心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-いろんな読み方
 立春も過ぎ、光に春を感じるようになってきました。「寒い時期は読書に映画に美術館」とばかりに、この冬も室内で過ごすことがほとんどでした。最近読んだ本の中からよかったと思うものをご紹介します。
出版した本の40%が返本され、廃棄されると聞きました。いろんなものが安くなっている中で、本の値段は高いままです。捨てるくらいなら、最初からもっと安く提供できないものかと思います。というのも、最近の私は中古で買うか、図書館で借りるか、というのがほとんどなもので・・・。この読み方では、書き手に著作料は入らないよなと、後ろめたいのです。新刊で半額なら買うのですが・・・。
一方、紙の資源のことを考えると、電子本でも・・・とも思うのですが、本の魅力は、内容だけでなく装丁などにもあるわけで・・・。千年前の本が読めるのも、紙に書かれて残されていたからですが、今利用している電子機器が千年後にもあるかと考えると、次々モデルチェンジをする現状に不安を覚えます。愛蔵本は紙で、情報や資料のために必要な本は電子本で、などと思ったりもしますが、いずれは全部電子本になるのかもしれませんね。

 写真はどれも、家の近くで最近撮ったものです。

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Ⅰ:スピーディーに読むエンタメ系なら・・「伊坂幸太郎」

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分野としては、ミステリーでしょうか?こういう分野はたいてい殺人事件があり、私は苦手なのですが、彼の作品はどろどろしてなくて、青春を感じさせる部分があるので読みやすいです。

『終末のフール』 (2006年/1400円/集英社)
地球に小惑星が衝突して3年後には、滅亡する。という設定で、さまざまな人間模様を短い章に分けて書いたもの。作者があとがきでモデルがあると書いている、「鋼鉄のウール」という章のキックボクサー苗場がかっこよかった!P280のビデオ店店員のつぶやきが、リアルで、私のつぼにはまりました。

『ゴールデンスランバー』 (2007年/1600円/新潮社)
現在上映中です。 『重力ピエロ』 (2003年/1500円/新潮社)も、原作の良さをうまく生かした映画になっていましたが、これはどうでしょう?原作は、始めからぐっと読み手をつかみ、最後のP501まで一気に読ませてしまう面白さでした。
世の中の問題点を上手に配するところ、国家権力を信用しきってないところが、彼の作品の特徴ですが、東北大学法学部出身というところが、舞台設定に大いに影響しているようです。

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Ⅱ、ゆっくり心に問いながら読むなら・・「大江健三郎」

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言葉の運び方が独特で、ちょっと読みづらい作者ですが、これらの随筆は、若い人たち向けに優しい&易しい言葉で語りかけているので、よくわかります。以前にも読んでいたので、私には珍しく再読本です。同じ故郷なので、出てくる山河が懐かしく、奥様のゆかりさん(伊丹十三氏の妹)が描いた絵もよかったです。

『「自分の木」の下で』 (2001年/1200円/朝日新聞社)
「自分の木」がある。その木の下で、年とった自分に会える。その自分に「どうして生きてきたのか?」と問う。人はなぜ生きるのか?なぜ学校に行かなくてはならないのか?少年時代の大江氏に、自分の少女時代が重なり、現代の子どもたちが重なり、さまざまなことを考えたり感じたりしながら読みました。

『「新しい人」の方へ』 (2003年/1200円/朝日新聞社)
読書カード(今はノート)歴60年の大江氏の、子どもの頃や大学時代の読書にまつわるエピソードが、興味深かった。町の図書館がなくて、公民館の本を全部読んだというところは、私も似ているのですが、その後の母親の対応が、我が家とはまるっきり異なっていました。厳しく筋の通ったお母様です。
初めてのファンタジーという『二百年の子供』 (2003年/1400円/中央公論新社)は、大江氏の子どもたちを髣髴とさせる登場人物と、ご自身の子ども時代の体験とがうまく調合し、静かで優しい物語です。流行のファンタジーのような激しさはなく、今まで読んだ大江氏の小説と重なる部分が随所にあり、懐かしく感じました。

