心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く詩歌(歌集)-内藤定一さんの歌集
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【 写真を拡大して、ぜひ表紙(装画もご自身)と本の帯をご覧になって下さい。】

 先日、内藤定一さんから、歌集『鳥の国より』が送られてきました。すぐに心当たりが浮かばず、はて、どういうご縁だったかと、いろいろ考えました。

1, まずは、所属結社「塔」の方かと思い、住所録を調べましたが、お名前がありません。「塔」の友人にもメールで尋ねてみましたが、わかりませんでした。

2, ご住所(香川県内)が、大学時代の友人の実家、職場の元同僚の実家と同じ町内でしたので、もしかして、そのご縁で頂けたのかとも思いましたが、それも見当違いのようです。

3, 何年か前、詩の得意な女の子がいて、コンクールのお世話をしたことがありました。名前が同じなので、親戚の方かもしれないとも考えてみましたが…。

4, 昨秋、新聞に掲載された私の詩を読んだ方でしょうか?以前にも別の方から、そのつてで詩集を頂いたことがありましたので、ちらっと頭をかすめました。

5, あとがきの『スロー・グッバイ』が、どうも心にひっかかります。映画で観た?本で読んだ?歌を聴いた?第四歌集『スロー・グッバイ』とちゃんと書いてあるのに、1~4の理由が気になって、肝心のその言葉が頭に入っていませんでした。

 ともかく、読ませて頂いて、お礼と感想をお送りしなくてはと、読み始めました。言葉がみずみずしく、ユーモアもあり、詩作もされるせいか、言葉の切れがよく、気持ちよく読めます。お上手だなと思い、いくつも、好きな歌に印を入れました。

お礼状を送ると、早速お返事が来ました。中を読んで、自分のいい加減さというかボケぶりにあ然としました。
内藤さんの手紙には次のようなことが書いてあったのです。

第四歌集『スロー・グッバイ』を河野裕子さんがほめられていて、それを聞いた私がすぐさま購入し、読み終わったあと、感動のあまり、内藤さんに感想のお手紙をさし上げたこと。内藤さんは、それを覚えておられ、第五歌集ができたので送ってくださったとのこと。

内藤さんに、なんという失礼なことをしたかと、申し訳なさでいっぱいで、あわてて本棚を探しました。もちろんきちんととってあったので、再度読み直し、感慨を新たにしました。

 内藤さんにお許しを頂きましたので、ここに、第四、第五の歌集の中からいくつかご紹介します。
どちらも青磁社から2500円で出版されています。

第四歌集『スロー・グッバイ』アルツハイマーの奥様との19年間を詠まれた歌600首です。

理解出来ぬことをそれとは言えぬまま時に孤独な顔をする妻
苦しとは言えぬ苦しみも分け合いし過去を忘れて静かなる妻
くつくつと鍋の煮物はよく煮えて過去の倖せが音立てている
存在となりて痴呆の妻がいる風が渡って行く草原に
めし粒の食い込んでいるタワシあり一気に思い流せしあとに
過去もない明日も思わぬ妻となり言葉のいらぬ国で居眠る


特に、奥様と関わりの深い歌を選びましたが、皆さんにもぜひ読んで頂きたい歌がたくさんあります。
エピローグの詩にも涙がこぼれました。

第五歌集『鳥の国より』第四歌集とほぼ同じ時期の歌群です。テーマ別の配列になっていて、読みやすいと思いました。

たたかいに死すことのみを考えて渡りし霧の海がありたり
くるくると水面まわるミズスマシまわれば丸い青空である
生きながら昇天はじめし魂の地上一尺  春風の中
靴紐を結び直して外に出るただそれだけの旅立ちである
胸を出て一直線に伸びてゆく橋あれば近し君の心も
まぼろしの老後は消えて無花果の口開けしまま雨に打たるる


