心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く詩歌(歌集)-花山多佳子さんの歌集『木香薔薇』
mokkoubara.jpg  花山多佳子さんの歌集『木香薔薇』(砂子屋書房・3000円)

 「心に響く詩歌」でご紹介してもよかったのですが、この歌集は、部分的にではなく一冊まとめて読んでほしいなと思って、こちらで紹介することにしました。

一読、まず元気が出ます。「私も、そうそう!」と、作者と何度も何度もおしゃべりをする感じで、楽しく読めます。だからといって、決して浅い訳ではなく、歌の上手さにもうなるし、社会的な目にも共感を覚え、家族の歌には思わず笑いがこぼれます。

再読、繊細だけどたくましく、己れをユーモアの精神を持ちながら客観視する、作者の姿勢に、ますます惚れ込みます。言葉の世界に逃げ込まないで、地に足をつけて生き、豊かな言葉の世界を持つ、この歌集に展開されているような歌の世界が、私は理想です。

今までにもたくさん、素晴らしい歌集に出会ってきましたが、深く沈潜していく思いに、読み終わった後、共感しながらも孤独感も際立つということが多く、寂しくなることが多かった気がします。でも、この歌集は、違いました。世界が深いけれど、開かれていて、作者とつながりたい気持ちになりました。

 短歌というと難しそうで敬遠していた人、今まで歌集を読んだことがないという人にも、ぜひ手にとってほしい、特に同世代の人には、共感してもらえる部分が多いのではないかしらと思っています。繰り返し読むうちに、最初に読んだときとは違う面白さがまた見えてきて、今、私の中で、一番好きな歌集です。

花山多佳子さんは、短歌結社「塔」の選者をされていて、いろんなタイプの歌を詠まれます。この夏の全国大会で、私は、三回も、「花山さん!」と、後ろから声を掛けられました。光栄な人違いでしたが、これも「花山ファン」に拍車がかかった理由かも知れません。それよりも何よりも、実は、全国大会での、花山さんの歌の解釈が素晴らしく、とても共感のいくもので、大きく頷いてばかりだったというのが、大きな理由です。

前置きが長くなりました。書きたい歌がいっぱいですが、できれば、みなさんには、歌集で出会ってほしいので、心を鬼にして、少しだけ載せることにします。

1, 観察力の鋭さと表現の上手さにうなる歌
  葉の落ちてたちまち点(とも)る満天星(どうだん)のくれなゐの芽よ 遠き春まで
  摘まれたることを知らざるひるがほが夕べの卓に花閉ぢてをり
  思ひ出はそこにあるかと思ふまで白飯そめる紅生姜のいろ
  あきらかに重みをかけて乗つてゐる欅(けやき)の冬の枝に雀が


2,共感して笑った後いろいろ思いを巡らす歌
  わたしは何をおくつたのだらう書いた手紙が机のうへに
  テレビ壊れて仕事はかどると思ひしにテレビは娘にも壊れてゐたり
  探す本はかならず在らず探してはをらぬと思ひて暫くを待つ
  事故によりバイクが壊れ、壊れざりし息子が今日もママチャリに乗る


3,社会に向けた目をさりげなく表現した歌
  「いぬのきもち」といふ月刊誌よむ人のきもち思へばきもちわるくて
  そののちを撃たれたる熊が映りをり柿の木に実をもぎゐるところ
  「長持ちしてますね」というは桜のことにしてイラクのことに話は移る


 歌集名である「木香薔薇(もっこうばら)」という薔薇の種類を、私は知りませんでした。調べたところ、「4月~5月に八重咲きの直径2~3センチの花がたくさんつき、ツルバラに似ている。とげがなく、かすかな香りがする。白い花は黄色い花より香りがよい。」と、ありました。この歌集を何度も楽しんで読み、歌集名に「なるほど。」と思う私です。

テーマ:短歌 - ジャンル:小説・文学

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【2006/11/25 09:13】 | # [ 編集]

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【2006/11/25 09:23】 | # [ 編集]

鯛さんへ
ナナちゃん、早く帰って来るといいのにね。
寒くなるから、暖かいお家を見つけて、可愛がってもらえていたらいいけど。

おすすめの猫がいっぱいのブログ見ました。
あんなにいても、みんな仲良しなのでしょうかね?
似ているから、兄弟かも知れませんね。

わが家は、温室を作ってあげたので、大喜びで、植木鉢の穴掘りをしています。
【2006/11/25 18:56】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

やっと
おはようございます。
花山さんの短歌は面白いものがたくさんありますね。
繰り返し読んで、思わず笑ってしまったり。
ドウダンツツジを「満天星」と書くとは知らなかった。
数年前に行ったモミジで有名な高源寺で、小さな葉が夕焼けみたいに紅葉して美しかったのを思い出しました。

木香薔薇は一昨年5月のオープンガーデンで個人の庭を見せてもらったときに初めて知りました。
小さめのクリーム色の八重の花がたくさん咲いていたのが優しくて美しくて、うっとり見とれてしまいました。
紀子さんだったかその娘さんのどちらかだったかの“おしるし”なのだとその時聞いた覚えがあります。
その後挿し木をして、今我が家には3本の苗が大きくなっていますが、まだ花は咲いていません。
咲く日が楽しみです。

ところで昨日やっと、図書館にリクエストしていた「スロー・グッバイ」を借りてきました。
どうやらルクエストした私のために購入してもらったようです。
ゆっくり歌を味わいながら読ませてもらいます。
もちろん花山さんの歌集もリクエストしてきます。

今日は10時から我が家で今年3回目の文庫交流会です。
【2006/11/27 07:36】 URL | GANKO #- [ 編集]

GANKOちゃんへ
木香薔薇が、お家にあるのね。いいなあ。
咲いたら香りの具合など教えてくださいね。
満天星の紅葉は、鮮やかですよね。

図書館に、短歌の本が並ぶのは嬉しいことです。
短歌や俳句の本は、字が大きいから読みやすいですよ。
借りてノートに写すときもあるけれど、行間の広さが、想像の時間を作ってくれるので、私は、やっぱり気に入ったのは、改めて買っています。
それに、言葉を調べて書き込んだり、いいなと思った表現に線を引いたり、自分の感想を書き入れたり、空間部分が、他人様にはお見せできない状態になるのです。
歌集は、発行部数が少ないので、高価なのが、ちょっと辛いけど、他に欲しいものもないしね。大切な生き甲斐だから。

その代わり、繰り返し読まない小説は、よっぽど早く読みたいのを除いて、ほとんど借りて済ませています。
論説的な文章で、線をいっぱい引きたい本は、大事なところだけ写す気力が今やなくなってしまい、やっぱり買っています。
エンゲル係数ならぬブック係数が高くて、場所も取るのが悩みです。
【2006/11/27 18:58】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年5カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
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