心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-最近読んだ本から
 最近読んだ本から三冊ご紹介します。雨の日の午後にいかが?

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小野正弘著『オノマトペがあるから日本語は楽しい 
                           擬音語・擬態語の豊かな世界』(平凡社・2009年・720円)

この春の大阪府公立高校入試問題に採用されていたので、読んでみました。
「オノマトペ」とは、フランス語を語源とする「擬音語・擬態語」を一括していう言葉で、「ガーン」のように、音か様子か区別しにくいものに、「オノマトペ」という一語は便利である。5つの章からなるこの本、『ゴルゴ13』の「シュボッ」がいつから登場してきたか、『伊豆の踊子』の「コトコト笑う」という表現に至る考察など、興味深い話題があった。

私がいちばん面白かったのは、第4章の「オノマトペは歴史とともに」というところでしたので、そこから少し引用します。(文章はそのままではありません)
・最も古いオノマトペは、『古事記』のなかの「こをろこをろ」
天の神々の言いつけで、イザナキ・イザナミの二神が、国をアメノヌホコでかき回した。その時、塩を「こをろこをろ」とかき鳴らしたあと、ホコを引き上げると、そこから塩がしたたり落ちてつみかさなり、島となった。…という話に出てくる。
*「こをろこをろ」という言葉遣いに、聞く耳の力を感じました。

・『源氏物語』の「よよ」
現代語で、「よよと泣く」というのは、なにか弱々しく、女性がくずおれるように倒れながら泣き伏すイメージである。『源氏物語』にある「よよ」の四例はすべて、男性が号泣するときに使われている。惟光、光源氏、薫、匂宮が、「よよと泣きたまふ」のである。
*大変な尊敬語だった「御前」が変化したように、「よよ」も変化していったんだなと、現代語との違いを面白く思いました。



宮下奈都著『スコーレNo.4』 (光文社・2007年・1600円)

「書店員がゲリラ的に仕掛けた書評で人気が出た本」と新聞に紹介してあったので、新しく出た文庫ではなく単行本を中古で買った。素直な文章で読みやすかった。少し都合よく展開しすぎる気もしたけれど、不快ではなかった。帯文にある「人生には、4つの小さな学校(スコーレ)がある。家族、恋愛、仕事、そして―」の「そして―」を、どう読むかだろう。主人公の気持ちを丁寧に描写していて、好感が持てた。どちらかというと若い人向きの本だと思うが、主人公の印象は鮮明に残っている。



宮下奈都著『遠くの声に耳を澄ませて』 (新潮社・2009年・1400円)

もう1冊、同じ作者の本を買って読んでみた。「旅」2007年7月号~2008年6月号に連載したとある。「旅」に関わる12の短編からなる小説だが、登場人物がゆるくつながっており、そこも面白いと思った。もともと私は短編が好きなせいもあるが、長編の『スコーレNo.4』より、こちらの方が上手いと感じた。文章も落ち着いていて、私の好きなタイプの文章を書く作家だと思った。

・「ミルクティー」より少し引用。 (  )は私が勝手に別の所から補いました。
私(真夏という名前)が飲みたいのはいつもコーヒーで、みのり(友人・・・みのりというのは、私が飛ばしてしまった時間をしっかりと握り、そこにこそ時間をかけて大切に育ててきたような人だった。・・・)は紅茶だった。
(私、真夏)「仕事で煮詰まってるときなんか、一杯の熱いコーヒーに救われることがあるんだ。目が覚めるっていうか、さあもうひと息がんばろうって思えるっていうか。…」
(みのり)「なんとなく、わかるよ。真夏はコーヒー向き。コーヒーって、これからのための飲みものって感じがするもの」…
(みのり)「紅茶は、どちらかというと、振り返るための飲みものなんじゃないかなあ。何かをひとつ終えた後に、それをゆっくり楽しむのが紅茶」
*コーヒーと紅茶、どちらを飲みたいかという時の気分をうまく表しているなと思いました。

・「夕焼けの犬」より少し引用。
病院の屋上で、お医者さんの独白の部分です。
屋上へ出るのもこんなときだ。忙しいときには張りつめている糸が、ふっと緩む瞬間がある。何も考えられなくなって、逃げるように階段を上っている。屋上へ出てしばらく空や街を眺めるうちに、私の外側で起きていることと、内側で起こっていることとの溝が埋められていく感じがある。…ほんの数分、風に吹かれるだけで、自分とうまく折り合いをつける手がかりを得られるような気がして安堵する。
*誰も同じような気持ちを抱き、同じようなことをするんだなあと思った場面です。


 読みたい本、読まねばならぬ本が山積みになっているのに、ついつい読みやすい本に手が行ってしまうのは、少々疲れ気味なのだなと、読書意欲で心身の調子をはかっているこの頃です。


テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

オノマトペ・・・読んだことあります。
イイ本ですね~
【2010/06/20 22:27】 URL | 中村ケンジ #- [ 編集]

中村ケンジさんへ
こんばんは。
何でも読んでいるんですねえ。
オノマトペの創作は、なかなか難しいです。
【2010/06/21 19:53】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


オノマトペといえば、僕が真っ先に思い浮かべるのは宮沢賢治。
オノマトペのない賢治文学は、魅力が相当減ってしまったのではないでしょうか。
【2010/06/23 22:49】 URL | こもれび #hGt.gl.I [ 編集]

おはようございます
本の紹介、有難うございます。
参考にさせて頂きます。


私も読みやすい本から手にしています。
「1Q84」のⅢが進みません。←友人からの借り物なのに…

井坂幸太郎著「ゴールデンスランバー」
湊かなえ「贖罪」
はどんどん進んだのに…

「神様のカルテ」を次に読みます。

今日はこれから美術館を2ヶ所、回ってくる予定です。
暑くなりそう。


【2010/06/24 08:37】 URL | ベンジャミン(keiko) #oUPgpoCM [ 編集]

こもれびさんへ
こんばんは。
今日は、素晴らしく美しい夕焼けで、感動しました。
>オノマトペといえば、僕が真っ先に思い浮かべるのは宮沢賢治。
そうですねえ。
「風の又三郎」の風の音や、オノマトペのように聞こえる方言がすぐに思い出されます。
【2010/06/24 21:14】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

ベンジャミン(keiko)さんへ
こんばんは。
今日は美しい夕焼けを写真に撮ることができ、心が充足しています。

紹介した宮下奈都さんの本、読書好きのベンジャミンさんには、少し物足りないかもしれませんが、軽く読める小説です。
近かったら、貸し借りが簡単にできるのにと残念です。
『1Q84』のⅢは、私、まだ読む気になれなくて…。

オルセー美術館展ですか?
テレビの日曜美術館で見入ってしまいました。
姜尚中さんの声と話し方の間の取り方が好きなんですよ、私。
東京の美術館の数は半端じゃないですね。羨ましいです。

【2010/06/24 21:24】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年1月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
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