二つの歌集を読ませて頂いて、改めて、歌を詠むことで救われてきた魂を感じ、歌の持つ力を再確認しました。

 改めて、お礼とお詫びにと、「塔」所属で、昨年亡くなられた田中栄さんの遺歌集『海峡の光』をお送りしたところ、すぐに所属の同人誌とお手紙を頂きました。
内藤さんと田中さんとは、大正12年生まれで同い年、しかも、工業学校卒という経歴も一緒で、偶然に驚かれたとのこと。
読んだ私も、驚くと同時に、偶然を嬉しく思いました。

私の物忘れのひどさで、大変失礼なことをしてしまったにもかかわらず、ブログへの掲載をご快諾頂き、その上、歌のご縁を大切にしてくださり、大変感謝しています。

テーマ:短歌 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
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【2006/10/04 10:55】 | # [ 編集]

Sさんへ
優しいお言葉、ありがとうございます。
見て下さっているのを励みに、ブログを続けていこうと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
お返事、メールの方に致しました。
【2006/10/04 18:48】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


またまたお久しぶりです。
いつも楽しく読ませてもらいながら、亀さんのポケットの多さに感激しています。
たくさんポケットのある人は魅力的ですよね。
手作りの作品も短歌も本の紹介も、それぞれに素晴しくて。
良い刺激を受けています。 ありがとう。

ところで、第18回上田三四二記念小野市短歌フォーラムが、来年5月26日(土)に開催されるそうです。
作品募集は11月1日から2月28日までとか。
亀さん、応募されてはどうですか?
毎年馬場あき子さんが審査委員で来られます。
【2006/10/04 22:47】 URL | GANKO #- [ 編集]

GANKOちゃんへ
GANKOちゃん、久しぶり!情報を、ありがとう。
読書の秋で、忙しくしているんだろうなと思っていました。

上田三四二さんの歌は、優しくて調べのいい歌が多いですよね。
もしも、送れそうな歌が出来たら、チャレンジしてみますね。


愛媛でも「ハガキ歌コンテスト」というのをやっていて、数年前に送ったことがあります。
「歩くほど一人二人と知る人に出会える町よ我のふるさと」というので、
とても素敵な表彰式に呼んで頂き、正岡子規記念館を春分の日に訪れました。
せっかくだったので、従姉妹と道後に泊まり、叔父やS先生のお見舞いに行き、級友とも宴会を。とても幸せでした。
【2006/10/04 23:28】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

そうなのです
そうなのです。
読書の秋で、とてもとても忙しい毎日なのです。
年1回の学校でのお話会の依頼が次々と来て、日程に合わせた人の手配や学年に合わせたプログラムの打ち合わせ、その中でするお話(ストーリーテリング)の復習・・・
でも忙しいながらも、絵本やお話を通して子どもたちと一緒に過ごす楽しい時間をわくわくしながら待っています。
年1回1時間なので、ついつい詰め込みがちになるプログラムを聞き手の立場に立って考えるのは大変です。
ぜひこれを・・・という詩や絵本やお話が多くて、参加者がお互いにどの絵本を子どもたちに届けたいかなんて話すのはなかなか面白くて、時間があっという間に過ぎていってしまいます。
絵本の本質に迫る話ができる仲間がいることはとても嬉しいことです。

今「読む力は生きる力」脇 明子著(岩波書店)を読んでいます。
本を読むことがなぜ必要なのか、読書力とは何か、ほんとうにいい本を手渡すために、など、現状を踏まえてやわらかい語り口で書かれていて、勇気付けてもらっているようで読みながら嬉しくなってきます。
まだだったらぜひ読んでみてください。
11月25日に脇さんの講演会が神戸であるので、参加予定です。
午後2時から4時、三ノ宮駅東、神戸市立青少年会館5階レクリェーション室。
主催 こうべ子ども文庫連絡会 神戸市教育委員会
問い合わせ ℡078-997-1981(大西さん)


