心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
あんなことこんなこと-「桜切るバカ、梅切らぬアホ」
20060421163608
 ( チューリップ・芝桜・桜の花びら / 勤務先の玄関にて携帯電話で撮影 /  クリックすると大きくなります。)

 「桜切るバカ、梅切らぬアホ」とは、「梅は新芽にしか、花はつかない。桜は傷がつくと、そこから腐る。」ということから、一般に言われている言葉である。ここで切られるのは枝。だが、私の記憶にあるのは、無惨に切られた桜の幹の跡、切り株の並んだ情景である。

  小学五年生の時のことだ。新校舎に移った私は、窓の外に並ぶ桜の木々が嬉しく、二階の教室に舞い込んでくる花びらを、心地よく感じていた。やがて、梅雨の季節を迎え、茂った葉が窓を覆うようになった。当時、教室には蛍光灯がなく、雨が降ると、室内全体が薄暗くなり、黒板の字が見えにくい日もあった。
そこで、私たちは、教室を、雨の日も明るくしてもらおうと、先生に頼みに行った。反応がもう一つ芳しくなかったので、再度「照明をつけて下さい」という文書と皆の署名を添えて、校長先生に提出したことまでは覚えている。

 長い夏休みが終わり、教室に入った私は唖然とした。窓の外に見えていた桜の木がないのである。「まさか?」と思って、身を乗り出してみたら、切られたのは、一本だけではなく、校舎の横に並んでいたすべての木だということがわかった。あわてて校庭に下りたが、事実は変わりなく、まだ白々とした切り株を前に、涙があふれたのを、今でも思い出す。

 切られるには、毛虫が大量に発生しただの、老木になっただの、もしかしたら他の理由があったかもしれない。しかし、蛍光灯はつけられないまま、明るく寂しくなった窓は、私に教師不信を植え付けるに充分であった。 高校で、S先生に出会うまで、私は、教師が大嫌いだった。なんだか薄っぺらで、器の小さい教師が多かったような気がする。

 故郷のひな祭りは、月遅れである。ちょうど、その頃には桜が見頃を迎え、お店を休みにした町の人たちが、花見を兼ねて河原に集まる行事があった。家から持ち寄った、巻き寿司など朝から用意したご馳走を詰めた重箱と、男親たちが河原に臨時にこしらえた竈で作る汁物を、みんなでわいわい言いながら食べる。
(雨の時は、子どもたちは、自分専用の小さな重箱にご馳走を詰めてもらい、友だちの家を訪ね回り、おひな様の前で重箱を開く。)

 町のみんなが集う河原には、地区ごとの子供会が育てている、若い桜の苗があった。週末ごとの水やり当番を決め、家から離れた河原まで出掛けるのは、少し面倒でもあったが、自分たちが育てているという自負心もあった。桜の木が簡単には大きくならないことも、経験から学んでいた。

 それだけに、先に述べた小学校の処置が悔しく、故郷の桜を思うと、いつもこの二つのことが浮かんでくるのである。今は、家族もなく、めったに帰らない故郷だが、先年帰省した折、河原の菜の花と大きく育った桜が見事で、心底嬉しく感じた。同じ日、お寺の境内で、昔飼っていた犬とそっくりの犬が、人なつこく近づいてきて、思わず連れて帰りそうになった私であった。

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この記事に対するコメント

亀さん、お久しぶりです!
やっと、新しいパソコンが使えます~v-237
でも、今までと違うので覚えるのが大変。
だけど、ADSLにしたら、接続が早いのなんのって・・・
それだけで、嬉しくてパソコンで遊んでいます。
ブログめぐりも、超スピードで繋がるので、るんるんしています。
これからも、よろしくお願いいたします(^・^)
【2006/04/22 10:47】 URL | ぴょんこ #B7q/.fmY [ 編集]


