフル文庫/2006年/540円)

 『群青の空に薄荷の匂い 焼菓子の後に』 (ピュアフル文庫/2007年/540円)

中学生になった菜穂と同級生の亜矢が主人公の青春小説。二冊目は、その三年後。
作者は1957年生まれで、そんなに私と年が違わないのに、ちゃんと現代の家庭環境や世間の流行も取り入れてあって、今の若者が読みやすい話になっている。でも、作者より年上の私も、自分が中学・高校生だった頃の気持ちを思いだして、感情移入しながら読めました。
P19
ひっかかっているのは気持ちなのに、言葉が喉にひっかかるのは、言葉が気持ちだからだろうか。

巻末の解説を、10代の文学で定評のある今江祥智氏、金原瑞人氏が書いているので、少し引用します。

今江氏~子供のころの「地平線の向こうに消えて(レイ・ブラッドベリの言葉)」いったものを、もう一度呼び戻し、本のページに定着するということ、物語にとけこませて目の前に再現してみせるということ、それが「子供の文学」の持札の一枚のように、私には思われます。石井睦美さんは、そうした持札の使い方が、なかなかの書き手です。読者のあなたが十二歳なら十二歳なりに、二十歳なら二十歳なりに見えてくるものが埋めこんである。

金原氏~うまいなあと思った。はらはらどきどきするような場面はほとんどなくて、事件が起こりそうになっても、大事になるまえに解決していく…そんななかで、細かい心の動きがたんねんに、菜穂の素直な言葉でつづられていく。
二つの作品をあわせて読んだとき、この作者はなんてうまいんだろうとあらためて驚いた。二つの作品から響いてくる菜穂と亜矢の言葉が、微妙に、しかしはっきりと、そして美しく描き分けられている。さらに、そこにはふたりの性格や感性や境遇のちがいだけでなく、中学校から高校という数年の変化までが細かく写し取られているのだ。


3月1日追加  石井睦美著『兄妹パズル』 (ポプラ社/2010年/1500円)

高校生の亜実、兄二人と両親、五人の家族の物語。同級生とのやりとりが、自分の懐かしい時代を思い出させる。軽く書いているけど、温かいものが残る。

 おまけ

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久しぶりに映画を見に行きました。

『愛する人』
切なく哀しい映画でしたが、三人の素晴らしい女優さん(ナオミ・ワッツ/アネット・ベニング/ケリー・ワシントン)を中心に、女性陣が魅力的に描かれていました。女性が好きな監督(ロドリゴ・ガルシア 脚本も)なのだと思います。原題の『Mother & Child』が、内容にはふさわしいです。周りに人が居なければ、大泣きしていたでしょう。


 予告編を見て行きたいなと思った作品二つ。

『ダンシング・チャップリン』
周防正行監督・草刈民代のラストダンス。美しいバレエが見られます。監督の、妻への敬意と愛を感じます。

『アメイジング・グレイス』
18世紀のイギリスで奴隷制廃止を勝ち取った若き政治家と、彼を支えた名曲「アメイジング・グレイス」。実話に基づく物語だそうで、これは絶対見逃せないと思いました。

どちらも、4月以降、ロフト地下の「テアトル梅田」にて。

 すぐ隣のチャスカ茶屋町に、日本最大の本屋「MARUZEN & ジュンク堂」ができ、そばにはグルメ街やタワーレコードの入っている「NU 茶屋町」や「阪急古書のまち」などもあり、都会の苦手な私でも、ここは嬉しい一角です。最初の写真も、ここで撮りました。


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心に響く本-自選自解の句集3冊
 自選自解の句集を三冊、ご紹介します。

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細見綾子『奈良百句』 (1984年/2000円/用美社)