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Ⅲ:趣味の世界を楽しむ・・俳句や書など

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『知識ゼロからの俳句入門』 (金子兜太著/古谷三敏画/幻冬舎/2006年/1300円)
字を読むのがあまり好きでない初心者にぴったりの俳句入門書。大切なことが的確に押さえてあるので、おススメ。例句が、伊藤園俳句大賞からとってあるので、身近な印象です。

『続ほっとする禅語70』(野田大澄監修/杉谷みどり文/石飛博光書/二玄社/2007年/1000円)
書も文もとてもよかった!座右の書にしたい。「続」でないほうも同時に中古で注文し、同じ日に発送するとメールがあったが、宅配便は1日で届き、日本郵便は3日もかかった。

『言葉のゆくえ 俳句短歌の招待席』 (坪内稔典・永田和宏著&対談/京都新聞出版センター/2009年/1400円)
短歌と俳句の違いがわかって面白かったです。そのあたりを二箇所引用してみます。
P98永田氏「こういうことを詠い、主張したいと思って詠い始めたら失敗する。」
  坪内氏「短歌の人の方が自分の言いたいことをストレートに言えるので、まじめな印象になる。俳句の人たちは言いたいことがストレートに言えないことがわかってくるから、ややひねくれ。」
p100永田氏「自分が作りたいように作るしかない。自分の時間にだけは噓をつかないで詠えるようになればいい。」
  坪内氏「自分の作った言葉が自分を変えてくれるかもしれないことへの期待感がある。」
 

テーマ:紹介したい本 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

更新、待ってました~

金子氏の俳句入門、先日図書館で借りて昨夜読み終わったばかりでドキっとしました。
分かりやすいですよね~

先日はじめて句会というものに出席しました。
とても楽しかったですよ~
【2010/02/12 19:36】 URL | 中村ケンジ #- [ 編集]


「重力ピエロ」が凄かっただけに、「ゴールデンスランバー」も期待してたのだけど、こちらのほうは私は不満足。そもそもの奇想天外な設定が、最後まで納得させられないままになりました。(どうしてなんだろう?)とそれを確かめる為原作を読もうかと思っていたところです。(しかし、この手の読み方は、感動したときよりずっと出足が遅くて、そう思ったまま読まないでいる)
色々なところでラスト50ページの圧倒的なスピード感とありますが、映画のほうは・・・。
多分最初のオズワルドにされるところで、(それはないでしょう?)、と入り込めなかったんだと思う。最後までその差異を埋めれないまま、(名にやってるの?)と思ってみてしまったと言うか。原作ではどのように納得させているのでしょう?

ところで私も電子本のニュースを読んだ時は、日本語版が出たら適当な時(機能的に進化したとき)に買おうと思いました。雑誌や資料が大量に入ってくる我が家では、単行本は買えない。大量に本を処分してマンションに引っ越したときから、本は読んで頭に入った分が値打ち、又読みたくなったら再度買えばいいと割り切るようになって、よほどの本でない限り、我が家の上を通り過ぎています。だからそうしても惜しくない値段のものでないと買いにくい。そういう意味で装丁等に思いのこもりすぎたものは、昔とは逆に苦手になってきました。
でも坪内さんの本は読みたいです。今ちょっと込み入ったことをしていて、どうしても俳句的志向にならない。俳句はいまや親孝行の為だけの状態。まあ、こんなときもあるのでしょう。

・・・と、ところでが多いのですが、久し振りの誰かさんの歌はいかがでしたか?
【2010/02/13 07:28】 URL | 犬塚 #- [ 編集]


こんにちは。

息子が卒業のお祝いに欲しいものをたずねたら・・・「本棚」と言われてしまい、困っています。
本棚をどこに置いたらいいのか?!
処分できずにダンボールに詰めて、押入れにしまいこんでいる本、実家から「引き取ってくれ!」とやいやい言われ続けている本たち。

まったく、頭の痛いモンダイです!


