心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
あんなことこんなこと-大震災から13年&お知らせ
2008年1月17日
 阪神・淡路大震災から13年。1月17日午前5時46分の恐怖の揺れは、今でも体がしっかり覚えています。大阪北摂地区にある我が家は、神戸や西宮のような甚大な被害は受けなかったのですが、今までにない大きな揺れに、マンション全体が倒壊するかと怖くてなりませんでした。観音開きの食器棚からは、食器がバンバン飛び出し、床は割れ物で足の踏み場がない状態。ラジオをつけると「大きな被害はない模様」との声。「ウソ~!」と叫びながら、取りあえず出口を確保せねばと、玄関扉を開けに行くと、屋上の給水槽が壊れ、水がザアザア流れ落ちていました。「こんなんだもの、学校は当然休校よね。」と、家族みんなで片付けを始めていたら、階下の方から「登校してるよ~。」の声。我が家のある10階と、1階とでは、様子が全然違っていたようです。それでも、数日間は水道が使えず、不自由な生活でした。食器もほとんど割れ、「もう100均ので十分よね。」と言っていたのに、「喉元過ぎれば」何とやら…、また、上等な食器が増えています。非常持ち出し袋も、先日片付けてしまったし、我ながら、情けないなあと思ってはいるのですが…。

以下は、私と同じ北摂地区在住の歌人による歌。どれも皆、とても共感を覚えます。

真中朋久
ゆれうごくあけがたの部屋に妻の腹をかばひゐたり七ヶ月の腹を
わたしではなくてお腹(なか)をかばつたといまも言ふあれは冬のあけがた
登校する子と四辻でわかれたりふりむけばまだそこに立つてゐる
影踏みつつ跳ねてゐし子は森蔭に入りてふたたびわが手を握る
揺れうごく記憶がまれに身のうちによみがへりそのたびに躓(つまず)


道浦母都子
<一九九五年一月十七日……>
この夕べ煙らう雨は繭となり震えやまざる地表を包む
本は凶器 本本本本本本本本本本本 本の雪崩
地震直後恐れ覗きし窓の外「空白喩」なる静けさがあり
たくさんの人が死んだのに……
あかねさす生の側にて光り立つ黄の水仙とこのわたくしは
寒の水喉(のみど)ゆっくりすべり落ち生ある者を水は流るる
貝塚の上に浮かべる赤き月地震前夜の夢に見たりき


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 新聞は、数日前から「阪神大震災」の特集が組まれており、改めて、当時の神戸や芦屋・西宮の惨状を思い出しています。今日の夕刊に、当時6年生だった少女の作文が載っており、よく知っている人たち十数人をも一気に失ってしまった、彼女の心の痛みを思いました。地獄を見てしまった少女の文章には、「生きること」について大切なことが、すべて書かれていました。素晴らしい内容でしたので、一部を抜粋させてもらいます。

今回の震災で、生きていることがすごくいいことだと考え直された。死ぬと、なにもできなくなってしまうけど、生きている限り、夢や可能性は無限だ。たった一度の人生だから、みんな死ぬまでに、たくさん思い出を残そうとして、必死で生きているんだ。 死んだって、そこでその人がばったりおわってしまうわけじゃないと思う。他の人の心の中で、第二の人生が始まるんだ。 生きていること。それは、困難のかべにぶつかりそれを乗りこえること。約束された死までの時間を輝くものにすること。 死んでしまうこと。それは、輝く人生を終え、他の人の心の中で、永遠に生きてゆくこと。

以下は、神戸・芦屋などに在住の作家による川柳・短歌・俳句です。

時実新子
平成七年一月十七日 裂ける
あと少し生きる地震の罅(ひび)の身で


尾崎まゆみ
元町駅高架を過ぎてばらばらの空が繋がりひかりあふなり   


稲畑汀子
無事といふことを語るも悴(かじか)みて
寒月の照らすは地震(なゐ)に崩る街
被災地を離れず住みてクロッカス
早春の言葉被災地同志かな


永田耕衣
枯草の大孤独居士ここに居る  
白梅や天没地没虚空没


地震による被害があったとは言え、やはり、北摂の私たちと神戸の人たちとでは、気持ちに大きな隔たりがあると感じました。想像力で、それを補う優しさを持たなくてはいけませんね。あのとき強く感じた様々な思いが、時間が経つにつれて、薄れていく…。それでは、亡くなった人たちが救われません。「軽くならないでよ!」と、自分に言い聞かせました。

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【4枚の写真は、すべて梅田スカイビル。この1月に、携帯で撮影。頭上にあるのは、空中庭園。】

お知らせ-リンク先など

① 昨年末最後に、ここのブログでご紹介した本 『ドキュメント仙波敏郎-告発警官1000日の記録-』 について、犬塚さんが、素晴らしい書評を書かれています。よろしければ、アクセスしてみて下さい。
http://journalist-net.com/08/01/10/231438.php