大学時代の同級生(国語国文学科)が、「いいよ」と勧めてくれたので、中古で購入。古い本なので手に入るか心配でしたが、「日本の古本屋」のサイトで1000円(送料別)で買えました。ちなみに、アマゾンでは6225円もしていました…。逆の場合もありますが、マイナーな本を買うときは、お勧めのサイトです。
見開きで右側に一句、左側にその句にちなんだエッセイという形式で、のんびり読むのにふさわしい本でした。中から一句、今の季節にふさわしいものを引用します。

紅梅を面(おも)映えて見し石の上(いそのかみ)            (紅梅 昭和四十八年)

神殿に登る石階の両側に対をなし、一つは淡紅色のもの、もひとつは紅梅、色が断然濃い。世にいう紅梅色とはこれを指すのであろう。あでやかでありながらつつしみ深い。 
面映ゆるごとくその紅梅を見た。春雪の霏々として降る日、神さぶる石上神宮らしい紅梅であった。
富岡鉄斎が若い日の一時期、石上神宮の神官をつとめていたそうだが、鉄斎は紅梅をいかに眺めたか、偲ばれる。
                                                     

私が大学生の頃に詠まれた句かと思うと、なんだかとても身近に感じました。


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伊丹三樹彦『写俳亭の自作案内』 (1993年/2200円/牧羊社)

拙ブログで「写俳集」を紹介したお礼にと頂きました。「自解100句選」に「写俳文60篇」を加えた、とても興味深い本です。伊丹氏と私のご縁ができるきっかけになった一句をご紹介します。

そぞろ歩(ほ)は善相(ぜんそう)ばかり 梅の花       昭和55年作 『夢見沙羅』

 播州網干には新舞子海岸があり、干潟と汐干狩で有名だった。その背後の綾部山に梅林が造成されるに及んで、いまや一目二万本といわれる綾部山梅林が新名所として喧伝されている。山は国有林だったのを、地元が払い下げを受け、梅園組合を作って、今日の姿にまで育て上げたのだ。
 偶々、梅林に詩歌碑を建てたいという話が、組合と、僕は指導に赴いている「青玄」姫路教室有志との間にまとまり、その要請で一気に作った十数句の中から選んだもの。いま一句、

 杖つくもよし どこまでも梅薫る

の句と共に大きな御影石に刻まれ、山腹の甘酒茶屋のほとりに据えられた。遠くに海景が展け、家島諸島の姿も浮かぶ。そこまでは、ずうっと緩やかな上り道で、老人用には貸杖もある。桜の花見と違って、梅見の客は、心から花を愛する人ばかり。自ら、おだやかないい顔付だ。〈善相〉に、僕の人間肯定と彼岸憧憬がある。                   


この本を頂いたのは、昨年の5月から句会に伺うようになって、何ヶ月か経った頃でした。私が、この句を引用して「空」誌に文章を書いたのは、一昨年末で、掲載されたのは2月。(拙ブログ2010年3月の季節の詩歌15~梅一輪~参照)私が、この句を知ったのは「読本・俳句歳時記」でしたので、「歩(ほ)」が「歩み」となっていました。ここに紹介した文は、まだ読んでなかったのですが、私の脳裏にはくっきりと綾部山梅林の情景が浮かび、そのことを書いたのでした。それを伊丹氏が喜んで下さり、行き来が始まりました。今、改めて『自作案内』を読み、重なる想いに、自分でも驚いています。


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自解100句選『伊丹公子集』 (1987年/1100円/牧羊社)

伊丹公子さんは、村野四郎氏に師事していた詩人でもあるので、ちょっと独特の抒情性高い句を詠まれます。この本を読んでいると、尼崎市が市制七十周年を機に、公害都市から文化都市へのイメージチェンジをはかる活動の一環として、尼崎市民の歌の作詞を依頼されたとありました。「ああ 尼崎市民家族」という歌で、作曲キダ・タロー氏、歌デューク・エイセスで発表会があり、レコードにもなったそうです。聞きたいなあ。