本を買うときに・・・装丁のすばらしさにうっとりしてしまうことがあります。
使われている紙の質感や、選ばれている文字の種類や大きさ・色・・・。
挿絵のやさしさとか、写真の美しさに惚れて思わず買ってしまったことも・・・。
中に使われている紙もやさしい色だったり、インクがチョコレート色の「チョコレートアンダーグラウンド」なんかも、作品に対する愛情が感じられて大好きです。
ページ数をどこにつけるのかも、こってたりしますよね。
でもでもでも、高いですよね。単行本の新刊は、特に。
置き場もないし、めったに買えなくなってしまいました。
1Q84も図書館に予約して300番目・・だったのがようやく150番くらいになりましたが、いつ順番がくるんでしょうか?
読みたいけれど、手元において置けない。悲しいけれど、図書館がほとんどになってしまいました。
以前は・・・単行本で持っているのに、文庫版のあとがきが気に入ってそっちも買ったりしていたのに、ね。


>この読み方では、書き手に著作料は入らないよなと、後ろめたいのです。新刊で半額なら買うのですが・・・。

そうですね。活字中毒?かもしない私は、電子書籍はちょっとニガテ★
ずいぶんと画面で見る文字も、印刷された活字と書体も近づいてきている気もしますが、やはり、印刷されたものを読みたいです。
書き手にがんばってもらうためには、買って読まなきゃいけないかしらん?
悩ましい・・・問題ですね。


風景の写真・・・どこで撮影されたのかが、多分わかるのに、いったいいつ?こんな素敵な時間を掴まえられたんでしょう?
余裕がなさ過ぎるのかしら、私は。
素敵な空を、今日も、ありがとうございます。
 
 
【2010/02/13 16:19】 URL | kimico #Zr2/WiYY [ 編集]

中村ケンジさんへ
同じ本を読まれたんですね。
もう一冊、気になった入門書があったので、買ったのですがまだ届いていません。
今までにもたくさんの入門書を買っているのですが、これはすごく読みやすかったです。

句会にも行かれたんですか?お近くのに?いろいろ行動してますねえ。
私は、「空」の本拠地が福岡なので、一度も参加したことはなく、郵便で送るのみです。

そうそう今日は大阪歌会で、初めての方など常連組以外が4~5人いらして、刺激的でした。
【2010/02/13 20:50】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

犬塚さんへ
こんばんは。
>原作ではどのように納得させているのでしょう?
う~ん、原作でも、きっと犬塚さんは納得しないと思います。
『重力ピエロ』は、心がよく描けていましたが、『ゴールデンスランバー』は、基本的に冒険活劇で終わっているので、深くはありません。
彼の小説『陽気なギャングは地球を回す』というのと、似ている気がしました。
警察の裏をかく、法より自分たちの考え方・感じ方を優先するというのは、彼の作品のどれにも共通しています。
原作比較で『重力ピエロ』を越えることはないだろうなと思って、映画は見る予定にしていません。他に見たいのが多すぎて・・・。
今年は、児童文学の名作が結構映画化されるので、ちょっと楽しみ。
それにしても、伊坂幸太郎の作品はたくさん映画化されていますね。

>坪内さんの本は読みたいです。
すぐ読めるので、お貸ししますよ。
坪内氏は、永田氏に少し喧嘩を売ってる感じでした。

本は悩ましいですね。
我が家も一度思い切って処分してもう買わない!って決めたのに、
あれもこれも「資料」になると思ったら、捨てられなくなっちゃって・・・。
毎日、我が家専用の図書室がほしい!と夢見ています。
宝くじが当たったら、書斎&作業室&図書室&喫茶室をつくるぞ~!なんてネ。

