心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く言葉-佐野藤右衛門さん
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                 (京都醍醐寺で撮影・小さいのはクリックすると少し大きくなります。)
         
 
 佐野藤右衛門さんの言葉
「人間はいらんことばっかりしているんですわ。そやから、わしは相手のこと、植物のことを考えて人間がやれていうんですわ。」


16代目佐野藤右衛門さん(77歳)は、円山公園の枝垂れ桜など全国の桜を守り、自宅でも跡継ぎの桜を育てている。桜の保存や普及に力を入れているので桜守(さくらもり)と呼ばれている。
桜を人間の都合でなく、植物の側から見てみようと思ったのは、この人の本『桜のいのち 庭のこころ』(草思社・1600円)と『桜よ』(集英社・2100円)を読んだからである。

京都で特に好きな桜の名所、原谷苑と半木(なからぎ)の道について、『桜よ』に書かれていたことが、心に残ったので以下にまとめてみる。

 原谷苑について-原谷は谷あいで、昔は人が行けない荒れ地だった。満州からの引き揚げで住むあてのない人らが入り、電気もないところで苦労した。その時に持ち山だった人が、そうした苦難の日々を慰め、原谷に彩りを添えようと、桜の苗を育て、若木を植え、今や枝垂れ桜の森となった。(今は、繊維会社の私有地のため、花時だけ、一般公開されている。)」

 半木の道について-「紅枝垂れ桜の並木で美しい半木(なからぎ)の道ができたのは、昭和48年頃。鴨川の河川敷には、桜並木が続いていたが、植物園の近くだけ途切れていて、当時の蜷川知事の『殺風景や』の鶴の一声で、佐野藤右衛門に声が掛かり、並木をつくりあげた。」


『桜のいのち 庭のこころ』の中で、次のことが印象的だったので、まとめてみる。

 「先代は本願寺の門主大谷さんの指示【=シベリア鉄道沿いに百万本の桜を植えよう。日本の国花で国威高揚というのではなく、美しい桜で、日本・中国・ロシアの親善と世界の平和を祈願したいとの考え】で十万本の桜の苗木を、三万平方㍍ほどの土地を借りてつくった。
ところが、戦時中の食糧増産のために農地転用の命令を受け、三万本を寄付、三百本の優良種を宇多野療養所に贈り、残りの七万本は断腸の思いで処分したという。」

以下は、桜のことがよくわかるので、そのまま引用したい。

 「何でも人為的に、人間の都合で判断する。自分の見たところで木までそうやと思っている。人間の生活と同じリズム、状態のことを相手にさせようとする。日本のあちこちの桜を見に行くと、ぜんぶそれですわ。それが日本の桜をだめにしているんです。うまく育てるには、まず放ったらかしにすること。それからいわゆる根の環境をうまくしてやること。人間の目に見えるところでかまってやれるのは虫と病気だけですわ。
台風とかいうときは折れるけれども、これはもうしようがないことですわ。寿命がきてそうなって、徐々に弱るものもある。そのかわり、そういう木は種を落として横のほうで子孫ができているはずなんです。それも鳥やら動物やらがおってくれなんだらいかんわけですわ。まず、鳥と昆虫と土の中の虫、まあ、極端にいえばミミズとかああいうものが生息できる環境をつくっておけば大丈夫やというんですわ。(中略)
人間はいらんことばっかりしているんですわ。そやから、わしは相手のこと、植物のことを考えて人間がやれていうんですわ。」

青いシートを敷いて大騒ぎする花見より、次のようなお気に入りの桜を見つけたいものだ。

 「たとえば、何げなく、春の山で出会った桜の木が気にいり、その木のことが気になり、毎年会いに行きたくなる。これが、花見だ。そのうち、その桜の、春だけでなく、葉桜も、雪をかぶった樹木も、精一杯ふくらんだ蕾まで、いとおしくなる。」(『桜よ』より要約)


テーマ:日々、想うこと - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

最近、思うことは、いかに人間とは傲慢かと。私もその一人だが、この自然の循環を「科学」で分断してしまっている。この地球は、今生きている私たちだけの所有物ではなく、何十億年のほんのひと時を借りているという謙虚さが必要。佐野藤右衛門さんの言葉にあらためて思う。半木の道は、私の大好きな道。特にこの枝垂れ桜の時期は美しい。今日もお稽古の帰りに通る。花見客でいっぱいだったが、今日の曇り空(湿気を帯びた空気)に美しく映えていた。まだ蕾もあり、しばらくは楽しめそう。蜷川知事の一声で植えられたとか、その後、何十年経ても人々を楽しませてくれている。こういう平和な行政は、大歓迎。コンクリートばかりに税金を使わないでと願いたい。
【2006/04/13 16:18】 URL | seiko #- [ 編集]

seikoさんへ
ほんとにその通りです。例えば、土建業と造園業が同じ会社で、バランスの良い仕事ができるといいのに。佐野藤右衛門さんの本には、頷くことばかり書かれていました。
一本気になっている枝垂れ桜を見ようと、いつもと違う帰り道を行ったら、会いたいと思っていた人に偶然会いました。桜の精が、誘ってくれたおかげですね。花はもちろん最高でした。
【2006/04/13 19:24】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

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【2006/09/07 21:46】 | # [ 編集]


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Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
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空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

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300冊、就職後は100冊~150冊。

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2006年 3月17日から始めました。
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