*参考資料-ネットで発見しました!
「尼崎の歌ザ・ベストテン」というHPに第4位で載っていました。引用します。
『ああ尼崎市民家族』1986年発表のEP盤は非売品。今は尼崎市バスの車内放送で少ししか聞けない幻の1曲に。市制70周年(昭和61年)を記念した市民の歌は「当時はイベントのたびに歌わされました」と思い出のコメントも。浪花のモーツァルトことキダタローが作曲。市バスのメロディでしか知らない若者にも聞かせたい名曲。メッセージ性も強く、市民の歌としての復活がのぞまれる。*とありました。(最初の写真の右端がEP盤ジャケット)


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永遠は掌(て)に乗るでしょうか 花梨(かりん)の庭      昭和55年作 『ドリアンの棘』

 この句も芹沢光治良先生を訪うた日に作った。永遠などという抽象名詞を使ってあるのは、それがその日の会話の極く日常的な言葉だったからである。先生の話は教条的でなく、率直で、穏やかである。そして永遠という言葉が、他所行きふうでなく使われる雰囲気をもっている。会話といっても話をされるのは多く先生のほうで、私はおききし教えていただく側である。私の話は手紙のほうが書きやすいのでそうしている。永遠についても、さらっと普通に話されたので重ねておたずねした。人間の現実の生命が終わったときも、すっかり無になるのではなく、魂が宇宙のなかにエーテルのように存在するのだというような話題であったと思う。人間の死後のことなど何ひとつ誰も知らないが、どのように思うかも各人の自由であろう。「生きているあいだ、こんなにいろいろのことを考えた人間が、死んだからといって全く無になってしまうとは思えないでしょう」と先生はおっしゃった。私もそう思った。                   


この文章を読んで、豊かな精神世界に生きる師を持つことのできた伊丹公子さんの幸福を思いました。特に最後の言葉は、真摯に生きる姿勢に勇気を与えてくれる、宝物のような言葉だと感じました。句は伊丹三樹彦氏、詩は村野四郎氏と伊藤信吉氏、文章は芹沢光治良氏と、四人の素晴らしい師を得、積極的に学んで来られたことが、伊丹公子さんの心と言葉を磨き、それがまた、次の世代につながっていく、そんなことを思います。


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 伊丹三樹彦・公子ご夫妻の引用した句は、どちらも偶然、昭和55年作でしたが、実は、この時、同じ駅を挟んで、ご夫妻は南側に、新婚の私たちは北側に住んでいたのでした。どこかでお会いしていたかもしれません。

今回は、自選自解の句集を三冊ご紹介しました。歳時記などで俳句だけを読み、自分であれこれ想像し味わうのも楽しいですが、このように、句の背景を作者自身が書かれた句集も、いろんなことが分かって読みを深めてくれるので、特に初心者には興味を持ちやすいのではないかと思います。

*梅の写真はすべて、昨日(2月19日)万博公園で撮ったものです。枝垂れ梅以外は、見頃になってきました。

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心に響く風景-再び雪が…
 2月14日(月)昼だというのに気温が下がってきたなと思ったら、どんどん雪が降り出して、11日に続いての積雪となりました。15日の朝もまだ残っていたので、カメラを持って出勤しました。

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GANKOちゃんからのメールと写真(小さい2枚)を、許可をもらって一部分転載します。のどかでいいなあ。

