心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く風景-円山公園の桜
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      (円山公園で撮影・若い方の枝垂れ桜)

しばらくは花の上なる月夜かな  松尾芭蕉
清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき  与謝野晶子


与謝野晶子は、美的感覚の優れた与謝蕪村の句が好きだったというが、もちろん、松尾芭蕉の句もたくさん読んでいただろう。これらの句と歌の描く世界が、似通っているのが面白い。
桜は、満月が近づくにつれて、花を咲かせるというから、おそらく、ふたりの見ているものは、満開の桜と満月。これ以上完璧な取り合わせはないと思われる。
芭蕉の句は、江戸の桜の名所上野、晶子の歌は、京都の桜の名所円山公園辺り、時代は異なるが、「美」に出会えた幸福を素直に詠っている。
散る桜を詠った名句・名歌は多いが、満開の桜を詠んだものは少ない。対するに、相当な力量と覚悟が必要なのだと思う。なぜなら、桜はすでに存在そのものが、助けを必要としない「美」であるから。

実は、上野公園の桜も円山公園の桜も見に行ったことがある。大変な人出に、出向いたことを後悔した。夜桜なら、人の姿が少し気にならずに、楽しめたかも知れないが、自信はない。
円山公園の枝垂れ桜を、初めて見に出掛けた時のことだ。たまたま隣に座っていたアメリカからの旅行者に、「有名な桜はどれか?」と尋ねられて、一瞬答えるのを躊躇った。
先代の佐野藤右衛門さんが、大変な苦労をして育てた枝垂れ桜が、カラスの害に遭って、痛々しい様相だったからだ。園内の三本の枝垂れ桜は、人が踏まないように柵で囲ってある。
染井吉野の桜の下には、びっしりと青いシートが敷き詰められ、小屋のように巨大なゴミ箱が置かれ、屋台がずらっと並ぶ。人間の出すゴミに、カラスが集まるわけで、ここの桜は、人間の物見遊山とお金儲けの材料にされて、疲れ切っているように思われた。

円山公園には、日本国内からだけでなく、外国からも、多くの人が、「日本の春の風景=京都の桜」を求めて集まっていた。もっと幸せな姿の桜を、見てもらいたいと思った。

ヒマラヤからはるか中国を越え、日本の風土に合って定着した桜。もはや日本の自然にも文化にも欠かせない、象徴的な存在でもある桜。
たくさん心に響く桜を見てきたが、今回は、心に痛く響く桜の風景である。

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大空の亀 

Author:大空の亀 
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ハオは2006年5月5日生(伝)。
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