② 犬塚さんの映画評のブログができました。 『太秦からの映画便り』 リンクしました。 
http://eiganotubo.blog31.fc2.com/ 今までの所からでも、新しいこちらからでも。

③ 夢詩さんのブログ『夢色工房』 http://yaplog.jp/amunokobako/
だいぶ前にリンクしていたのですが、お知らせが遅くなりました。
手芸作品や日々の思いを綴った日記。別コーナーの「優枇庵-ゆうびあん」には詩や物語があります。
優しいお人柄のあらわれたブログですよ。

テーマ:日記 - ジャンル:日記

この記事に対するコメント

震災の川柳、短歌、俳句、心に染みます。
早、13年が経ちました。近くの火事で焼けた大正筋の商店街は建物だけは高くそびえています。しかし シャッターの閉まったお店が多く、海に伸びた新しい神戸の地下鉄線は人の利用も少なく寂しいです。不景気の風はどことも吹き荒れて大変です。人のこころも荒んできています。でもこういった時こそ 思いやりの行い、言葉が人の心に響くかもしれません。じっくりと生きていきたいと思います。
いつも このとき平松愛理さんがコンサートに参加しておられますね。彼女は病気をされたのですが、昨年から神戸に住んでおられるとか。須磨が大好きですね。そのはずです。うちの近くで昔からお父さんが医院を開業されています。海岸でよく安らいでおられるようです。
あの震災がうそのように須磨の海は遠くにパールの明石大橋も見えて、夕日がとてもきれいです。
【2008/01/18 16:16】 URL | よりやん #- [ 編集]

よりやんへ
今晩は。
大震災の時は、大変でしたね。
ここに引用した俳人の永田耕衣さんも、須磨にお住まいで、ご自宅は半壊状態でした。
10年前に、97歳で亡くなられましたが、大きな句を詠まれる方です。
当時、次々と広がっていく被害に、衝撃を受けつつも、整然と助け合われている現地の皆さんの姿に、感心したものです。
ボランティアが本格的になったのも、あの震災からでしたね。
日々の暮らしが、もっと安心して送れるようであればいいのですが、経済的に、日本全体が(一部の富裕層を除き)厳しい状態ですね。

>須磨の海は遠くにパールの明石大橋も見えて、夕日がとてもきれいです。
昨日、今日と、空が美しくて、さぞかし、海に沈む夕日はきれいだろうなと想像しています。
昔からの空好きで、気がついたら、空を眺めている私。須磨の夕日を見に行きたいな。v-482
【2008/01/18 20:50】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


淡々とした風景描写がお好きな稲畑先生にしては珍しい、心情の濃い句ですね。こんな句もお作りになるのだと、苦手意識(?)が薄まりました。・・・と、こんなことを書いていいのだろうか。すみません。
震災の頃は父の闘病で頻繁に四国に帰っていて、時間の関係で神戸からダイヤモンドフェリーを使っていたのが、ポートアイランドの桟橋が壊れて接岸できず、暫く大阪南港発になりました。松山までは船で一晩泊るのですが、いつもは爆睡するのに夜中に何度も船の振動を地震と勘違いして、飛び起きた事を思い出します。京都の私ですらあの揺れは強烈な記憶でした。それが神戸から出るようになって、初めてアイランド北口に下りたら、高層のビルは明かりもつかずのっそりと暗く、歩道や階段は、煉瓦や石畳が乱れていて、ああすごい事が起こったのだと、心底思ったものです。皆どうしているのだろうとしんとした高層群を見ながら、病院通いの心細さがよけいに増幅されました。それから暫くは神戸の町は青いビニールシートが目立ちましたね。この時被災した友人が「僕の年でもあの被害から立ち直るのは必死だった。もう一度あんな事があったら、自信がない」と、この前に新潟の被災者の皆さんを気遣った言葉が耳に残ります。

真の悪いことに、震災の数日後、(以前からの計画で)久しぶりのクラス会を京都で開いたのだけど、西宮の友人はもちろん来れず、他にも何人かが仕事やプライベートで、震災の復興支援に関わり欠席になりました。友人と泊った私は、夜中にエアコンの音を・地震と間違え、又もや飛び起きて・・と、そんな事をここを読んで思い出しました。
ブックレビューの紹介を有難うございます。
【2008/01/18 20:50】 URL | 犬塚 #- [ 編集]

犬塚さんへ
今晩は。
>苦手意識(?)が薄まりました。・・・
同感です。私は、飛行場で、一度お見かけしたことがあって、同じ俳人でも、坪内稔典さんとは、ずいぶん雰囲気が違うなと、思ったことがあります。
芦屋にお住まいだから、震災の痛みは、やはりお強いものがあったのでしょう。

犬塚さんも、神戸のあの惨状を見られたんですね。
お父様の看病のこととあわせて、忘れられない出来事ですね。
私も、更地や青いシートを見るたびに、胸が痛みました。
独身の時住んでいた所は、安いアパートでしたから、あのまま神戸に居たら、私も一緒に亡くなっていたかもしれません。
揺れへの恐怖は、いつまでも消えませんでした。今でも、地震が起こると、思い出します。
そういえば当時、復興支援のカンパなど、いろんなことに取り組みました。