v-252 昔の古里の情景が浮かび、思い出しています。小学時代の記憶で切られていた木の株はおぼろげに覚えています。こんなドラマがあったなんて知りませんでした。鮮明な亀さんの記憶と感受性にびっくりしています。わたしは残念ながらその頃いじめにあっていました。随分我慢して学校に通っていました。ある日、ついに親に悩みを言ったように思います。あとのことはよく覚えていないのですが、ある日運動場で、一人の男の子が遠くから 「もう泣かせんから」と大きな声で言ってくれました。
 さて、河原の桜見はほんまにのんびりとして良かったですね。雨の日には友人の家に行ってたのも思い出しました。忙しい家だったのに花見に家族で行けてたのが今となったら
なつかしいですね。小学時代の会話できましたね。
【2006/04/22 15:31】 URL | よりやん #- [ 編集]


大学生の頃(といっても司法浪人の頃)、同じような体験をしました。4月初旬のある朝、キャンパスの桜が花芽をつけたまま何本も伐り倒されていました。新館を建てるための整地とか。とても悲しくやるせない気分になりました。せめて花が終わってからにすればよいのに・・・。友達と二人で桜の白い切り株に、黒マジックで「恨 無粋の極み」と落書してまわりました。
年輪を重ねた樹木をいとも簡単に伐ってしまう神経が理解できません。
【2006/04/22 18:03】 URL | sei-ima #- [ 編集]

ぴょんこさん&よりやんへ
ぴょんこさんへ
お久しぶりです。お友達の電話と自分の力だけで接続できたなんて驚きです。
新しいパソコンは、更に性能がいいんだろうなあ。
バタバタしていて書き込みをしなかったのですが、今朝、そちらのブログを訪ねました。
背景が、またまた新しくなっていて、輝いている気がしました。
新しいって、やっぱりいいですね!

よりやんへ
スポーツ抜群のよりやんが、鉄棒の回転で回りすぎて頭から突っ込んだのは覚えているけど、いじめに遭ってただなんて、知らなかった!元気で明るくて強い印象だったのに。
もしかして、その子はよりやんが好きだったのではなかろうか?
私を4年の時にいじめていた子は、私の友だちの追及に「亀さんが好きだから」と言ったものだから、私は我慢の糸が切れて、学級会でワンワン泣いた。いろんな事があったね。
【2006/04/22 18:15】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

sei-ima くんへ
書き込みありがとう。
そうです。「無粋の極み」です。こんな馬鹿げたことする大人にはならないでおこう!
といって、もう充分すぎるほど大人だけど。心は、永遠の青春です。
「心に響く音楽-吉田拓郎」にあるkenzoくんのコメントも読んであげてね。
GANKOちゃんは、今日、文部科学省の表彰(文庫活動)で東京にいます。
詳しいコメントは「リンク先紹介-バナナホール」のコメント欄にあるはずです。
【2006/04/22 18:26】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

sei-ima くんへ
すみません。先のコメント、最後の一行が間違っていました。
GANKOちゃんからのコメントは「心に響く音楽-上田正樹『悲しい色やね』」のところでした。
【2006/04/22 18:33】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

