心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く言葉-この1ヶ月の心に残った言葉から
あかん        花は  
  この2枚の写真は、通勤途中に気になる言葉だったので、携帯で撮りました。

お寺の前に、達筆の素敵な言葉が、いつも掲示されています。今月の言葉は、「あかんことはしたらあかん」。昨年を象徴する漢字が「偽」というのは、誰もが納得するところでしたが、残念なことに、これは今年に入っても続いているようで、いったい今年の年末の言葉は何になるのだろうと、要らぬ心配までしている有様です。
あかんことはしたらあかん」-嘘つきもいじめも犯罪も、「したらあかん」。シンプルなことなのに、守れないとは、悲しいことです。

2枚目の写真は、ロータリーの花壇にある立て札です。「咲いている花は大切に!!」ここを通るたびに、へそ曲がり根性がむくむくとわき、「咲いてなかったら大切にしなくていいの?」「咲いている花は大切にって、今の世の価値観に合う人だけ大事にするみたい…」なんて、思ってしまい、なんだか不愉快になるのです。
花も大切に…」私だったら、こう書きたいな。

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 今回は、「言葉」に関した文で、印象に残ったものが多くありました。

ある小冊子に書かれていた宮地裕さん(阪大名誉教授)の言葉
学習でも生活でも、言葉というものは、吐く息・吸う息、人の一生のことである。ほかの人の言葉でも、時として、自分にとっての生涯の珠玉となる。人は毎日自分の中の自分と対話している。考えるということは、そういうことなのだから、と思う。考えることが、その人のなかに、なにものかを蓄積する。書き残された言葉は、その思いの軌跡であろう。(中略)事は常にわれわれ一人ひとりの身辺にあり、思索は常にわれわれ自身のなかにある。言葉は、「こんにちただいま」のことであるとともに「いついつまでも」のことでもあるのではなかろうか。

なかなか含蓄のある面白い言葉だなと思って、手帳にメモをしていたのですが、他のものを読んでいるとき、
高柳重信さん(俳人)の次のような言葉を見つけ、両者に重なる部分を感じました。
人々は誰かに会おうと懸命に努力しながら、また、ときに誰かと出会っていると錯覚しながら、自分自身に会うのである。

新聞に載っていた天野祐吉さん(子規記念博物館名誉館長・コラムニスト)の言葉は、雑誌「広告批評」の主宰者らしく軽やかでした。
文化はそもそも、人間がいろんな共同作業で生み出した「ひま」をどうつぶそうかと考え出したもの。その意味では、ただで遊べるのが言葉なんです。皆が遊び心を持つことが言葉を豊かにする基本です。

「岩波ブックレット」にあった清水真砂子さん(『ゲド戦記』の名訳で有名)の言葉は、共感を覚えるところがたくさんあって、嬉しくなりました。
私はいま、自分の子ども時代のことをぼちぼち書きはじめてていまして、自分が小さいときから、とっても言葉が好きだったことに、最近になって気がつきました。素敵な言葉に会うと、もう飛び上がるほどうれしかった。新しい言葉に会うと、それがやっぱり、うれしくてうれしくて。(中略)言葉はいまでもやっぱり面白くて、夫ともよく言葉で遊んだりしますけれど、でも私は変に優等生的なところがありまして、夫が変な言葉を使うと「そんな言葉はないはずだ」なんて言ってしまいます。すると夫は「ないから作ったんじゃないか」と言う。

清水さんのご主人と、天野祐吉さんは、言葉に対する感覚が似ているかもしれませんね。

最近、私は小説よりノンフィクションに興味があるのですが、小説について、お二人の方が同じようなことを書かれていて、印象に残りましたので、ここに書き留めておきます。
上記のブックレットで、清水真砂子さんが、
私たちが実際に物語を読むときは、意味だけを楽しんでいるわけではないですね。意味だけ楽しむなら、哲学の本で充分です。文学の場合はそれだけではなく、意味からこぼれ落ちるものがとってもたくさんあって、実はそれを、私たちは楽しんでいる。それが文学作品を豊かなものにしている。

新聞で、作家の保坂和志さんが、
小説とは読後に意味をうんぬんするようなものでなく、一行一行を読むという時間の中にしかない。音楽を聴くことやスポーツを観ることと同じだ。いま読んでいるその行で何が起こっているかを見逃してしまったら、小説の興奮はない。そこにあるのは言葉としての意味になる以前の、驚きや戸惑いや唐突な笑いだ。

本の種類や読む目的によって、自ずと読み方が違ってくるというのは、当たり前なんですよね。

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 毎週土曜日に放送されている「世界一受けたい授業」という番組が好きで、よく見ます。
先週1月26日には、国境なき医師団からエリック・ウアネス先生が来られていて、テレビや新聞で報道されない出来事を教えてくれました。
「世界から黙殺された出来事」のなかでも、アフリカのシエラレオネの子どもたちが、手首を切り落とされ失っている映像には、大きなショックを受けました。以下の文は、 「世界一受けたい授業」のHP(http://www.ntv.co.jp/sekaju/class/080126/03.html)から、一部抜粋したものです。