話は変わりますが、こちらの昨日の地域紙「千里タイムス」に、若い方の句集の紹介が大きく出ていて、
その出版社が、 『ドキュメント仙波敏郎-告発警官1000日の記録-』と同じ創風社出版だったので、嬉しくて、思わず注文をしました。
毎年、松山でやっている俳句甲子園で、吹田東高校が優勝したときのメンバー、藤田亜未さんの初の句集『海鳴り』です。
今は、稔典さんが代表の「船団の会」の句会に参加とのこと。
瑞々しい俳句で、若い感性に脱帽です。
俳句、短歌、詩、優れた作品を生み出す方がいっぱいで、自分の才能のなさが、情けなくて嫌になります。
【2008/01/18 21:55】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

ご無沙汰してます。
おはようございます。

職場の小学校でも17日は地震の避難訓練がありました。
小学生はもう、みな、震災後に生まれた世代です。
当日の給食の献立の中に「乾パン」が含まれていたのですが、これもよくわからないようで。
どんな風に伝えていけばよいのかも、課題です。

地震のショックで陣痛がおこり、切迫早産で入院した病院の窓ガラスが割れていて、ダンボールで応急処置をしてあったこと、西宮から搬送されてきた妊婦さんがいらしたこと、思い出します。
今でも、子どもたちの寝る部屋には背の高い家具は置けません。
家全他の使い方としては、かなり、変な感じなのですが、まだ、気持ちがダメです。
 
【2008/01/19 11:21】 URL |  kimico #Zr2/WiYY [ 編集]

kimicoさんへ
こんにちは。
kimicoさんのご長男は、大変な状況の中での出産だったのですね。
阪神大震災の経験をしたのは、今の中学1年生までですね。
我が家は、もう小学校高学年と中学生でしたから、本人たちもよく覚えていますが、やはり、この体験が、子どもにも私たち親にも、何らかの形で影響を与えている気がします。

いつ何が起こるかわからないから、後悔しないように生きること。
物より大切なものが、人生にはあること。
ご近所の人たちと助け合うこと。

最近、新聞を読んでいると、若い世代に、魅力的な考えを持つ人が増えているようで、なんか嬉しい気がします。
年配の者が、嘘や偽りで、謝ってばかりいるのと対照的に、違法な雇用で苦しめられている若者が立ち上がり、行動している報道なんかを目にすると、「頑張れ~!」と、言いたくなります。
私たちも努力しないといけないけど、若者が新しく素敵な社会を思い描き、行動できる世の中になるといいなあと、心優しい若者たちを見ていて思います。
【2008/01/19 12:29】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2008/01/19 16:02】 | # [ 編集]

こっそりさんへ
寒くなってきましたが、v-276 風邪など引かれていませんか?
自分を見つめる時間は、大切です。
だって、自分の心と体が「私を見つめてよ~」って、欲しているのですから。
まずは、ご自身をいたわってあげて下さい。では、またね…。
【2008/01/20 09:47】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

1月17日
13年前の1月17日未明、愛媛松山でもかなり揺れました。ドカンと突き上げるような震度3の揺れに目を覚ましたのを覚えています。またすぐ眠ってしまいましたが、7時のニュースで飛び起きました。青春時代の大半を過ごした懐かしい神戸、TVに映し出された光景を俄に信じることはできませんでした。実際にあの激震を体験した友人は、ちょっとした揺れにもあの日のことを思い出し、怖くてしようがないと言っていました。須磨のよりやんも大変だったね。

亀さん、「ドキュメント仙波敏郎―告発警官1000日の記録」の紹介ありがとう。犬塚さん、素晴らしい書評をありがとう。できるだけ多くの人に読んでいただき、実態を知ってもらえるとうれしいです。2月19日に高松高裁で控訴審の第1回期日が予定されており、仙波さんが冒頭に意見陳述します。
【2008/01/20 22:12】 URL | imagine #- [ 編集]

imagineさんへ
今晩は。
あの大地震の時は、刻々とニュースの状況が変わり、ただただ呆然としていました。
長い間、更地のままの神戸を見るのは、辛かったです…。

「ドキュメント仙波敏郎―告発警官1000日の記録」、この本、ほんとに素晴らしかった!
ほんとは、たくさん買って応援できたらいいのですが、とりあえず、自分の近くの人に知ってもらおうと、家族、親戚、同僚と、回し読みしています。
最近の小説は、小さな世界で、自分の気持ちばかりにこだわって、面白くないなあ、物足りないなあと思っていました。
そこに、この本!力強くて、社会性があって、でも、人間のすばらしさが感動的で、心からいい本だなあと思いました。
読み終わった後、仙波さんに「応援してますよ!」って声掛けるためだけにでも、JR松山駅に行きたい気分でした。
【2008/01/21 18:30】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年1月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !



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