心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く言葉-河瀬直美監督の言葉より
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 この連休は、台風、地震と続き、大変でした。皆さんの所は、大丈夫でしたか。新潟は、連続して大きな地震に遭い、しかも犠牲者が出てしまい、なんと申していいか…。
一日も早く、平常の生活が戻ってくることをお祈りいたします。

 今日は、最近心に残った言葉をご紹介します。
今年で第60回というカンヌ映画祭で、河瀬直美監督最新作『殯の森(もがりのもり)』がグランプリ(審査員特別賞)を受賞しました。先日見に出掛けたのですが、初日で舞台挨拶もある日だったため満員で入れず、後日再挑戦と相成りました。それ以来、河瀬直美監督関係の記事が目につき、しかも「いいこと言ってはる!同感!」と思うことが何回かありましたので、いくつか引用してみます。

【受賞コメントより】
映画を作り続けてきていて良かった。それは人生にとても似ていると思う。混乱、とまどうこと、色んなことがある中で、心に拠り所を人は求める。でもその心の拠り所は、形あるものに求めてしまう。お金とか、いい服とか、いい車とか…。 でも目に見えないもの、たとえば光とか風とか、なくなった人の面影であるとか、そういったものに人がなにかの支えを見つけたときに、その人は、真に豊かな心を持って生きていくことが出来るのだと思います。そんな想いをこめたこの映画を、評価して下さってありがとうございます。この世界に希望をこめてこの映画を届けます。

【7月13日の新聞広告より】
脳科学者茂木健一郎氏との対談
河瀬監督 : 私たちはつい形あるものばかり追いかけてしまいますが、見えないものにも心の目を向けると、きっと目の前にある具体的なものの見え方も変わってくるのではないでしょうか。
茂木氏 : よくわかります。そもそも人間の脳自体が森のようなもので、神経細胞も木の葉がさざめくように音楽を奏でています。普段、気づかないものにいかに意識を向けられるか。それによって、人間の感覚も行動も、どんどん開かれていくものです。
河瀬監督 : たしかにそのことに気づくと、世界の見え方はだいぶ変わってくると思います。


 濃い字にしたところは、特に共感を覚える部分です。両方とも同じことを言われています。監督が映画を作るときのテーマなのだろうと思います。レベルは全然違いますが、私も俳句や短歌を作っているときに、こんなことをよく感じます。人の詩歌や小説などを読んでいるときや、人と話をしているときにも、こういうことを大切にしている人だなとと思うと、親近感が湧きます。どうせ生きるなら、こういうふうに生きていきたい、この頃特に強く感じます。

0360706banpaku.jpg【写真は2枚とも万博公園】

テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

この記事に対するコメント

都市部の私たちの近くの自然でさえ、こんなに雄大だと感じさせる素敵な写真ですね。
河瀬監督の言葉はどれも味わい深いです。映画に込めた哲学的な思いを感じます。ただ本当言うと、これは河瀬監督だけではないのですが、映画監督で雄弁に思いを語れる人は、映画で観客に自分の思いを説明しきれていないことが多い。フランスで絶賛されるカンヌ系の監督は時々自分の思いが空回りする様に思います。作品がそれだけ観念的で難しいから監督の補足が必要ともいえますが。今監督の舞台挨拶等が増えて、監督に雄弁さが求められるのですが、ある監督にインタビューした時、「私は映画監督です。伝えたい思いは総て映画に込めたつもりです。それ以外のことを補足するのはどんなもんでしょうか。伝わらないとしたらそれは私の力不足だと思っています」とやんわり拒否されました。ここに素敵な職業人を見て、私は反省したのです。そんな点から見ると、河瀬監督の雄弁さが、言葉としていいなと思いながら、いくらかの違和感にもなるのでした。何時か監督がもっと年を重ねたら、これほどの言葉での心情の露出を未熟さと恥じるのではと、思ったり。もちろんカンヌに乗っかって、シャワーのように取材するマスコミも悪いのですが、真のクリエーターならばその思いこそ心の奥に沈めて次回作の肥やしにするべきだと、複雑な心境です。語らない監督達も、たとえ娯楽作品を作る監督達でも、内面にお持ちのものは当然ですが相当に深いです。笑って言わないだけで。・・・と、ちょっと露出過剰な河瀬監督を気遣って、辛口のコメントでした。
【2007/07/18 10:51】 URL | 犬塚 #- [ 編集]