シエラレオネでは、ダイヤモンドが豊富に採れることから、それを狙う他の国との戦争が絶えず、国は常に危機にさらされていました。その後、11年に及ぶ内戦も2002年に終わりましたが、その痛手は今も残っています。それは、手や足の無い人たちです。反政府組織は政府を脅すために、罪の無い一般市民の手や足を切り落としました。手や足を失った人は、農業の収穫ができなくなり食料を反乱軍に頼るようになります。国全体も食料が減り、不安定な状態に陥りました。

ちょうど上記の清水真砂子さんのブックレットに、
ものを読むということは―こんな偉そうなことを言って恥ずかしいのですが―、言うまでもなく、書かれているものを読むだけではだめで、何が書かれていないか、新聞だったら何が取り上げられていないかがわかって、はじめて読めたことになるんですよね。

とあり、線を引いたりしていたので、ほんとにそう思いました。テレビのニュースや大新聞などは、どれを見ても大差ない内容で、ニュースソースが同じ、独自の取材努力をしていない、既にジャーナリストとしての誇りは捨てていると思うことが多く、最近特に不満でした。ニュースを見ているからと安心せず、自分から正しい情報・捨てられた情報を探していかないと、さらに「愚民」にされてしまうなと、正直、恐怖を感じています。

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 朝日新聞のアスパラクラブというHPに「筑紫哲也(ちくし・てつや)の緩急自在」というコラムがあります。共感することが多かったので、長くなりますが転載させてもらいます(一部除く)。

その年の状況を象徴することばが流行語大賞に選ばれるのだとしたら、昨年は「ワーキングプア」がそれでしょう。「一億総中流」とかつては言っていた国が、世界の先進国のなかで二番目に貧富の差が激しい国になった。その姿をそれは象徴しています。そういうなかで税金も物価もこれから上がるでしょうが、そんな負担とは比べものにならないくらいのお金を私たちはすでに召し上げられているのを気付いていますか。 ほぼゼロ金利が続いている預金です。家計からそれで収奪されているのは年間20兆円から30兆円と見られています。なぜこんな目にあっても(預金金利だけが「こんな目」ではありません)、みんな黙っているのか。私は暴動をけしかけているのではありませんが、こんなにみんなが「別に」と沢尻エリカを決め込むのは危険だと思うのです。何にも反応しない、放っておくというのは、活力自体が低下していることだからです。なぜ、そんなことになってしまったのか、そしてそういう社会に出ていく若者たちが生きていく力をどう身に付けていけるだろうか――が、この何年かの私の個人的関心事であり続けたのですが、このテーマはますます切実になりつつあります。

そういうなかで、私は近ごろ、この粗野で非人間的な市場万能型資本主義を正当化してきたひとつのキーワードの追放を唱えています。呪文のように、万能のワイルドカードのように振る舞っている、そのことばとは「自己責任」です。 ワーキングプア。格差社会を正当化しているのも、能力、努力が不十分で「下流」に落ちるのは自己責任だからという論理ですが、神以外のだれも、究極の結果責任など取りようがないことを劇的に証明し続けているのがサブプライムローンの引き起こした世界的な金融不況です。 ずさんな年金処理。C型肝炎薬害を起こした責任者たちはだれも自己責任など取りません。自己責任と言われてひるむのは、良心的な人、弱者、そして若者たちのように未完成人です。社会で起きていることを社会の問題として考えず、それで被害が及んでも「自分のせいだ」と思い込む人がふえれば、社会に活力など生まれないでしょう。 


黙っていてはいけない、私もつくづくそう思う日々です。濃い字は特に共感したところです。
【大きな3枚の写真は、ベランダから、刻々と変化する、ある日の冬空を撮ったものです。】
この記事に対するコメント
冬空
1枚目でビックリ、何かが始まるのかしらと思うほどの雲ですね。
でも2枚目、3枚目、と穏やかになってきた空模様です。

貧富の差、『格差社会』と言う言葉をよく耳にします。
私の身近だけでも強く感じます。

ドバイへの旅行、ヨーロッパへは時間がかかるからビジネスがいい、入院は個室、子供にブランドのお洋服、家中溢れるおもちゃ、孫へのプレゼントに何万円、
『富』の人がこれほど沢山いるのも不思議です。
でも、『貧』ももちろんいます。
おかしい、と思うことがいっぱいあるのにどうすればいいのか分かりません。

私自身は『富』には程遠いですが夫のお陰で『極貧』までは行きません。
仕事もせずにボランティアやお稽古が出来る今の生活…『中の下?』 『下の上?』で十分満足しています。
この満足がぬるま湯なんでしょうね。