昨年の刈り入れ後、田んぼに水を張り、ふゆみず田んぼにしました。
夫が市役所から情報をもらって初めてのやってみると、これがいろいろ発見があってなかなか面白いのです。
ふゆみず田んぼにすると稲の切り株やワラが水中で分解され、肥料になること、鳥を初めさまざまな生物が田んぼに集まってくること、無農薬、無化学肥料で稲を育てることが可能になること、などなど…
アオサギ、ハクセキレイ、ムク、ヒヨドリなどいろいろな鳥がやって来ます。
冬鳥の鴨も暗くなると来ているのは知っていましたが、少し暖かくなって田んぼに氷が張らなくなったこの何日か前から、朝から仲間と泳いでいるのを発見!
初日は5羽、二日目は12羽がクッワ、クッワ、と会話しながら泳いでいます。かわいいもので、朝一番鴨くんが来ているかどうか、家の裏の田んぼを見るのが日課です。
どうやら田んぼにいない時には近くの加古川で遊んでいるらしいこともわかって来ました。
今日は午後お茶のお稽古をしたので近所の友達に言ったら、「散歩のときに見て知っているよ。なんだか嬉しいね」って。
まるで我が家で飼っているみたいに毎日気がかりで、夕食時には登場する話題です。


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写真左は同じ田んぼです。
少し雪が降った朝、畔道はもう融けてしまっていますが、氷が張っているためとてもたくさん雪が降ったみたいに残っています。


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  雪の季語、たくさんあります。

六花(むつのはな-結晶の形から)、雪の花、雪華(せっか)、雪片(せっぺん)、粉雪、積雪、根雪、新雪、しまり雪、ざらめ雪、湿雪(しっせつ)、べと雪、雪紐(ゆきひも)、筒雪、冠雪、雪冠(ゆきかぶり)、雪庇(せっぴ)、水雪、細雪、餅雪、小米雪(こごめゆき)、衾雪(ふすまゆき)、しずり雪、雪空、雪気(ゆきげ)、雪催い(ゆきもよい)、雪模様、雪雲、深雪(みゆき)、雪月夜、雪晴(ゆきばれ)、雪景色、暮雪(ぼせつ)、雪国、雪投げ、雪合戦、雪兎、雪達磨・・・

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     靴紐をむすぶ間も来る雪つぶて   中村汀女

     雪合戦休みてわれ等通らしむ    山口波津女


いつの時代も、子どもは雪が大好き!思いがけず積もった雪に、滑らぬよう、こけぬよう、足元を気にして歩く自分に、ひどく年を感じてしまいました。雪が嬉しくて駆け回った子ども時代は、はるか遠くに…。皆さんの雪体験は、いかがでしたか?雪国にお住まいの方には、こんな呑気なことを書いて、申し訳ないです…。

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  お昼前には、すっかり溶けて、ぽかぽか陽気が戻ってきました。

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心に響く風景-雪・・・
 2月11日、音のない朝に、いつもより早く目が覚めました。
   天気予報どおり、窓の外は一面の雪、そして、今も雪が静かに降り続いています。

  雪の降る街を 雪の降る街を 想い出だけが 通りすぎてゆく
  雪の降る街を 遠い国から おちてくる
  この想い出を この想い出を いつの日か包まん
  あたたかき幸福の ほほえみ             (雪の降る街を)


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   雪でした あなたのあとを なんとなく ついて行きたかった
   ふりむいた あなたの瞳は はやくおかえり ぼうやっていってた
   ああ あの人は みしらぬ街の みしらぬ人
   雪国の 小さな街に そんなわたしの 思い出がある        (雪)
 

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   雪が降ってきた ほんの少しだけれど 私の胸の中に 積もりそうな雪だった
   幸せを失くした 黒い心の中に 冷たく寂しい 白い手が忍び寄る       (白い想い出)


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   今年、最初の雪の華を ふたり寄り添って
   眺めているこの瞬間に 幸せがあふれだす
   甘えとか弱さじゃない
   ただ、君を愛してる 心からそう思った     (雪の華)


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旧西尾邸という立派なお屋敷に展示された、102歳の書の先生の作品(右側の二つ)。最近書かれたものです。

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 ホームベーカリー活躍中!  2月12日追記

1月10日に買って1ヶ月、週末ごとに食パンを作っています。抹茶パン、ココアパン、ぶどうパン、シンプル食パン、フランスパン、小エビパン、干し柿パンご飯パン、ご飯&あずきパン。
特に好評だったのが、下線を引いたものですが、どれも失敗なく美味しく頂いています。