>誰かさんの歌はいかがでしたか?
このごろ全然聞きに行ってないのですよ。
27日には、珍しく京都の「拾得」らしいので、少し食指が動いていますが・・・。
のんびりマイペースの誰かさんは、いつ来ても、来なくてもいいよ~といってくれるのですが、何となく邪魔しているようで・・・。
【2010/02/13 21:13】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

kimicoさんへ
こんばんは。
息子さん、もう卒業ですか!早いですねえ。
本棚だなんて、いかにもkimicoさんの息子さんらしいわ。
ずらっと並べて、いつでも取り出せるというのが夢なのですが、現実は甘くないわね。
図書準備室のような部屋がほしいです!

>作品に対する愛情が感じられて大好きです。
装丁、活字、紙質・・・うっとりするようなのがありますよね。
私の最近のヒットは、『かはたれ』と『たそかれ』これはほんとによかった。
今日の朝日の朝刊に、偶然「デジタル図書館」のことなどが載っていました。
中身はこれから読むところなのですが、国立国会図書館長の写真の下に「紙の本はなくなりませんよ。物(ブツ)としての手触りや温かみがあるから」と書いてありました。
まさに、kimicoさんが書いてくれたことですね。

>1Q84も図書館に予約して300番目・・だったのがようやく150番くらいになりましたが、いつ順番がくるんでしょうか?
早く言って下されば、まっ先にお貸ししたのに・・・。
今日も歌会のあと、同じようなことを言われていて、来月の歌会のときにまだ回ってきてなければお貸ししますね、と話したところでした。
私は昨年買って読んだのですが、村上春樹ファンとしては、ちょっとあれだけではお金が勿体ないという印象でした。
と言う訳で、読みたいと言う人に次々回してあげていて、今、私の手元にはないのです。
そろそろ戻ってくると思うので、そちらより早そうでしたら、お貸しします。

>素敵な空を、今日も、ありがとうございます。
こちらこそ、そういっていただいて、うれしいです。
子どものときからの空の偏愛者としては、どの空見ても写したくて大変なの・・・。
【2010/02/13 21:30】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


こんにちは、寒いですね。

青空の写真が素敵ですね。
昨日は暖かかったので多摩川土手を散歩しました。
カメラを持って空を撮ったり、土手の風景を撮りました。

今日は雨なので閉じこもっています。
オリンピックを観たり、本を読んだり・・・

本が数冊たまっていますが私も最近は図書館が多いです。
婿殿、友人からも回ってきます。
中古で買ったり、他に回したり…
著者には申し訳ないけど物を増やしたくないの。

「終末のフール」は図書館に予約中ですが当分、順番は来ません。
新聞に紹介が載るとピックアップして予約します。
でも、そのような本はかなりの順番待ちです。

【2010/02/15 13:53】 URL | ベンジャミン(keiko) #oUPgpoCM [ 編集]

ベンジャミン(keiko)さんへ
こんばんは。
少しずつお散歩が楽しめる季節になってきましたね。
梅の花も見ごろでしょうね。そろそろ行かないと・・・。

昨日やっと予約していた重松清の『希望ケ丘の人びと』が回ってきました。
ベンジャミンさんが前に読まれてましたよね。
2段組で510ページ!目が大丈夫かなあ・・・と、ちょっとめげています。
その点、『終末のフール』は、すぐ読めます。

読み終わった後、残っているのは断然「長編」なのですが、
だんだんその根気と目の力がなくなってきました。悲しいです。
先日も、職場の人が貸してくださった本、2段組で分厚くて字が小さかったもので、
結局「目が怖くて・・・」と、読まずに返してしまいました。グスッ・・・。
一度、2段組ので目をやられちゃったので、恐怖が先立ちます。

オリンピックもなかなか見るチャンスがなくて、まだ全然なんです。
結果がわかって見るのは大丈夫なのですが、ハラハラしながら見ることができなくて。
【2010/02/15 18:32】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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プロフィール

大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !
2017年 9月26日カウンター343434通過



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