心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く言葉-ひとりで立つこと
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図書館から借りてきた志村ふくみ・志村洋子『たまゆらの道~正倉院からペルシャへ』(世界文化社/2800円)を、残念なことに、読み切れないまま、期限切れで返却することになった。読み始めてすぐのP22に、心に響く言葉があったので、それだけ書き留めた。

老を上手に演出するとはどういうことか。今さら繰り言をいうわけではないが、もう本当は手おくれなのだが、中年から老年になる方に一言いいたい。姿勢だと。生きる姿勢。体の姿勢は弱り、折れ曲がる、併し精神の姿勢がそれを補ってくれる。医療でも美容でも環境でもない、自分ひとり、たったひとりで立つこと、それ以外はないと思う。

この言葉を読んだとき、すぐに、同僚が習っている書道の先生、Sさんという99歳の女性のことを思い浮かべた。40歳の時、ご主人を亡くし、その後は一人、今も自分で、暮らしのすべてをこなしておられる。
50歳になるまでは、小説家を目指し、新聞に文章を書いたりしていたそうである。同僚から借りたSさんの小説に、感想を書いたところ、ご本を頂き、お話を伺う機会があった。

実は、Sさん、50歳を目前に、自分の進路(小説家か書道家か)に迷い、何人かの手相見に占ってもらったそうである。いずれも書道家との答えに、習い始めたばかりの書を本格的にやる決意をし、今も現役で教えておられるばかりか、老人施設にボランティアで書の指導に行かれているというから驚きである。
しかも書を始めたきっかけが、色紙に書いた字を見た知人に「こんな下手な字ではいけない」と、準備万端整えて書の先生のところに連れて行かれたことにあるという。何が、人生を変えるかわからない。

この話を聞いて、大いに励まされた私は、短歌・俳句・ブログと、かねてよりやりたいと思いつつ、時間がないと諦めていたことに、一歩踏み出した次第である。50歳からだって一人前になれるのだと、一人でお洒落も忘れず、きりっとまっすぐ生きておられるSさんのことを思っては、自分に言い聞かせている。

ちなみに、Sさんは、毎日、コンビニにアイスを買いに行くのが楽しみだという。スイカとお肉が好物だとも伺った。元気の素は、こんなところにもあるのだろう。

もう一人、会社勤めをしていた頃の恩人、Yさんの生き方にも、励まされる。彼女は今年100歳。足が少し不自由だが、今も旅館の玄関で、椅子に座り店番をしている大女将である。昔から豪放磊落というのか、太っ腹な人で面倒見がいい。用があって出かけるたびに、私のためにとあらかじめデパートで買っておいた、洒落たアクセサリーなどをプレゼントしてもらった。

昔から政治の話や難しい話をするのが好きな方だったが、今も毎月発行される『文藝春秋』を楽しみにされているという。先に書いたSさんも『文藝春秋』の読者で、毎日4時間の読書を欠かさないという。
このお二人の女性は、こんな年の取り方をしたいと、私が思う憧れの先輩である。

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                    【写真は2枚とも、兄の畑の「絹さや」の花です。今年5月の連休に撮影。】

テーマ:みんなに紹介したいこと - ジャンル:ブログ

この記事に対するコメント

まじまじと見たことなかったんですが、絹さやってこんな花を咲かせていたんですね。
長寿の方に長生きの秘訣を聞いた記事がメディアに載りますけど、なるほどと思わせ
られながらもみんなが同じではなく、それぞれに持っていることが精神的にストレスを
溜めない最前の方法かもしれません。
生きていく、けして生きながらえさせられるのではなく。
医療が進歩した今日ならではの、ありがたくも悩める問題です。
【2007/05/13 23:16】 URL | こもれび #hGt.gl.I [ 編集]


お久しぶりです。
連休を義父母と過ごし、その後実家にも立ち寄って、専ら高いところの掃除を手伝って帰ってきました。(欄間の障子を張り替えたり、お風呂場の天井を拭いたり・・・。)
そして帰宅後、ブログで4つ葉のクローバーを見つけてから、茅ヶ崎の娘のところへ・・・と、実力(?)以上に働いておりました。
やっと落ち着いたところです。
帰省の度に、KANEGONやimagineさんたちと会う余裕が欲しいわと思うのですけれど、いつも、JR松山駅と空港を往復するだけで終わってしまいます。
改築が終わった松山城や坂の上の雲ミュージアムにも行ってみたかったわ。

ブログに関係のないコメントで、ごめんなさい。
また、よろしくお願いしま~す。


【2007/05/13 23:58】 URL | keiko #- [ 編集]

絹さやのお花
こんなにハッキリとした色だったんですね。
可愛いわ、スイトピーに似てますね。同じマメ科だわね。

老いって、
70代くらいから個人差が大きくなるように思えます。
80代で家族に半介護状態の方もいれば、SさんやYさんのような方もいらっしゃる。

娘のお稽古の先生は83歳1人暮らし、パソコン、デジカメを使いこなして「都心の人のいない風景を撮りたい」と早朝、横浜からお1人で撮影に行かれるような方です。
妹も同じ先生にお稽古を受けていますが自分の姑と(同じ歳らしい)比べてあまりの差にいつも嘆いています。
この差はどこから来るのでしょう。
よく娘と話します。
この先生は創造力が素晴らしいそうです。好奇心も旺盛とか。

