心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く言葉-「詩歌を読む楽しさ」
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朝日新聞1面に、29年間連載されていた大岡信氏の「折々のうた」が、3月に終わってしまいました。毎朝これを読むのを楽しみに、朝日新聞を購読し続けていたと言ってもいいほど好きなコーナーだったので、文字通りポッカリと心に穴があいたような寂しさです。毎日、原稿を新聞社に届ける方式だったそうで、ファックスのない時代、大岡信氏は旅行もできなかったと、先日初めて知りました。参考資料も膨大な量に及んだそうです。

プロの歌人や俳人だけでなく、素人の短歌や台湾万葉集の存在、また、引用の詩歌は、古典まで幅広く、広く深い蓄えの中から取り出されたエッセンスを味わえた29年間、ほんとに心豊かに過ごすことができました。世の中に詩歌を幅広く知らせてくださったことに、心から感謝しています。

ところで、他の例ですが、ネット上で毎日俳句をアップされていた清水哲男氏も、昨年の秋でしたか、一人でやる方式を止め、新たに担当を複数の方にされ「新・俳句歳時記」を続けておられます。毎日、詩歌に触れるという生活が、今のような効率優先の時代だからこそ必要だと考えます。大量に生み出される詩歌群の中から、次の時代に残すものを見極めていくことも大切でしょう。複数の方の担当でも、全然問題ないというか、そこに面白さも生じるかと思います。この思いが、新聞社の方に届きますように。

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私は、小さい時から詩歌が大好きでした。このブログを始めようと思ったのも、ノートに書き写していたお気に入りの詩歌を、キチンと整理しようと思ったのがきっかけです。

小学校の頃は作る方専門でしたが、先生が「きりん」という詩の雑誌?に送っておられたような記憶があります。その頃から、私の詩は「人間」がテーマでしたが、同級生の男子は、いつも「自然」をテーマに、上手な詩を書いていました。50年近い歳月、飽きずに詩歌を読んできましたが、今だに興味が尽きません。

ところで、最近、詩歌を引用した本を読んでいて気付いたのですが、著者が男性と女性では、引用する作品に違いがあるようです。歌会などで、無記名の選歌をする場合も、男女で異なる傾向がどうもありそうです。これから、もう少し意識的に読み、その辺のことを考えてみたいなと思っています。

詩歌に興味のない方からすると、「なんでそんなに詩歌が好きなの?」と不思議で仕方ないでしょうが、言葉が少ない分、想像の楽しみがたっぷりあって、昔から空想癖のあった私にはぴったりで、自由に考えられる幅の広さが、何とも魅力的なのです。

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以下の文章は、今年度3月16日に実施された、大阪府公立全日制後期入試問題(国語)です。三上和利・著『未知への冒険』からとった問題文が、「詩とは何か」「詩を読む楽しさ」について、わかりやすく書かれていましたので、以下に引用します。自分が、受験生なら、はまり込んで読んでしまったでしょう。

詩を読んでなんの役に立つのだろうかと考えるかも知れませんが、「虹はなんの役に立つのですか、と聞くのと同じだ」と、ルーイスという人は言っています。虹を見ても頭もよくならなければ、腹にもたまりません。でも、虹を見ると心を躍らせる人は多いはずです。それは、虹がそれ自身で美しいからです。虹が美しいように、詩も、それ自身で美しく、そして、そのもののまことを表現しているのです。

詩になるのは虹ばかりではありません。落日、日の出、花、木、海などの自然も人を感動させます。また、愛、孤独、旅、死などの人生を表現して感動させます。

これらはみな詩の材料となるものですが、なにが詩人に強烈な印象を与えるかわかりません。これらが喜びや驚きとなって表現されるのです。

ところが、どんなに感動したことでも、時間がたつと不思議に薄れてしまうものです。そして、思い出だけが残ります。思い出というのは不確かなもので、変わっていきます。そこで、この強い感動を、時間の流れの中から取り上げ、そこにとどまらせるのが詩です。この感動を音で表すと音楽となり、色と線で表すと絵画となります。詩はこの感動を言葉で表現した芸術です。芸術には音にも色にも、その微妙さがあるように、詩にも言葉の微妙さがあります。この微妙さとは詩人がとらえた言葉の新しさのことです。

(中略)

こうして感動の消え去ろうとするものを、言葉でもってせき止めるのが詩です。時間を止まらせるのが詩です。それは、わたしたちが毎日使っている言葉に、新しい意味や響きを吹き込むことです。このとき、言葉は新しい生命をよみがえらせ、美しい言葉と言葉のつながりを持つことになるのです。

言い換えれば、わたしたちは詩を読むことによって、詩人がとらえた新しい世界と言葉とを見せられて驚かされるのです。そこには言葉の意味の深さと広がりがあり、さらに、言葉の共鳴による美しさがあるからです。ここに詩を読む楽しさがあるのです。絵画を見たり、音楽を聞いたりして楽しむように、詩は読んで楽しいのです。


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【写真はどれも八幡市の背割堤。桂川・木津川・宇治川が合流して淀川に。後ろの山は天王山。'07年4月】

テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

ウ~ん、圧巻!今年もここでお花見させていただきました。本物の桜並木もこれほどに心に覆いかぶさって履きません。
「折々のうた」の終焉は私の周りでも惜しむ声ばかり。でもご本人はこれからもっとゆっくり自由に言葉を楽しまれるのでは。
【2007/04/09 23:47】 URL | 犬塚 #- [ 編集]


大岡信の件は、ああ終わるんだと思って、告知を読みました。
購読していないので、そんなに読んでいたわけではありませんけど。
続けるのはそれだけですごいことであり、敬服します。
それでも長く続けることでできなかったこと、捨ててきたことを
終了によって、できる機会が生まれ、新たな視点でメッセージを
発信してくれるはずと、前向きに期待して待ちましょう。
【2007/04/10 08:35】 URL | こもれび #hGt.gl.I [ 編集]

素晴らしい
もう~~~他の言葉が見当たりません(相変わらずボキャブラリーがないので)。
ここまで満開に出会えるなんて亀さん、素敵!


