心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く詩歌-高倉和子第二句集『夜のプール』
高倉和子第二句集『夜のプール』のご紹介

yorunopu-ruomote.jpg  yorunopu-runaka.jpg  【空俳句会/2010年/2800円】

俳句雑誌「空」で、素晴らしい句と魅力的な鑑賞文「俳句展望」を書かれている高倉和子さんの第二句集です。私も縁あって所属させて頂いている俳句結社「空」は、福岡の地にて、主宰の柴田佐知子さんと編集長の高倉和子さんの奮闘で、確かな歩みを続けておられます。作句歴24年になるという作者の、平成5年から平成22年の2000句を超える作品の中から絞り込まれた365句はどれも良質で、俳句初心者の私にとって大変勉強になりました。情景が浮かんで特に好きだなと思った句を厳選し、季節別に分けてみました。最後に、作者の自選十句をあげますので、重なるものは省きました。

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新年

青空に抛り出されし初雲雀

餅飾る役目を父は譲らざり



聞くたびに笑ふ話や葱坊主

誉められて育てられしよ春袷

青空を整へながら剪定す

凧上げの少年空に曳かれゆく

時間割大きく貼りてチューリップ

「空」好きの私は、ついつい「空」を詠み込んだ句に立ち止まってしまう。それぞれが、取り合わせたものと合っていて、素敵だ。こんなふうに「空」を詠んでみたい。

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みな笑ふ家族の写真夏の雲

教はりし道を行くのみ青嵐

縁側の高き生家や初鰹

夕立に追ひつかれたる下校の子

汀長し胸より乾く海水着

まつすぐに道の伸びゆく海開き

振り向かず猫の出てゆく薄暑かな

遠泳の裏も表もなく戻る

青空の中に顔入れラムネ飲む

どの句からも夏の空気感が伝わって、「夏好き」の私は心がわくわくする。夏空のもと、人にも自然にも、元気でまっすぐな夏があふれている。

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うしろにも人の声ある良夜かな

落鮎や山に暮せば山の顔

川風に煮炊きの匂ひ地蔵盆

樹の皮も混じりてゐたる茸籠

台風のそれたる空を見るばかり

芋の露転がりながら太りけり

山影に収まる村や秋気満つ

こうやって季節ごとに並べてみると、目に見える風物だけでなく、五感すべてが季節を感じているのがよくわかる。秋はやっぱりもの寂しく、人恋しい。

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寒鯉を掴むに水を裂きにけり

電飾の樹の幹暗し十二月

それぞれの部屋に戻りし寒さかな

顔の幅に障子を開けて問ひにけり

誰かれに頭叩かれ雪達磨

身の軽くなりて焚火を離れたり

日向ぼこ母の隣にゐるごとし

自覚していないことも、このように詠まれると、「ああ、確かにそうだな」と思えてくる。俳句や短歌を詠むときの喜びの一つは、そういう無意識を顕在化してもらえるところにある。ものを見る目を訓練しないと、こうはならない。

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作者の自選十句

死ぬほどといふはどれほど心太

母病めば家ごと臥して大寒なり

知りたがる子のついてくる曼珠沙華

笑ひだす前に眼が合ふ赤のまま

鯛焼の冷めゆく重さありにけり

ふるさとに居れば娘や福寿草

父いつも母を急かせて花八つ手

襟巻のうしろは闇の中なりし

父の戦地母の戦後や柘榴の実

涼しさや振り向く故郷あることも

五句目の「鯛焼の重さ」のリアルさに俳諧味を感じて、とても面白い発見だと思った。一・三・四・八句目の句も、それぞれに機知や発見があり、深いところまで詠もうとしている作者の感性に心惹かれた。また、ご両親やふるさとを詠まれた句からは、「ありがたい」という作者の感謝の気持ちが伝わり、温かく懐かしい気持ちに浸ることができた。

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テーマ:俳句 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

お疲れ様です・・・相変わらずキレイな写真&ド迫力ですね~

前から思っていたんですけど、フォト&歌集or句集を出したらどうですか?
きっとファンが増えるかな、と・・・

今度、私にも俳句を伝授して下さい。
ちなみに最近の自作で「うりずんやつい立ち話長くなる」「ワタクシのいる場所もない良夜かな」「ツースリーファールで粘る無月かな」などが句会で好評でした。