今年から図書館主宰で保育園・幼稚園「出前お話会」(初年度なので年長児対象)が月1回始まりました。
若い図書館職員の補助でボランティアが手分けして出かけています。
子どもたちに絵本やお話を・・そしてそれが図書館利用にもつながって欲しいということで。
それぞれの絵本やお話の中に、若いエネルギーや人柄も感じられてとても良い刺激を受けています。

平成18年度北はりま「子どもの本の学校」の案内もあるのですが、次回に。
今日は特に何もない日なので、今から畑に行って元気に成長しつつある野菜の顔を見てきます。
土をいじりながら野菜にお話を聞いてもらって、復習です。
【2006/10/05 10:29】 URL | GANKO #- [ 編集]


予想通りの忙しさでしたね。大変な活躍ぶりに感心しています。私にはできない…。

「読む力は生きる力」は、読んだと思うのですが、この手の本は何冊も読んでいて、読むとすぐ忘れるという、読む甲斐のないタイプなので、内容まではっきりとは覚えていないのです。読書ノートを調べたら、思い出すとは思うのですが。いい加減なんですよ、私。
また、時間のあるときに読み直したいと思います。

前回書いた歌、ちょっと間違っていました。自分の歌なのにね。
「歩くほど一人二人と知る人に出会える道よわれのふるさと」
道か町か迷って作ったのに、このボケぶり、困ったものです。
【2006/10/05 20:52】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


内藤さんの短歌は奥の深い魂がいっぱいのように思えます。一句一句、重くこころに響いてきます。ご夫婦で歩んでこられた道をかんじさせていただきました。ちょうど 両親と同じ世代の方ですね。この世代の方はすごく辛抱強くて 私はいつも頭がさがります。

 gannkoちゃん、秋はさらにいろいろとお話会や絵本の紹介など 楽しそうですね。いろいろな年齢層の方とも交流もあり、生き生きと過ごしておられてうらやましいです。


 亀さんの古里への短歌、すごく 気持ちがわかります。この前に本町を歩いていて昔の面影を感じた人にたくさん出会えました。ほんまに時間と空間が気持ちよく微妙に変わって
和みました。
【2006/10/05 22:46】 URL | よりやん #- [ 編集]


 内藤さんの短歌をよんで、私も涙がこぼれました。
大変な年月だったのだろうなという思いと、奥様に対する深い愛情が
しみじみ感じられて、ズシンと胸に迫まるものがあったのです。
 手元にあったメモ用紙に書き写し、冷蔵庫に貼って、何度か声に出してよんだりもしました。愛媛に住む義母が、一年半前に認知症と診断されたので、他人事とは思えなくて・・・。
今は病気の初期段階だからか、義母は元気そうに見えるし、記憶もまだまだと思えますけれど、本人の頭の中では少しずつ混乱が生じているのかもしれません。内藤さんのおっしゃるように、相手の心に寄り添って理解しようとすることが大事だなあと、改めて感じました。
大切なのは「愛」ですよね。

 義父が、内藤さんと同い年。私の両親もほぼ同じ。
この世代に敬意を表して、親孝行しましょうね、よりやん!

 GANKOちゃんはますます忙しくなって、充実していますね!
野菜にお話を聞いてもらっている姿を想像するとほほえましく、俳句か短歌になりそうだなあと思いましたよ。
 
【2006/10/06 10:45】 URL | keiko #- [ 編集]

よりやんへ
心配りの細やかなよりやんらしく、それぞれにていねいなコメントをありがとう。

内藤さんへは、ここの記事と、歌への感想を印刷して送る予定です。
内藤さんは、神戸市生まれで、国鉄に勤務されていたとのこと。
若いときから作歌をされ、歌集は5冊目。1冊あたり600首。
たくさんの歌!絵も描かれるし、俳句や詩も作られるようです。

