心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-恩田陸さんは、小説のエンターテイナー
恩田陸さんは、小説のエンターテイナー

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 本好きの友人に勧められて、読み始めた「恩田陸」さんは、一言でいうと、小説のエンターテイナーです。
若い人に人気がありますが、心に青春を持ち続けている人なら、きっと楽しめて好きになる、そんな作家です。

初級編
『蛇行する川のほとりで』(中央公論新社/各476円)
薄い新書版3冊。字が詰まってなくて読みやすく、ちょっと怖いところがあるので、先が気になって、一気に3冊読んでしまいます。レトロな女学生気分が味わえます。元美術部だった、なんて人には超オススメです。

『六番目の小夜子』(新潮文庫/514円)
テレビドラマにもなったことがあるそうなので、知っている人は知っている?「学校の怪談」めいたお話が好きな人は、楽しめます。


中級編〈一番オススメ〉
『夜のピクニック』
(新潮社/1600円)
昨秋、映画になりました。80キロを歩くという高校行事での出来事を描いた作品。高校生活最後の行事というのは、なにか未解決のことに決着をつけておきたくなるものです。それに注目して、素敵な青春小説に仕上がっていて、私の好きな作品です。

『チョコレートコスモス』(毎日新聞社/1680円)
家庭環境にも才能面でも恵まれた若手女優、大学に入ってから始めた演劇で天性の才能を見せる女学生。この二人を軸に、演劇の話が展開していきます。劇中劇の形で、名作が挟み込まれるのも面白い。特に、私は、サキの『開かれた窓』という短編が大好きなので、それが繰り返し出てきて嬉しかった。とても上手い小説です。
「役者は、人間なんだよ。役者は、人間をやるんだよ。……エゴとかプライドとかって、最も人間臭い、人間の嫌らしさと崇高さと矛盾を含んだ部分だよ。そういったものがない役者が人間をやったって、ちっとも面白くないでしょう。」


上級編
次の二つは、一緒に読む方が深さが増します。柳田国男の『遠野物語』を連想しましたが、ちょっと不思議な和風ファンタジーという感じです。

『光の帝国-常野物語』(集英社/1700円)
とても面白かったです。あとがきにあるように「手持ちのカード使いまくりの総力戦」でしたが、上手だし、反戦への痛切な思いも表現できていました。続けて、登場人物みんなが集結する物語を読みたいと思いました。

『蒲公英草紙-常野物語』 集英社/1400円)
光の帝国に続いて。とても穏やかな文章で、読ませる内容の本です。
「世界の境目、この世ならぬ私の理解を超えたものとの境目が、こんな、優しい顔をしたところにあったとは。」


番外編
『図書室の海』(新潮社/1400円)
短編集で、私の中での評価は低いですが、「ナスタルジア」の次の一節は心に残りました。
「懐かしさ、それだけが僕たちの短い人生の証拠だ。数々の記憶が僕たち一人一人を作っている。記憶の中の懐かしい人々、懐かしい風景、僕たちの愛した人たち、僕たちを愛した人たち、それらが僕たちのすべてなのだ。僕たちは懐かしいものについて語り続けなければならない。それだけが僕たちの存在を証明する手がかりなのだから。」

『ネクロポリス』上・下(朝日新聞社/各1800円)
上手な長編小説。彼岸の存在価値について、考えさせる小説ですが、テーマにあまり深さが感じられませんでした。筋を追う読み物としては、楽しめます。

テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

こんばんは~。

夜のピクニック 大好きです。
あまりにも好きで、映画は観られないかな?
イメージが出来上がってしまっているので、映像はつらいような予感があって。

先日、息子の通う予定の中学の入学説明会に行ってきました。
今のその学校に通っている中学生の実態を率直に述べられて、保護者に対するお願い?と学校としての姿勢?とを話して下さいました。
正直、あの学校に息子を預けてもダイジョウブなのか?って思ってしまいました。
保護者に対する学校からのお願いは、悲鳴のようにも聞こえました。
自尊感情の欠如した子どもが多いそうです。
もっと子どもに関心を持って下さい、とおっしゃってました。
夜のピクニックは高校生の話でしたが、中学時代にも友人とぶつかったりくっついたりはなれたり、いろんなことを学んで欲しいと願っているのですが、どうなんだろう?

中学の先生からも、翌日の小学校の最後の懇談会で小学校の先生からも「大変でしょうけれど、毎日、お弁当を作ってあげてください」と言われてしまう私たち保護者って・・・?

下の子の小学校の入学説明会にいたっては、校長先生のお話がマイクを使っておられるのに保護者の雑談にまぎれてしまう、この現実。
どうしちゃったんでしょう?