犬塚さんへ
いつもの万博公園も、人が訪わなくなり、草が茂ると、ちょっと違った感じで、整った公園より、こういうワイルドな方が好きです。

>映画監督で雄弁に思いを語れる人は、映画で観客に自分の思いを説明しきれていないことが多い。フランスで絶賛されるカンヌ系の監督は時々自分の思いが空回りする様に思います。
学生の頃、背伸びして、評判のフランス映画を見に行ったけど、ちっともわからなくて、自分の未熟さを悲しく思ったことを思い出しました。
そういえば、フランス人は、わからないことをかっこいいと喜ぶ癖があるのかもしれないと、負け惜しみで思ったりもしました。

短歌も、すぐわかるの、鋭くないとわからないのとあり、私はまだまだわからないのが結構あります。ただわかりすぎるのもつまりません。
短歌の通、映画の通、玄人好みのするものとそうでないものが、あらゆる世界にありそうですね。
わからなかったのが、勉強したり慣れてくると、わかるようになる、ちょっと自尊心をくすぐる部分も、魅力的なのかも。
これは、いろいろ考えると面白いかもしれません。

>そんな点から見ると、河瀬監督の雄弁さが、言葉としていいなと思いながら、いくらかの違和感にもなるのでした。
なるほどねえ。犬塚さんは、たくさん映画を見ているから、鋭い指摘だなと思いました。

文庫本で言うと、解説を先に読む感じでしょうか?
私は、まだ映画を見ていないので、何とも言えないのですが、ここまでテーマを示したら、あとはそれをどう表現したか、それを見て欲しいのかなという気がします。
難しい本や、もうひとつ興味のわかない本の時、解説を先に読むと、楽しめたりすることがありますから。

監督さんは、もしかして、わかりにくい映画だろうと自分でわかっていて、予防線を張っているのでしょうか?
今までは限られた、コアな観客だったけど、今回は、受賞したということで、私のようなミーハー軍団も見に行くでしょうから…。
またまた、犬塚さんならではの感想を聞きたいところです。

【2007/07/18 19:14】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


河瀬監督は「萌の朱雀」で存在を知りましたが、その後の作品はあいにく見ておりません。
奈良など自分のこだわりを持って創作を続けられるのは羨ましくもあり、また敬服もします。
なるべく物事を見過ごすことなく、自分だけでなく人にも伝えていけたらと、分相応のことを考え続けてきました。
成果はあったかどうかはともかく。
【2007/07/18 22:56】 URL | こもれび #hGt.gl.I [ 編集]

こもれびさんへ
私は、まだ一度も見たことが無いのです。
過去の作品を見た同僚の話では、わかりにくかったそうで…。
奈良という、歴史もあり自然も豊かな土地の力も大きいでしょうね。
自分のこだわりと、世間に認めてもらえるかどうか、というところで、芸術家はせめぎ合いがあるし、勝負も賭けてみるのでしょう。

>なるべく物事を見過ごすことなく、自分だけでなく人にも伝えていけたらと
こもれびさんの目の付け所は、考えるヒントになることが多いです。添えられた言葉も。
成果はあると思います。少なくとも私は、興味深く、刺激を受けながら見ています。
【2007/07/18 23:42】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


緑豊かな公園ですね。
太陽を暫く見ていません。

『殯の森(もがりのもり)』観ました。
せりふが少なく自然の中でのシーンが殆どです。
やはり夫の事を重ねて観てしまい、監督の言いたい事は対談やインタビューで察知したような鈍感な私です。
カンヌ受賞の映画は「多くを語らない」ものが多い気がします

気付かないものに意識を向けるとものの見方が変わってくる、それは事実だと思いますが、気付かない事になかなか気付かないのです。

少し違いますが・・・
ブログを初めて狭かった世界が少し広がり、
今まで気付かなかった(知らなかった)世界が見えてきました。
壊れやすい心、向上心あふれる方、病の事、趣味の事、地方の生活、、、

