心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く詩歌-俳誌「空」関連の俳句
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写真左から『眞中』、『俳句の杜4』、俳誌「空」です。(拡大できます。)

【引用した俳句は、特に私の好きなものですが、すべて季節の順に、並べ替えています。】

 高千夏子さんの俳句-『眞中』(角川書店)より。

初旅や救命胴衣のぞき見て

きさらぎや夢食べて生き延びてをり

水たまりあれば跳び越え入學す   

梅雨に入る握り鋏の鐵ひほひ       

ふるさとは鍵なきくらし夏布團      

たまゆらをあそべと風船かづらかな    

病歴に俳歴かさね水澄めり        

雁過ぎし高さしばらく街空に       

冬鏡何も映さず暮れにけり         

遠くまで見え何もなき寒さかな       

 高千夏子さんは、中国語仲間Tさんの大学時代の同級生で、平成9年度の角川俳句賞を受賞されています。昨夏、Tさんに貸して頂いた『眞中』という句集が素晴らしく、それまで、俳句というのは客観描写が大切で心情は述べないものだという、私の考えが変わりました。
十七音の中に、作者の思いがこもっているのに感心し、Tさんにお礼と購入したい旨を申したところ、高さんに連絡をとって下さり、残りがほとんどなかったにもかかわらず、貴重な一冊をプレゼントして下さいました。私が、数年前から短歌をやっているが、俳句も好きで勉強したいと思っていることなど、お礼の手紙に書いたところ、俳句結社「空」が、優れた主宰で、よい勉強になるので、ぜひおやりなさいと紹介して下さいました。

 早速頂いた「空」誌を見たところ、主宰の名前に見覚えがあり、毎月取っている「NHK俳句」(写真が美しく初心者向けの解説も多いので、「NHK短歌」とあわせて、数年前から購読)を調べました。2005年7月号の「隣の俳人」に、「空」主宰の柴田佐知子さんの特集がありました。いつもはさっと読むだけなのに、この回は、書かれていることに共感することが多く、たくさん線を引いていたので覚えていたのです。この偶然に驚くと同時に、大事にしないといけない縁だなと思いました。年四回十句ずつの出詠ということで、短歌との両立も可能だと考え、連絡をとり、今年より出詠を始めました。
また、私のブログを見て下さった主宰が、詩歌について書いてみませんかと声を掛けて下さり、この秋より「季節の詩歌」という題で、短歌の紹介などを中心にした文章を載せて貰っています。自由になんでも書いて下さいとおっしゃって下さったので、俳句・短歌・詩と、短詩型文学の大好きな私は、自分の勉強も兼ねて、楽しませて貰っています。もし、関心を持たれた方がおられましたら、「空」誌を読んでみられませんか。

 柴田佐知子さんの俳句-『俳句の杜4』(本阿弥書店)より。
主宰の句集を手に入れたく、お願いをしたところ、在庫がないということで、本書をプレゼントして頂きました。

声にして家路といふは暖かし      

桃の花まで青空の下りてきし        

否応もなく一対の雛かな         

剃髪を希む雛も流れゐむ         

網戸して外より覗く己が部屋       

故郷のもてなし素足になれといふ     

一滴の大きく夕立来りけり        

てのひらを桃のまるさに桃貰ふ      

踏み入れば道見えてくる大花野      

父ひとり火をあやしゐる夕焚火      

秘すことのはじめ手毬を背に廻し      

海底につくまで雪の降りやまず       

群るる気はなしマフラーを巻き直す     

 先ほど述べた「隣の俳人」に書かれていた柴田佐知子さんの言葉をいくつか、箇条書きで抜き出します。
☆『俳句の杜4』より
 「ここにある我が今を詠む俳句」
 「俳句は連続する時間を定型という短い言葉で断ち切った断面」
 「切り口が鮮やかであれば、その断面からは過ぎ去った歴史も遥かな時空も見えてくる」

☆平成15年、俳誌「空」創刊の言葉より
 「俳句を作るということは真摯な時間を重ねていくこと」
 「この世で与えられた自分の時間を遥かに越え、時空をひろげ得る俳句」

☆第三句集『母郷』で俳句協会新人賞を受賞
 「俳句はみずからの深みへどこまで自分を持っていけるかだ」
俳句・短歌・詩にもあてはまる、創作の基本姿勢を考えさせられる言葉だと思います。

テーマ:俳句 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

高さんの俳句は壮絶な世界をズバッと言い切っていますね。私も凄いなとその俳誌を何度も拝見しました。其れに加えて色々な所に書かれた論評が鋭く、1本のはずれもなく、真摯な方なのだと憧れています。高さんの思いや視点を凝縮した文章でした。
「空」も前号を頂き、俳句結社の物というより文学志向の強い物で、楽しかったです。俳句以上に皆さんの書かれた短文の世界に惹かれました。私の結社とも違い、友人達が出す愛媛の俳人達の物とも違い、それぞれのよさがあって、俳句は多様です。実は私は自分の結社がちょっと正統的で馴染めなかったのですが(でも母と一緒なので)、逆にその正当性のよさも感じることになりました。
【2006/11/14 07:54】 URL | 犬塚 #- [ 編集]

犬塚さんへ
コメントをありがとう。
それぞれの句の世界で、互いに精進して、いつか句会や吟行などご一緒できるようになったらいいなと思っています。
私の愛媛の同級生も、自宅で定期的に句会を開いているようです。
いつか、犬塚さんの松山のお友達も加えて、楽しい集まりができるといいなと、夢想しております。

俳句は、愛媛出身ということで、正岡子規・高浜虚子など身近に感じる俳人も多く、始めるのに抵抗はありませんでした。
しかし、気持ちを抑えるのがしんどく、短歌のほうに重点が移りました。
再度、心情を詠める俳句に出会い、ちょっと欲張りな句作と歌作の両方にチャレンジをしています。
「二兎を追うものは一兎をも得ず」なんて、ことわざもありますが…。
【2006/11/14 18:01】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
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