6番目の小夜子、これなら小学校高学年の子でも楽しめるのでは?と息子や姪に薦めてみたのですが、まだ、読んではもらえてません。
学校の図書室においてもらえないかなぁ・・・
小学校の朝読の時間に本を読みに行くボランティアに入ることにしました。

【2007/02/25 00:04】 URL | kimico #Zr2/WiYY [ 編集]


こんにちは。
「夜のピクニック」が映画になる話は聞いていましたが、小説も読んでないし、映画も見ていないので、ぜひ小説から読んでみたいと思っています。
実はこの舞台になった高校は、二男のお嫁さんの母校で高校時代の一番の思い出が、
このピクニックだったと以前言っていました。
制服もなかったそうで、卒業式には着物を着て袴をはいたんだそうです。
担任の女性教師にはよくあるけど。
ということで、近々大学を卒業する娘の卒業式には、その着物と袴を借りて出席する予定です。
【2007/02/25 11:39】 URL | GANKO #- [ 編集]

kimicoさんへ
お返事遅くなりました。
息子さんの中学入学、いろいろと心配は尽きないと思いますが、信頼と協力しか道はないかなというのが、荒れまくっていた中学校で、次男を過ごさせた感想です。

授業が成立しない中、塾へも行かないと言うし、「仕方ない、子どもを信じ切って、精神的に支えていこう。」と、当時は腹をくくりました。
先生方には、「協力するから、最後まで、真面目な子たちを見捨てないで頑張ってください。」とお願いし続け、自分なりに手助けをしたつもりです。

先日、次男の授業を担当していた先生から、「ひどい状況の中で、真面目にやっているKくんに、ごめんな、申し訳ないなあ。」と心で思いながら過ごしていたと、人づてに聞きました。
ひどい状況の中で頑張れたことへの自信、そんな中でもクラブのよい仲間と過ごせたことが、次男の大きな財産になっているのではないかと思っています。
温室の中で育たなかった分、これから先も強く生きていくだろうと信じています。

kimicoさんも「夜のピクニック」好きなんですね。
青春の思いが漂っている素敵な小説ですよね。

[もっと子どもに関心を持って下さい、]という件で、私も先日気になることがありました。
横断歩道で、小学校1年ぐらいの男の子とお母さんが待っていました。
青になるなり、お母さんは、子どもの方も見ずに(もたもたしていたのに!)渡ってしまいました。
普通、子どもが安全に渡るのを見届けてから、親は渡りませんか?または一緒に?
子どもの顔すら見ないのに、驚いてしまいました。他人の私ですら心配で見届けたのに。
親子の関係が、濃すぎたり、逆に希薄だったり、極端になっているのかもしれません。

kimicoさん、とても上手に本を読まれるから、ボランティアぴったりですね♪
子どもたちにも、楽しみな時間になることでしょう♪
【2007/02/26 18:31】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

GANKOちゃんへ
お返事遅くなりました。
「実はこの舞台になった高校は、二男のお嫁さんの母校」とは、驚きです。
夜間歩行、大変だけれど、青春!って感じです。
私たちの高校の青春!は文化祭だったけれど、この小説のような夜間歩行があったら、今、どんなふうになっているかな?なんて思ったりもします。

「制服もなかったそうで、卒業式には着物を着て袴をはいたんだそうです。」
生徒の自主性を重んじる校風ですね。
我が家の次男の高校も同様で、卒業式は、まるで大学の卒業式のようでしたよ。
GANKOちゃんの娘さんも、もう卒業なんですね、おめでとうございます。
うちは、来年。今日は、車の免許を無事取得してきました。
【2007/02/26 18:39】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


「夜のピクニック」は貸し本屋さんで借りたのですが、忙しくて一週間の借り期間に数ページしか読めませんでした。最初の方だけを読んで、あまりアンテナが動かなかったので、延長はしなかったけど、大空の亀さんのコメントを読んで、もう一度挑戦してみようかなと思います。
光の帝国も読んでみたくなりました。
【2007/03/09 13:45】 URL | くろまめ #- [ 編集]

くろまめさん
くろまめさん、お久しぶりです。お元気ですか?
そちらには「貸本屋」さんがあるんですか?ビックリしました。
子どもの頃、週末になると、「マンガの貸本屋」さんに出掛けていたことを思い出しました。

「夜のピクニック」は青春もので、確かに少し単調かもしれませんね。
引きつける面白さは「チョコレートコスモス」の方にあるかなと思います。

今日は、同僚の友人から、「銅版画展(猫の世界)」の案内と「猫町通信」が届きました。
【2007/03/09 15:05】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年1月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
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