「折々のうた」
終ってしまったのですね。
新聞を変えてしまったので最近は目にしていません。
実は思い出があります。
15,6年程前、私は「折々のうた」を知りませんでした。
書店から電話があり
「注文されていた『オリョウリのうた』が入りました」
えっ?「オリョウリのうた」?「お料理のうた」?

娘が注文したものでしたが、後からおかしくておかしくて娘と大笑いしました。
娘は授業に使うだけだったようです。
【2007/04/10 10:14】 URL | ベンジャミン #oUPgpoCM [ 編集]

こんばんは(^・^)
大空の亀さん、見事な桜ですねv-398
画面いっぱいに広がる桜・・・
まるで、桜の真下にいる気持ちになりました。
桜の隙間から見える遠くの山々がなんとも雄大な景色を
連想させてくれます。
こんな場所で、時を止めてゆっくり過ごしたいです。
詩って本当にいいですよね?
最近、読む機会がなくなりましたが気持ちを落ち着けるには
一番いいかも?
そんな風に感じられるようになりました。
【2007/04/10 19:18】 URL | ノロタン #B7q/.fmY [ 編集]

犬塚さんへ
「心に覆いかぶさって」と言われると、そのように思えてくるから、不・思・議。v-252

ここの桜は、車道から離れているのと川が近いせいでしょう、幹が太くて、枝もたっぷりと広がって、木がとっても伸び伸びしているので、見るほうも伸びやかになります。

同じ桜だと思っても、周りの景色や天気や時間帯、ちょっとした条件で違ってくるのが、魅力的なんでしょうね。
【2007/04/10 20:15】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

こもれび さんへ
いい作品をいっぱい読んでこられたから、今度は自作を発信したいかもしれませんね。
絵画にも詳しいようですし、よいものに触れてこられた人生は、どんなに心豊かだったでしょう。

私が大岡信さんの立場だったら、の~びりとたっぷりの自然に浸り、しばらく活字とお別れするかな?
心の底から発信したいものが出てくるまで、ゆっくり休まれるといいなと思います。v-301

言葉から想像して楽しむなんて、人間しかやらないでしょうね。
この想像力が、何のために人間にはあるのか、ちょっと考えてみたい気がします。
【2007/04/10 20:27】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

ベンジャミンさんへ
おほめの言葉、桜も喜んでますよ、きっと。
本当に感動したときには、言葉では表せないって思いますよね。v-10

この日は、天気予報は雨。
気温も低く、花見客はほとんどいませんでした。
人がほとんどいないと、花は人疲れしないようで、清々しい感じでした。
そのうち、厚い雲の切れ間に青空が見え、堤を端まで歩いた甲斐がありました。

3枚目の、青空と雲をバックにした桜を、堤の下から見上げたのが、今回はけっこう気に入っています。
桜並木の写真は、いろんな時代の自分を歩かせて、物語を紡ぎたい感じです。
花をアップで撮るのも、今年は意識してやってみました。

「折々のうた」が、「お料理のうた」と聞こえるところが、さすが、お料理好きなベンジャミンさんらしくて、笑わせてもらいましたよ~。


【2007/04/10 20:38】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

ノロタンさんへ
褒めてくださってありがとう。
ベンジャミンさんの所にも書きましたが、この日は、ほんとに人がいなくて、のんびりとして気持ち良くて…。
雨のあとで空気もきれいだったのでしょう、そんな思いが写真にも出ていると嬉しいです。

ここはとっても広くて、緑の河川敷に座ると、人が多いときでも、あまり気にせず、読書などを楽しむこともできるのですよ。
ただし、橋の近くではダメで、歩いて歩いて、堤の端まで行くのがポイントですけれど。

後ろの山は、あの天下分け目の戦いで、豊臣秀吉と明智光秀が戦った天王山なんですよ。

ノロタンさんも、詩が好きですよね。
言葉で、見知らぬ詩人と、対話できるなんて、素敵ですよね。
作るときは、自分の心との対話かな?v-295
【2007/04/10 20:50】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]



こんにちは~☆

2枚目の写真の可愛い花びら、ドキドキしちゃいますね。

詩、私も好きです。
言葉の選ばれ方も、表記も・・・ひらがながたくさん使われていたし、独特の漢字の使い方だったり・・
改行されるペースや、本の中で文字の大きさや活字の色も、工夫されたものが多いですよね。
行間にあふれている思い、に ぼんやりしたり・・・
表紙も色だけでなくて、質感にこだわりを感じたりするものがたくさんあって。

手にとって、眺めているだけのことも、よくあります。
【2007/04/18 16:46】 URL | kimico #Zr2/WiYY [ 編集]

kimicoさんへ
今晩は。
>2枚目の写真の可愛い花びら、ドキドキしちゃいますね。
そう言われて見直すと、確かに「乙女」のようです。

kimicoさんも、詩が好きでしたね。私以上かな。
言葉以外の表記の仕方も、そう言えば工夫されているものがありますね。
そうそう、kimicoさんの好きな長田弘さんの詩集は、布の表紙がステキでした。

>手にとって、眺めているだけのことも、よくあります。
こういうゆったりとした楽しみ方こそが、詩集には向いているんですよね。
私なんかは、線を引いたり、写したり、せっかちで欲張り。・・・ちょっと反省。
詩集には、kimicoさんのように、見過ごしがちなところにも目をやる姿勢がいりますね。
【2007/04/18 21:58】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
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