行ってきました、東京。
 お久しぶりです。22日・23日と娘と二人東京見物も兼ねて、表彰式に行ってきました。22日にはkeikoさんに出会って、私のたっての願いで上野公園にある国立国際子ども図書館へ連れて行ってもらいました。一通り見学した後は、中の喫茶室で家族の写真を見せあいながらのおしゃべり。しゃべりにしゃべって、とうとう閉館時間です、なんて言われる始末。その後近くのレストランに場所を移して、夕食をしながらまたしゃべって、これでラストオーダーです、とまたしても言われてしまって、娘はあきれていました。昨夏の同級会に参加できなかったので、その時の様子も聞きました。皆さんそれぞれに活躍されている様子で、嬉しく思いました。
 そして昨日、新宿の宿泊ホテルの隣にある東京都庁の展望室へ上って東京の街並みを一望した後、娘の行きたかった原宿へ行く暇がなくなり、まっすぐ代々木公園内オリンピック記念青少年総合センターへ行きました。表彰される学校は高校・中学校・小学校・養護学校各県2・3校合計137校で、愛媛県3校の中に大洲農業高等学校が入っていました。図書館は計54館、団体(個人)56で、内個人は5人でびっくり。それぞれの代表者のみの表彰でしたが、子どもの未来を考える議員連盟顧問で参議院議長の扇千景さんの力強い挨拶、その中で美智子妃殿下のお言葉から設立されることになったという国際子ども図書館の話を聞きながら、タイミング良く子ども図書館の見学が出来たことを嬉しく思いました。
 表彰式後の柳田邦男さんの「絵本は人生の心の友」と題した講演の中で、いろいろな絵本を紹介しながらお話されましたが、特に絵本を通して「運命を受け入れて、その中で一生懸命生きていく事の大切さを感じて欲しい」というお話には、今の自分に言われているようにも感じました。びっくりすることばかりが続いたこの2週間余り、自分の静かに子どもたちと絵本の世界を楽しみたいという思いから離れて、どんどん一人歩きする自分の姿に戸惑う日々でしたが、こうなったからには仕方ない、喜んでくださるみんなの気持ちも受け入れて
感謝しつつ今まで同様活動して行こう、と自分に言い聞かせております。
 ということで、昨日深夜に帰宅しました。やはりビルと人の多い都会より、田んぼのある田舎のほうがほっとして、やれやれと言いたいところでしたが、今日は朝から市長と教育長に受賞の報告に行き、午前中が終わりました。どういうわけだか30分の予定だったのに1時間半も市長としゃべってしまって。まあ、皆さん自分の事のように喜んでくださいました。ありがたいことです。

 とっても長くなりました。20日の神戸新聞に記事が出たので、しかもとっても上手く書いていただいたので、神戸新聞のホームページから読んでください。ホームページから北播をクリックして、4月20日のところに出ています。
【2006/04/24 13:07】 URL | GANKO #- [ 編集]

GANKO ちゃんへ
早速、神戸新聞のホームページにアクセスし、北播の4月20日のところを読みました。ほんとに的確にまとめてありました。GANKO ちゃんもいい顔で写ってました。蔵書も増えましたね!
keikoさんも会えるの楽しみにしていたから、よかったね。v-290長いお話にずっと付き合ってくれた娘さんにも感心だけど…。
柳田邦男さんて、確か息子さんの脳死のことを書かれている人よね?「運命を受け入れて、その中で一生懸命生きていく事の大切さを感じて欲しい」という言葉は、ご本人も幾度となく、自分に繰り返されたんだと思う。
市の図書館に予約を入れようとしたら、そのトップページに4月23日に表彰されますとあって、ビックリ。GANKO ちゃんと同じ日の表彰だったみたいよ。面白いね。
人生の中でのビックイベントでしたね。貴重な経験ができて、ほんとによかったね!
【2006/04/24 18:23】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

GANKOさん おめでとうございます
v-254 お帰りなさい。地道に続けられた大好きな本と子供さん達との活動、本当にすばらしいですね。神戸新聞の記事も拝見いたしました。絵本を通じてご自分も回りのたくさんのみんなが幸せになられているようで、とてもほんわかとしていいですね。
 これからも大好きな野菜作りとともにすてきな本との出会い、素敵な人との出会い、いっぱい、いっぱい楽しんでいかれることと思います。本当におめでとうございます。
【2006/04/24 21:21】 URL | よりやん #- [ 編集]

ありがとう
こんばんは。皆さん、ありがとう。以前にKANEGONさんと亀さんにはおめでとうと書き込んでもらっていたのに、お礼も言ってなくてごめんね。いろいろと忙しくなってきて、余裕がなかったもんだから。
 そうそう、表彰の一覧表を見ると大阪府は吹田市立中央図書館と枚方市立中央図書館が受賞されています。きっと行かれていたのでしょうね。ちなみに学校は堺市立南八下小学校と豊中市立東豊中小学校・箕面自由学園高等学校でした。
 今夜はぐっすり眠りたいです。では、おやすみなさい。
【2006/04/24 23:01】 URL | GANKO #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年3カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
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