心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-今年読んだ本の中から
歳末恒例の(と、勝手に恒例にしていますが・・・)
             「今年読んだ本の中からおススメ本の紹介」です。
今年読んだ本は、177冊。去年より数が多いのは、今年は毎週購読の雑誌を取らなかったのと、短時間で読める新書が多かったせいでしょう。読書ノート歴も、来年から30年目に入ります。できればエクセルで整理したいと思いつつ、その分読書時間が減るのは勿体なく、たぶんまただらだらと汚い手書きのページが増えていくことでしょう。

Ⅰ:青春小説部門

若い時は背伸びをして、難解な本や陰惨な世相を描いた本も読みましたが、この年になると自己防衛本能が働くのでしょうか、できる限り読後感がよく、落ち込まなくて済むものをと思ってしまいます。今のそんな私にぴったりなのは、良質な青春小説。ここに紹介する6冊は、読んでいる途中も先が気になりましたが、とにかく最終巻まで早く読みたくて仕方のなかった小説で、久しぶりに物語を読むワクワク感を味わいました。

huneninore1[1]huti   huneninore2[1]huti    huneninore3.jpg  『船に乗れ!』Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ

藤谷治著 『船に乗れ!Ⅰ合奏と協奏』 (ジャイブ刊/2008年/1600円)、
   『船に乗れ!Ⅱ独奏』
(2009年)、 『船に乗れ!Ⅲ合奏協奏曲』 (2009年)
クラシック音楽を専攻する高校生が主人公の青春物語。優れた音楽才能という点で、天才ピアニストが主人公の漫画『神童』(さそうあきら)を思い浮かべたが、こちらはチェロを弾く男子生徒とヴァイオリンを弾く女子生徒が,物語のメイン。主人公の津島くんは、恵まれた家の出身で鼻持ちならない感じでの登場だが、意外な展開と結末で、読者を最後までぐいぐい引っ張っていく。
クラシックの曲名がたくさん出てくるが、全然知らない私も何の苦もなく読み進むことができ、正直驚いた。特に、男子高校生の心情がよく描けていて、作者のやる気がこちらに伝わってくるような勢いのある小説だった。ブラスバンド部だった時代を、切なく懐かしく思い出した。


busidou16.jpg    busidou17.jpg    busidou18.jpg  『武士道16・17・18』

誉田(ほんだ)哲也著『武士道シックスティーン』 (文藝春秋刊/2007年/1550円)、
       『武士道セブンティーン』 (2008年)、 『武士道エイティーン』 (2009年)
小さい時から桐谷道場で剣道の修業をしてきた香織と、日舞から転身した早苗を中心とした青春物語。中学三年生から高校を卒業するまでの、剣道部をめぐる話だが、剣道を全く知らない人にも十分楽しめる。特に第三巻は主人公の二人だけでなく、二人に関わりのある人たちのサイドストーリーが入っていて、大人にも十分読みごたえのある話になっている。
幼い時、映画『赤胴鈴之介』を見たあとチャンバラごっこに興じ、三つ上の兄を踏み敷いて「何をナショナルブレーキな」(何をおっしゃる無礼者)と繰り返したことを思い出した。日本人には、剣道のDNAが流れている?・・。

印象に残った言葉から
「勝つ方法って?・・・」「簡単なことさ。それが好きだって気持ちを、自分の中に確かめるんだよ。その好きだって気持ちと、勝負の不安を天秤にかけるんだ。不安のほうが重たかったら、それはやめといた方がいい。まず勝てないし、負けたら、ものすごく後悔するからね。でも、好きだって気持ちの方が重たかったら、そのときはもうやるしかないんだよ。負けたっていい。失敗したっていい。やるしかないんだ。だって、好きなんだから。」
「好きなものにめぐり合えない人生の方が、もっと悲しいしつらいよ。だから、お前は好きなものに出会えたことを、もっと喜ばなくちゃ。何かを好きになる、夢中になる、そういう気持ちが自分の中にあることを、もっと幸せに思わなくちゃ。それさえしっかり感じられたら・・・、もう、勝負なんて、怖くなくなるはずだよ。」


話題になった村上春樹著 『1Q84(Book1・Book2)』や、長い間予約を待った佐々木譲著 『警官の血(上・下)』、重松清の短編集 『季節風(春・夏・秋・冬)』なども、印象的な本でしたが、今の私は「青春小説」を欲しているようです。

Ⅱ:絵本部門

hahaoya.jpg  kage.jpg  ningyohime.jpg  yukidaruma.jpg

『あなたの知らないアンデルセン全4巻』 (評論社刊/2004年/1600円)
ハンス・クリスチャン・アンデルセン作/長島要一訳/ジョン・シェリー画。
図書館で借りて読んだが、想像力の素晴らしさと魅力的な絵にひかれて、中古で購入。中でも『母親』は、迫力があった。『雪だるま』の短編集は、少し物足りなかったが、中古の値段を見たら、これだけ大変安かった。なるほど、皆さん、わかってらっしゃる。


Ⅲ:教養部門

hyakuninissyu.jpg 『NHKテキスト』  huryoutyouzyu.jpg   annomitumasa.jpg 『新書』

高木厚人著『筆で味わう雅の世界 小倉百人一首を書く』 (NHK出版/2009年/1155円)
NHK教育テレビ「趣味悠々」のテキスト。書の本は、たくさん持っているのだが、これは写真がきれいで見やすい。仮名文字の基本や墨つぎのこと、筆・墨・料紙のことなど解説もわかりやすく、お手本の字も素直で美しい。指でなぞって書くだけでも気持ちいい一冊。