それぞれが、自分の人生を自分の方法で、実り豊かに暮らせる世の中が、平和に続きますようにと、思います。
【2006/10/06 22:46】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

keikoさんへ
keikoさん、心のこもったコメントをありがとう。
内藤さんも、こんなにていねいに読んでもらって、喜ばれることと思います。
定年を迎え、いよいよこれから趣味にも本腰を入れ、奥様とものんびりと楽しい日々をと思われた矢先の、明るくて元気だった奥様の発病。
どんなにショックで、また、状況を受け入れるのに苦しまれたことでしょう。

「歌を詠むことで、自分の心が救われる」それだけでも、ありがたいことですが、こういうふうに、発表することで、心を寄せたり、共感してくださる方がいるというのは、さらに大きな生きる喜びにつながります。

創る人、応援する人、いつも同じ立場ではなく、場面が違えば、逆になることもある訳で、人間て、こうやって支え合って生きているんだなあと思います。


【2006/10/06 22:59】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


内藤さんの歌集をゆっくり読ませてもらおうと思って、図書館に予約しました。
何度も味わって読ませてもらおうと思っています。

ところで、北はりま「子どもの本の学校」のお知らせをします。
  
  第1回 11月18日(土) 絵本画家 黒井 健 
                     加東市社福祉センター
  第2回 12月16日(土) 絵本・児童文学作家 神沢 利子
                     三木市文化会館 小ホール
  第3回 1月27日(土) ストーリーテラー 佐藤 涼子
                     西脇市生涯学習センター(マナビータ)
  第4回 2月11日(日) わらべ唄 手遊び 山本 淳子
                     小野市うるおい交流館エクラ 
  第5回 3月31日(土) 絵本画家 伊勢 英子
                     多可町文化会館ベルディーホール
  いずれも午後1時30分から3時30分
  受講料 5回通して 3000円(当日3200円)  安いです!!
       1回のみ参加 1500円
  託児あり  
  申し込み方法 郵便振込み 口座番号 00930-8-249369
                    講座名称 北はりま「子どもの本の学校」
  問い合わせ 事務局長 遠藤ひとみ 電話・Fax 0795-32-3940

第5回に関して、3月28日から4月1日まで会場で伊勢英子さんの絵本原画展開催(入場無料)
4月1日(日) 伊勢さんのチェロコンサート(有料)の予定
 
また、19年7月1日(日)三木市文化会館で、谷川俊太郎・健作さん親子のコンサートも予定されているそうです。(別枠有料)

亀さん、良い企画が盛りだくさんでしょ?
伊勢さんは森絵都さんの「アーモンド入りチョコレートのワルツ」の挿絵をかかれた人ですよね。
昨年も来られて、今回で2回目です。
今回はコンサートもあるそうで、今から楽しみです。
毎年広島や京都からの参加もあります。
興味のおある方は、都合がついたら遊びがてらに足を伸ばしてください。


【2006/10/08 22:26】 URL | GANKO #- [ 編集]

GANKO ちゃんへ
今晩は。
今日は、こちらに来ているれんげ草ちゃんと須磨で一日遊んできました。

挿絵を描かれる伊勢さんは、チェロも演奏されるの?
あの本のイメージにぴったりですね。

各地で、こういう文化的な催し物があるのはいいねえ。
行けるかどうかはわからないけれど、一通り手帳に書き入れました。

1回と全回通しての金額の差が大きい!でも、安いね!
市からの援助とかがあるからだね。こちらでも、時々あるのよ。
前にクレヨンハウスのに年間通していったときは、確かン万円?かかりました。
いろんな人のお話を直に聴くのは、心に残っていいですよね。

内藤さんの歌集予約できたんですね。よかった。
歌集は、なかなか図書館に置いてなくて手に入りにくいから。
本屋さんにも、マスコミで有名な人しか置いてないしね。
とてもいい歌集ですので、ゆっくり味わってください。喜ばれると思います。
【2006/10/08 22:51】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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プロフィール

大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !
2017年 9月26日カウンター343434通過



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