心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く詩歌-菜の花をうたった詩歌


(3月下旬撮影・兵庫県御津町)
こういう風景を前にして、すぐ浮かんでくるのは、山村暮鳥の詩「風景」 
    
     いちめんのなのはな
     いちめんのなのはな
     いちめんのなのはな
     いちめんのなのはな
     いちめんのなのはな
     いちめんのなのはな
     いちめんのなのはな
     かすかなるむぎぶえ
     いちめんのなのはな


繰り返される「いちめんのなのはな」で、たとえ眼前に菜の花畑がなくても、この写真のような風景が広がる。
「かすかなるむぎぶえ」「ひばりのおしやべり」「やめるはひるのつき」と、連ごとに挟まれる、他と異なる一行が、聴覚を刺激し、視点を移動させる。ひばりを追って天を仰いだ目が、もう一度、地上に広がる黄色い世界に戻っていく様まで見えるようで、言葉の力を感じる詩の一つだ。

俳句ですぐに思い出すのは、

「菜の花や月は東に日は西に  蕪村」

神戸の摩耶山を訪ねたとき詠んだと言われているが、具体的な地名は不要だ。それぞれが知っている広い菜の花畑を思い出せばいい。夕暮れ時の、西に沈もうとしている太陽と、東の空に見えてきた満月。天地を独り占めしたかのような雄大な風景を、十七音で表現できる素晴らしさを思う。

季節も時間帯も全く違うが、雄大さという点で、この蕪村の句といつもセットで思い出す歌がある。

「東の野にかぎろひの立つ見えてかへりみすれば月かたぶきぬ  柿本人麻呂」

奈良県宇陀郡のかぎろいの丘では、毎年12月10日頃かぎろいを見る会が催されているようだ。「かぎろひ」は、曙光(日の出前に東の空にさしそめる光)のこと。冬の朝、表に出ると、東の空がうっすらと夜明けの光に染まっている。振り返ると、西の空には昨夜からの残月(満月)が沈もうとしている。という、やはり大きな歌である。

次の一首は、菜の花の持つ情感をよく表していて、私の大好きな短歌である。

「振りむけばなくなりさうな追憶のゆふやみに咲くいちめんの菜の花  河野裕子」

この歌を読むと、私の中に故郷の情景が広がる。夕暮れ時、亡き母が着物を着て、菜の花畑の中にぽつんと立っている写真。母が最後に見た菜の花は、明るい色のはずなのに、何かもの悲しいのである。

文部省唱歌の「おぼろ月夜」(作詞/高野辰之・作曲/岡野貞一)は、
小さい私に、優しい旋律とともに、日本語の美しさを教えてくれた。

  菜の花ばたけに 入り日うすれ
  見わたす山のは かすみ深し
  春風そよ吹く 空を見れば
  夕月かかりて においあわし


私が先日、昼間に見た菜の花は、ゆで卵の黄身のように元気な色をしていた。イメージの中の菜の花は、河原に群れ咲いている芥子菜のように少し淡い色をしている。菜の花には、どうやら夕暮れ時が似合うようだ。

「菜の花や郷への思ひあふれだす   大空の亀(俳句修行中)」
「川岸と段々畑に菜の花のあふれてふるさと近づく気配   大空の亀(短歌修行中)」

テーマ:短歌 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
口ずさんでみました
菜の花の世界がほんわりと広がっていいですね。
おぼろ月夜は久しぶりに歌ってみました。なんと美しいことばなんでしょう。
季節を忘れそうになる毎日です。季節の情景を楽しみにしています。
【2006/03/29 10:28】 URL | よりやん #- [ 編集]

来週は石畳だ!!
 本日 旦那さんが「日曜に桜を見に行こう」と言いました。もち、石畳の枝垂桜です。石畳は旦那のおばあちゃんの生まれたところなのです。もう家は無いのですが、義母も一緒に桜見物してきます。カメラを忘れないように・・・桜の季節だけ、地元の人たちがおそばを食べさせてくれるのだ。

 長女が生まれた頃、旦那は毎日が夜中の帰宅だったので、たっぷり時間のある夜は、授乳しながら、ダッコしながら、綺麗な言葉を聞かせたくて歌ってました。
朧月夜・早春賦・ふるさと・椰子の実・叱られて・母さんの歌・からたち日記・四季の歌・あざみの歌・浜辺の歌・・・影を慕いて(オイオイ)
思いつくままに歌ってたような気がします。そのせいか歌の好きな子です。カラオケに行くと夜鳴鳥(こんな字だった?イェーライシャンって)を歌うんだ、彼女は。
【2006/03/29 23:39】 URL | KANEGON #- [ 編集]


よりやん&KANEGONへ
二人のきれいな声がよみがえってきました。朧月夜・早春賦・ふるさと・椰子の実・・・、そういえば、子どもの頃、音楽の本を丸ごと歌ったりしていました。しなかった?どの歌詞もほんとにきれいで、七五調や五七調(字余り字足らずはあるけど)。「朧月夜」も八音・六音のくり返しだけれど、やはり七五調。最近の歌も、結構七五調や五七調が多いね。
今年の1月22日に亡くなられた川田正子さんの歌「みかんの花咲く丘」「とんがり帽子」「里の秋」を、ラジオで聴くのが子どもの頃楽しみでした。大好きな歌です。

「イェーライシャン」は「夜来香」かな?KANEGONの娘さんの美しいソプラノは、こういうところに秘密があったのですね。家の長男は、渡辺貞夫の「カリフォルニア・シャワー」を、赤ちゃんの時、浴びるほど聴きました。これを聴きながら揺すると泣き止んだもんで。
9年前、「石畳の宿」で食べた山菜の天ぷらが忘れられません。抜群の味と豊富な種類。「もう一回食べたい」と春ごとに家族で言っています。石畳の枝垂桜、満開だといいね。
【2006/03/30 10:00】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
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