『富』側の友人からのお誘いには「私に合わせてね」とハッキリ言っています。


「咲いている花は大切に!!」
確かに亀さんの仰るとおりだわ。
亀さんて、すごい!言葉に敏感なんですね。
私が鈍いってことなんでしょう(ー_ー)!!
【2008/02/01 22:48】 URL | ベンジャミン #oUPgpoCM [ 編集]


ぼくも写真見た瞬間に「咲いている花は大切に!!」に違和感を覚えました。
たしかに咲いた花を楽しむための花壇?なんでしょうが、人の心を含め、かかわりのあるすべてを大切にする気持ちを喚起したいといのがのそましいですよね。
掲げた人も心根の部分にはそんなことがあるんじゃないかなと好意的に受け止めてあげたいです。
きっと、花を摘まれてしまった苦い経験があったんでしょう。
【2008/02/02 10:59】 URL | こもれび #hGt.gl.I [ 編集]

ベンジャミンさんへ
こんにちは。
2時間ほど前に、コメントにお返事をしたのですが、来客があって、うっかり途中で送ってしまったので、仕切り直しです。

>『富』の人がこれほど沢山いるのも不思議です。
そうなんですよね。なんか、すっかり別世界の人みたいで…。
私には一生縁がないだろうなあ…、そうしたいとも思わないだろうけど…。

>おかしい、と思うことがいっぱいあるのにどうすればいいのか分かりません。
「おかしいよね」って声にすると、「私も同感」って言う人が結構います。
まずは、そこからスタートできるといいな?って思うのです。
黙ってたら、今のおかしい状態を認めてますよって、判断されますものね。

ベンジャミンさんは、不要な服を困っているところに送ったり、ボランティアで人のお世話をしたり、いろいろ努力されてて、偉いなあと思います。
私は、自分の富に溺れて、自分だけが楽しめばいいと思っている人は、悲しい人だなって思います。
よくテレビなどで、豪邸を自慢したり、アクセサリーを見せびらかしたりしている人が居ますよね。
(その人も、もしかしたら見えないところで、困っている人のことを助けたりもされているかもしれませんが…。)
少しでもいいから、困っている人のことを考えて行動できるような優しさは、忘れたくないなと思います。

>『富』側の友人からのお誘いには「私に合わせてね」とハッキリ言っています。
そうですね。こういうことがきちんと言えるって、友人関係を続けるには大事ですね。
私も、ブランド物には興味がないので、そういうお誘いは断ります。
たまに豪華な食事や旅行は、もちろん人生の楽しみであっていいのだけれども、それだけというのは、根が貧乏性なもので、落ち着かないというのが、正直なところです。

富が片寄らず、みんながバランスよく幸せに暮らせるといいですのにね。
【2008/02/02 12:00】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

こもれびさんへ
>掲げた人も心根の部分にはそんなことがあるんじゃないかなと好意的に受け止めてあげたいです。
こもれびさんは、やっぱり大人!ですね。心の余裕があります。
この立て札を作った人にも、その余裕があればよかったですのにね。

たぶん、花をとったり、花の上に物を置いてつぶしたり…、腹の立つことがあって、「花も大切にできないのか!」って、怒り心頭に達していたのでしょうね。
それが、写真の「!!」という立て札によく現れていますものね。
「あなたも大切だけど、花も大切なのよ。」って、書いた方が心には届くでしょうけど。
【2008/02/02 12:07】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

こんばんは。
>「咲いている花は大切に!!」ここを通るたびに、へそ曲がり根性がむくむくとわき、「咲いてなかったら大切にしなくていいの?」「咲いている花は大切にって

大空の亀さん、私も読んでいて同じ気持ちを抱きました。(゜o゜)
本当ですよね、これから咲き出すお花だって大切に見守ってあげないと?
それに、土の中で一生懸命に芽を出そうとしているお花だってあるのに?
私は、大空の亀さんよりもへそ曲がりかもしれませんね(ーー;)
【2008/02/02 23:18】 URL | ノロタン #B7q/.fmY [ 編集]

ノロタンさんへ
寒いですね。今日は節分。豆まきをしなくちゃ。
9時過ぎには止みましたが、今朝は雪が降っていました。
息子の誕生日は昨日だったのですが、その日も雪が降っていたのを思い出します。

お花大好きのノロタンさんも、やはり同じことを思われましたか。
咲く前、咲いているとき、咲き終わってから、花も人も、いつだって大事ですよね。

また元気にご活躍との、嬉しいニュースにほっとしています。
明日は立春。春ももうすぐそこまで来ていますね。
【2008/02/03 17:13】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

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【2008/02/05 22:16】 | # [ 編集]

こっそりさんへ
了解しました。
「春は名のみの風の寒さよ~」
立春になりましたが、まだ寒い日が続きそうです。
お互い体に気をつけて、いい春を迎えましょうね。
【2008/02/05 23:35】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年8カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !
2017年 9月26日カウンター343434通過



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