難しい本の解説を先に読む、時々します。

【2007/07/19 10:46】 URL | ベンジャミン #oUPgpoCM [ 編集]

ベンジャミンさんへ
今日は、一日涼しい風が吹いて、さわやかでした。
この公園は、我が家の庭代わり!ですが、あのEXPO’70の跡地です。

『殯の森(もがりのもり)』、もう観られたんですね。
あらすじはだいたい知っているのですが、ご主人を亡くされてまだ日の浅いベンジャミンさんには、辛かったのではないでしょうか。

>気付かないものに意識を向けるとものの見方が変わってくる、それは事実だと思いますが、気付かない事になかなか気付かないのです。
ああ、そうなんです、私も。普通は、そうなんですよね。
だから、映画やお芝居を観たり、絵画や音楽で気付いたり、小説などで「あー」と思ったり。
鋭い人が気付いてくれて、その人の表現を通して知るということが、ほとんどですね。

よく通るお寺の前に掲げてある言葉が、字も含めて好きなのですが、先日はこう書いてあり、気に入ってメモをしていましたので、お披露目しますね。
仏様を拝む人は多いが、拝まれている私だと気づく人は少ない。

ベンジャミンさんは、ブログのお友達も多いから、いろんなことを知って幅が広がりますね。
私は、ブログの世界でも出不精(デブ性じゃないよ…な~んて)で、駄目ですね。
それでも、今まで知らなかった世界を、ブログを始めることで知りましたし、関わりも確かに増えたし、深まりもしました。
それによって、気付かされたことは、いろいろあります。

ベンジャミンさんも、本を解説から読まれることがあるんですね。
みなさん、結構同じことをしてそうですね。
【2007/07/19 21:26】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


映画は観ていませんが、河瀬監督の記事は何度か読みました。
犬塚さんのコメント、なるほどなあと考えさせられます。
「作品にすべてを込める」というプロ意識がかっこいい。

そういう私は、いっぱい説明してもらわないと細部まで理解できないことが多く、
美術館でも「ガイドを聴きながら観て歩く派」なのですが、それって作者自身の解説ではありませんものね~。作者や監督が解説すると、自由な感じ方が制約される・・という面もあるでしょうか。
以前、かぐやひめ「神田川」の「ただあなたの優しさがこわかった」のフレーズを作者が解説されていて、「こんなに優しくて幸せな生活をしていると、もう全共闘で闘えなくなる!とこわかった」のですって。私はずーっと「今が最高に幸せだからこそ、この幸せが永遠に続いてくれるだろうか・・と不安で」と受け取って共感していました。(笑)

目に見えないものを大切にする・・・大事なことなのに今の時代に欠けているものの一つでしょうか。

P.S.はおちゃん、元気になってよかったですね!
【2007/07/26 14:54】 URL | keiko #- [ 編集]

keikoさんへ
『殯の森(もがりのもり)』を観てきました。
こんなに深く、人は人を思うことができるのか?!というのが、一番強い印象です。
あまり細々と語らない映画なので、受け取る側の幅がかなりありそうだなと思いました。
登場人物と知らない間に一体化していたので、見終わったあと、体力が消耗していました。
役者さんは、体力がいるなあとつくづく思いましたよ。
奈良の自然が作らせた映画かもしれないと、思いました。

「神田川」、私もkeikoさんと同じように思っていました。
「言わぬが花」ということもありますね。面白いエピソードですけれど。
短歌の歌会ではよくあるのですよ。
作り手より読み手の方がずっと深く読んでくださって、作り手が本当のことは言わない方がよいという場面。

よい読者、よい観客を持つと、作品も深まるのでしょうね。
深まりすぎて、メジャー受けしなくなるというのも、よくあることですが…。
芸術は、この辺のバランスが難しいのかな、と思います。

ハオは、すっかり元気です。
でも、昨夜はうっかりベランダに閉め出ししまって、朝の悲しそうな鳴き声でビックリ。
必死で謝り、撫で撫でして、信頼回復に努めました。
【2007/07/26 21:42】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !
2017年 9月26日カウンター343434通過



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