バターや砂糖は、規定の半分でも大丈夫だし、バターをオリーブオイルに代えてもいけました。
干し柿は、種をとって干しブドウより大きめに切りました。
干し柿の苦手な夫が、パンに入れると「美味しい!」と喜んでいました。
フランスパンは砂糖もバターも不要で、ヘルシーで一番人気でした。
ご飯パンは、普通のシンプルなパン焼き器で簡単にできます。(下にレシピ)

ご飯パンレシピ

りんご、さつまいも、プルーン、ヨーグルト、黒豆、栗、人参、よもぎ、チーズ、ナッツ類、トマト等々、
まだまだ作ってみたいパンがたくさんあって、楽しみです。

 kimicoさんに教えてもらって、大好きな吉田拓郎の「外は白い雪の夜」を追加!

  大事な話が君にあるんだ 本など読まずに 今聞いてくれ
  ぼくたち何年つきあったろうか 最初に出逢った場所もここだね
  感のするどい 君だから 何を話すか わかっているね
  傷つけあって 生きるより なぐさめあって 別れよう
  だから Bye-bye Love 外は白い雪の夜  Bye-bye Love 外は白い雪の夜

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心に響く詩歌(歌集)-『池本一郎歌集 現代短歌文庫』
『池本一郎歌集 現代短歌文庫』 (砂子屋書房/2010年/1800円)

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 この本は、『未明の翼』の全篇、『池本一郎歌集』抄、『藁の章』抄、『樟葉』抄、『草立』抄、歌論・エッセイ、解説(森山晴美氏、花山多佳子氏)を収めた、まるごと池本一郎氏の短歌を知ることのできる歌集です。
作者は「塔」の選者で、歌歴も「塔」歴も長く、歌の力は言うまでもありません。京大卒業後メーカーに勤務、十数年後、帰郷し高校教諭に。今は、農業の傍らカルチャーの講師などもされています。
歌歴も「塔」歴も8年の私は、現在の穏やかで優しいお顔と、郷愁を誘うイントネーションで温かくかつ熱く語られるお姿を知るばかりなのですが、この本で、その由縁に触れることができました。

「帰郷者の断想-短歌と風土によせて」というエッセイの中に、次のような文があります。

公害とか人間性とか、故郷といったことに関し、わたしが短歌を通じて考えてきたことの実践が、帰郷の決行につながっているともいえるのだ。思索は行為によって完成する。

第一歌集とそれ以降の歌集の印象が大きく異なる理由の一つが、この文でわかる気がしました。

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『未明の翼』全篇 (1970年刊)

まずは、高安国世氏の「序」。とてもいいので、全文引きたいぐらいですが、長くなるので少しだけ。

真実を見つめ、真実を生きようとしていれば、だれも孤独なのだ。・・・そして孤独であればこそ、人間はおろか、犬や魚や、木や雲にもなつかしい目をそそぐことができる。・・・これらはすべて孤独者なればこそ、自然や物が身をひらいて語りかけてくる瞬間である。 