私も出来る限りひとりで暮らしたい思っています。
先輩の方々の生き方を参考にさせて頂いています。

【2007/05/14 11:26】 URL | ベンジャミン #oUPgpoCM [ 編集]

恩人のお別れ会
お久しぶりです。本当に、本当に。

昨日私が文庫を始めた大恩人Sさんのお別れ会に参列しました。
6月で98歳になられるところでした。
2年ほど前までしっかりされていて、その方の文庫で本の希望内容を言うとすぐに適した本を何冊か選んでいただき、児童書はそれぞれ内容まで紹介して下さいました。
Sさんが選ばれた文庫の本は全て良いものばかりで、私の本選びのお手本でした。
記憶力の良さ、誰も拒まない優しさ、亀さんが紹介されていた「生きる姿勢」の素晴しい方でした。
もっと色々お話がしたかったと残念です。
私の文庫活動をいつも応援してくださいましたから。

教会でのお別れ会に始めて参列したのですが、仏教と違って派手さが無く牧師さんのお話も心に染み渡りました。
Sさん本人の生き方がなお一層そう思わせたのでしょう。
長男さんの挨拶で「信念の人でした。完璧に生き、完璧に亡くなりました。今日はちょうど母の日で、毎年この日が来るたびに母を思い出すことでしょう。」と言われたのが印象的でした。


ところで突然ですが、今週末19日夜にNHK「日本の、これから」に出ることになりました。
たくさんの中の一人だと思いますが。


【2007/05/14 15:54】 URL | GANKO #- [ 編集]

またしても間違い
「初めて参加」を「始めて参加」に間違えました。
しっかり読み返したはずなのに。  トホホホホ
【2007/05/14 15:57】 URL | GANKO #- [ 編集]

こもれびさんへ
>生きていく、けして生きながらえさせられるのではなく。
そうですねえ。心身ともに、人のお世話になるのは最小限にしながら生きていきたいとは思いますが、実際のところ、どうなるかはわからず、せめて意識や意志のはっきりしている時に、自分の理想は明確にしておきたいなと思います。

あの戦争を越え生きてこられた方々は、やはりかなりの生命力の持ち主なのでしょう。
Sさん、Yさん、お二人ともさわやかで、愚痴のないところが、強さの秘訣でしょうか。
【2007/05/14 21:03】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

keikoさんへ
お帰りなさい。
連休で帰省するとき、ブログの感想をメールで送ってくれましたね。
律儀なkeikoさんらしいな、と感心しました。
両方の親御さん、娘さんと、またもや大忙しの合間を縫ってのコメント、ありがとう。
田舎ではのんびりというわけにはいかず、あれこれお世話が大変でしたね。
でも、田舎の風と光と空気は、格別ではなかったですか?

私も連休中に、ミニ同窓会の夢を見ました。
実際には会えていなくても、心の中に会いたい友が居るというのは嬉しいことですね。

『坂の上の雲』は、司馬遼太郎さんの作品の中で、読むのに一番時間がかかりました。
ミュージアムには、賛否両論あったようですが、うまく運用されるといいですね。
【2007/05/14 21:12】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

ベンジャミン さんへ
絹さやの花、そうなのです。
私も写真に撮るまで、あまり意識していなかったけれど、野菜の花、きれいですね。

>この先生は創造力が素晴らしいそうです。好奇心も旺盛とか。
娘さんと妹さんが習っておられる先生も、素晴らしいですね。
新しい機器を使いこなし、行動力があって。

私の知っている高齢の方々で、魅力的な方も、みなさんやはり行動力があります。
そして、知的好奇心や文化への関心が高く、勉強熱心です。
人の悪口や愚痴を言うことも少ないのではないかしら?
それに、偉そうじゃなくて、可愛げがあります。

もともと生命力も旺盛なのだと思いますが、やはり「ひとりで立っている」ことは大きいかしら、と思います。
このように年をとれたらいいですよね。
ベンジャミンさん、好きなことがいっぱいあって、それぞれに究めて楽しまれてるから、大丈夫ですよ。
【2007/05/14 21:24】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

GANKO ちゃんへ
ほんと、お久しぶりです。
GANKO ちゃんのところにも、ステキな方がおられたんですね。
>記憶力の良さ、誰も拒まない優しさ、「生きる姿勢」の素晴しい方
人間の器量が大きく、心の深く豊かな方だったんですね。
こういう尊敬できる方を、身近にもてて、GANKOちゃんも幸せでしたね。

>「信念の人でした。完璧に生き、完璧に亡くなりました。母の日・・・」
息子さんの言葉も素晴らしく、また、情感があります。
立派な、そして、よいお母さんでもあったのだなと感心しました。

>教会でのお別れ会
に憧れて、クリスチャンになる方もおられますよね。
私の叔父も牧師で、いとこはパイプオルガンなど弾いているので、教会は私にも身近な場所です。
ただ、私自身は、お線香の匂いや仏像などが好きなため、お寺の方を身近に感じていますけれど。
東大寺は、檀家もお墓も持たないお寺ですが、お坊さんたちには、魅力的な方が多いので、好きなお寺です。

NHKのテレビ、気をつけて見てみますね。すっかり、有名人ですね。すごいなあ。
うんと前に紹介したイル・ギ・オットーネの笹島氏も、よくテレビに出ているんですよ。
【2007/05/14 21:43】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

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【2007/05/17 00:16】 | # [ 編集]

秘密のアッコちゃんへ
ありがとう。
楽しみにしています。
個別に連絡しますね。
【2007/05/17 17:57】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年1月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !



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