奥村康著『「不良」長寿のすすめ』 (宝島新書/2009年/667円)
免疫学を専門とするお医者さんが書いた本。人間の体を専門の分野だけで診る医学が発達した結果、診察や治療を受けても何か納得いかない気持ちになった人も多いはず。この本は、人間を総体として把握した免疫学の立場から、NK細胞を増やす方法が書かれており、今まで読んだ健康や病気に関する本の中で、一番共感を覚えた。
一言で言うと、「よく笑いよく食べよく寝る。」に尽きるわけだが、引用例など、自分自身や周りの知人に照らし合わせて、「ほんとにそうだ」と思うことが多く、いい本だった。

安野光雅著『絵のある人生-見る楽しみ、描く楽しみ』 (岩波書店刊/2004年/740円)
施設支援のバザーで、新書を50円で売っていたので、たくさん購入したうちの1冊。いい本だった。ブリューゲルの絵を見に、ウィーンの美術史美術館に行きたくなった。安野さんが何度も薦めていた『ゴッホの手紙』も読みたい。

実際に自分が絵を描くわけではないけれど、次の言葉などは何にでも当てはまると思った。
・できあがりがどんなに下手に見えても、それは問題ではありません。ただ、観察だけは大切です。その観察がいわゆるデッサン力を確かなものにするわけです。
・想像や空想は、事実の上に立っていないと、文字通り、根も葉もないものになってしまいます。
・名所旧跡、観光的景勝の地は敬遠です。前に書いたように自分だけが発見し、「惚れた」状況なってしまって、なぜそこを描いているのか、説明がつかないくらいでいいのです。
・「品」というものを確保するための方法は、とうてい口で言えなくて困りますが、何事の表現にも大切なことだと思っています。
・絵は生活のための仕事としてできればそれもいいけれど、本来は(頼まれたのでも命令されたのでもなく)自分が自分自身のためにやってきたことではなかったか、という原点に立ち戻って考える必要があると思います。


番外編として・・・10年前に夢中になって読んだ山崎豊子著 『沈まぬ太陽』は、大作で大変感動しましたが、映画も大変うまく作られていて、長時間上映を感じさせない名画に仕上がっていました。特に渡辺謙さん・香川照之さんの演じた人間像には「人としての矜持」を強く感じ、心打たれました。

 この1年間、拙いブログにお付き合いいただきありがとうございました。
ここを訪ねてきてくださった方、コメントやメールをくださった方、温かい言葉をかけてくださった方、多くの方に励まされて、今年も無事1年間続けることができました。
皆さん、体に気をつけられ、よい年をお迎えください。また、来年、お会いしましょう。


テーマ:オススメ本!! - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

更新、待ってました~
今回は本の紹介が多くて読み応えがありますね。
参考になります。
また、来年もステキな記事&画像を楽しみにしています。

※ちなみに私のオススメ本は、池沢夏樹「カデナ」新潮社です。
たぶん図書館にあると思いますので良かったらぜひ・・・
【2009/12/28 19:18】 URL | 中村ケンジ #- [ 編集]

中村ケンジさま
お早うございます。
年の瀬も迫ってきましたね。
早速のコメント、ありがとうございます。

>ちなみに私のオススメ本は、池沢夏樹「カデナ」新潮社です。
さすが沖縄にこだわる中村さん。「カデナ」は、沖縄が舞台でしょうか?
池澤夏樹さん、今は、フランスでしたっけ?昔は沖縄に住まれてましたね。
いろんなタイプの著作の中から、読みやすいのを10冊ほど読んだ記憶があります。
詩人のような繊細さと、社会への鋭い眼を持ったすてきな方ですよね。
「カデナ」は長編で骨がありそうなので、気力のあるとき、読んでみますね。
図書館に予約を入れました。
では、よいお年を!
【2009/12/29 09:20】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

あと、2日
今年も1年が駆け足で過ぎて行った気がします。
いろいろな事がありましたが相対的にいい年だったと思います。

今年は予定のより読書量が少なかったです。
遊び過ぎ?

身体の衰えを感じる時があります。
動けるうちに、と外に出ることを優先した年でした。
来年も同じように元気でいい年になる事を願います。

「沈まぬ太陽」はあの長編をよく、まとめてあるな~と感心しました。
キャスティングも良かったと思います。


たくさんの情報を有難うございました。


【2009/12/29 19:58】 URL | ベンジャミン(keiko) #oUPgpoCM [ 編集]

ベンジャミン(keiko)さんへ
お早うございます。
今日を入れて二日で、2009年も終わり。早いですねえ。
毎回、ブログへの温かいコメントをありがとうございました。
おかげ様で無事続けることができました。

>今年も1年が駆け足で過ぎて行った気がします。
>いろいろな事がありましたが相対的にいい年だったと思います。
>来年も同じように元気でいい年になる事を願います。

まったく同感です。
年々時間の過ぎるのが早く感じられる日々ですが、
これからも一日一日を悔いなく生きていきたいなと思っています。

来年は、ベンジャミンさんを少し見習って、お料理を頑張ってみるつもりです。
「栄養と料理」の新年号には、半年分のメニューが付いていましたので、
新しいメニューを、自己流でなく、ちょっとだけ真面目に覚えようと決めました。
あと何回食べられるかなと考えたら、いい加減な食事では、勿体なくて・・・。

また来年もよろしくお付き合いください。お元気でよいお年をお迎えください。
【2009/12/30 09:36】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
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