建物をめぐりて長き列ありぬ最後の一人また空を見し

息ひそめ闇を行きつつつれづれに蹴りし小石が金属を打つ

駆けおれば安易に熱意こもる身とみずからにがし河口まできて

とどまれる吊り環に白き光(かげ)顕(た)ちて体育館は声なく暮れる

発つ日あらば携えゆかん銃よりもむしろ一足の堅固なる靴

夜寒なる坂のぼる背に発電の音しるく一つ自転車は来る

街角を広くとらえしウインドウにすぐになじめぬ全身がある

耐えて生きしまさにそれのみ父のもつおよそ最も強き思索は

約束は何ももたざる夕陽坂おのれの影を踏みつつ戻る

わが軒のつばめたちゆくと書きし母われにはすでに暗喩もわかる

読みおりていつか暮れ来し屋根の上思想のごとく猫ひとつ行く

霧はれてくる街上に船団のしずしずと数(かず)あらわすビルら

ビル裏の吊り階段を下りゆく靴音遠く空間に発つ

採決のあとどの顔もわずかずつ角度ことなる光にかげる

屋上にはるか見くだす〈地の亀裂〉そこより無数の頭あらわる

労(いた)わりのようなもの搬(はこ)ぶ終電車一人ひとりに名を尋ねたい

 魅力的な歌がいっぱいあって、絞るのに苦労しましたが、「序」にあったような「孤独」の影ある歌に、私はことに心惹かれました。若い時代に詠まれた歌なので、両親への思いも、どこか青春の香りがして、それもまた寂しさを伴った心地よさで、心に響きました。

      IMG_988710121.jpg 【京都吉田神社裏手】

自選歌集

『池本一郎歌集』(1990年刊)抄

見えかくれして天涯をわたる鳥静かなものは遠くまで行く

暗き口さらして低き弾庫あり廃墟はつねに砂呼びよせる

ひとときを子らと遊びし砂浜におどろくほどの足あとのこる

またひとつ砂丘に雲のかげ行けり離れゆく子が起伏に沈む


『藁の章』(1996年刊)抄

一本の竹を切らんと竹仰ぐ選りがたきこの直ぐなるものら

過ぎし十年思えば来たる十年も早からんいま葉桜の園

飲め歌え桜の下のクラス会一人のこらず消える日がある


『樟葉』(2001年刊)抄

無人駅にネムの花咲き何日も列車の来ない気がするま昼

顕微鏡のようなかたちしてぼんやりと外を見ている秋のわが猫

一日に椿どっさり落ちている会いておくべし十人ぐらい

記憶よりことんことんと抜け落ちて水車のごとき晩年がいい

かぼちゃ切れば種子はもこもこ押しあえり次のかぼちゃにみんななりたい


『草立』(2008年刊)抄

鍬先の蛙を土に埋めもどすこんなことにてまた眠れるか

目をつむるほうがうまいというように食べている猫そばの子ねこも

人間をすこしらくしている感じ映画を見つつ食うポップコーン

 どの歌も気負わない飄々とした雰囲気が漂い、それは、作者の生き方そのものなのだろうと感じました。また、動植物をはじめとした命あるものへの優しさは、小林一茶の俳句を思い出させ、心底優しく温かい人なのだと思いました。これらの歌の、人生を達観しつつも、ほっとする感じが、私はとても好きです。

      IMG_98281011.jpg 

歌論・エッセイ

「日常における認識への垂鉛」(「塔」昭和53年5月号)より

詩歌創造の本質として、認識営為が基底になければならず、感動は素材や表現方法のいかんによるものではない。認識の深化こそ肝要で、素材探索は否定しないが、いたずらに日常の外に走るのではなく、日常身辺に深化をはかるべきものが多いし、また日常とは作家主体のあり方ひとつで無尽のものであるから、人間的努力をもって日常性を探求するのがよい。


「ディレッタントの誇り」(「塔」平成2年5月号)より
*注:ディレッタント=芸術や学問を趣味として愛好する人。好事家(こうずか)。

それぞれの作者の認識が一首のなかに堅固に存在する。その認識ゆえに読者は感動する。それが詩歌における思想性であり、それは普遍的なものである。

 歌論がとてもよくて、いっぱい線を引きながら読みました。歌を詠むときの本質的なところに、あくまで言葉で迫っていく筆者の姿勢に感銘しました。自分の中でぼんやりと思っていたことを、言葉で明確に示してもらえ、得心がいきました。たくさん引用したかった中から、絞り込んで引かせていただきました。全文を読んで学んでみたいと思われた方は、個人の歌集と違って、手に入れやすいですので、ぜひお手元に!

テーマ:短歌 - ジャンル:小説・文学



プロフィール

大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !
2017年 9月26日カウンター343434通過



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