「現代俳句協会」という]HPで投句&投票をやっているので良かったら一度やってみてはどうですか?私はこの半年で16ポイントたまりした。
【2010/10/08 21:35】 URL | 中村ケンジ #- [ 編集]

中村ケンジさんへ
こんばんは。
コメント、ありがとうございます。
先ほど、巨人が負けて、阪神の2位が確定しました!嬉しいな!
歌会記の件は、Sさんにお願いしました。また、よろしく。

中村さんも、俳句、続けてるんですね。
私は、俳句の方は、福岡にある「空」に二ヶ月に一回七句送り柴田佐知子先生の選を受け、同じく「空」に二ヶ月に一回3500字ほどの「季節の詩歌」を送っています。
あとは、この五月からお邪魔している「伊丹三樹彦先生と公子先生の俳句サロン」に月一回二句提出して句会。いろんなお話が聞けて充実しています。

さらに、メインの毎月十首の「塔」の短歌もあるので、仕事とこのブログがある現状では、これ以上は無理ですね。
その上、今は、拙歌集のお礼にと、歌集・句集・詩集を合計20冊ほどいただき、ここしばらく短詩型文学三昧となりそうです。
頑張って読んで、言葉のセンスや感受性が磨かれるといいなと思っています。
【2010/10/08 22:31】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


田んぼの畦に咲く彼岸花。
かつてはどこでも見られたようですが、今日では貴重な景観のような気がします。
【2010/10/09 00:33】 URL | こもれび #hGt.gl.I [ 編集]

すごい!
おはようございます。


もう、美しさにうっとりです。
「彩雲」もつかまえられたのですね!

先月、テレビで日本中どこででも、年に20回は見ることができる。今の季節は空気が澄んでいてチャンスだって聞いて、息子と空を見上げることも多くなっていたのですが、まだ、出会えていません。
今日、亀さんのお写真の左上の彩雲を一緒に見て「実際に見たんだ~」とうらやましがってしまいました。
吉兆だと言われているし、私たちにもそのチャンスが来るのが、より待ち遠しくなってしまいました。
 
【2010/10/09 10:07】 URL | kimico #Zr2/WiYY [ 編集]

こもれびさんへ
お米が安値で労力に見合わない、農機具代は高くつく、という中で、コメ作りを引き継いでいく人がいるかしらと、農業をしている友人が心配していました。
田んぼは、貯水力の点でも役立っているし、日本の原風景としても大切にしたいものの一つですが、維持していくのは、ほんとに大変です。
昔の人が苦労して切り開いたところが、いままた荒れ地に戻っているところがたくさんあり、心が痛みます。
【2010/10/09 22:08】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

kimico さんへ
彩雲って、吉兆なんですか!言葉もきれいですね。
kimicoさんたちも出会えることを祈っています。

この写真は、「野間のけやき」という樹齢千年の木の近くで撮りました。
もう少しして秋も深まると、黄葉してきれいでしょうね。

すべて能勢の辺りです。車で1時間ほどで行けますから、ぜひ。
田んぼの広がりがとても気持ちよくて、思わず車をとめて辺りを散策しました。
万博のコスモスは、まだまだのようですが、
能勢や豊能の辺りは、九月下旬から見頃でした。
彼岸花は、ちょっと終わりかけているかもしれませんね。
【2010/10/09 22:17】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


空はいつ見ていてもいいものですね、私たち親子も好きで良く二人で撮ったの見せやっこしましたね。それも今は出来ませんけどね。


詩…一つ一つが心に沁みるようです。(涙が出ました)
言葉って使い方でこんなに綺麗になるのに…つか方を間違うと刃物になりますね。
打ちのめされて何も手につかないでいました。

少し元気をもらえたと思っています。

ありがとうございました。
【2010/10/14 10:35】 URL | 夢詩 #- [ 編集]

夢詩さんへ
こんばんは。
お久しぶりです。お元気でしたか。

夢詩さんのブログで、おばあさまの人生を読んで、エネルギーを頂きました。強いです!
ほんとに必死で、一生懸命生きてこられたんですね。感心しました。

>言葉って使い方でこんなに綺麗になるのに…つかい方を間違うと刃物になりますね。
言葉が大好きな私は、言葉がこんなふうに大切にされていると、とっても嬉しくなります。
逆に、ぞんざいな使い方や乱暴な使い方をされると、悲しさと怒りでいっぱいになります。
言葉って不思議ですよね。声や文字になるまで形がないのに、心に大きな影響を与えて。
【2010/10/14 20:33】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年1月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
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