心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-今年の読書
 今年も締めはやっぱり「本」で…。

 「漱石」関連本
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夏目房之介著 『孫が読む漱石』 (実業之日本社/2006年/1800円)
夏目漱石著 『明暗』 (岩波書店・夏目漱石全集15/新字体1990年/2400円)
水村美苗著 『続明暗』 (筑摩書房/1990年/2060円/旧字体)

水村美苗の書いた『本格小説』が面白かったので、だいぶ前の作品になるが『続明暗』を読みたくなった。漱石の小説は若いときに結構読んだのだが、『明暗』は作者死去により未完ということを知っていたので読まずに来た。
漱石をちゃんと読むのは学生時代以来になるので、まずは『孫が読む漱石』を読んだ。次の一節で、著者の夏目房之介氏に親近感を抱いた。
引用~中学の頃、武者小路実篤の「馬鹿一」ものという、これも浮世離れした小説を好んでいた。要するに俗世間が嫌いだったのだ。まぁ、思春期にありがちなことだけれど。
私も、中学時代「馬鹿一」が大好きで、このように生きたいと思ったのだ。もう一度、大人の目で読み直してみたい。

『明暗』のあらすじは特に書かない。主人公津田の心理状態をやたら詳しく書いているというのが、全体的な印象である。やっと盛り上がって、これからどうなるか?というところで中断しているから、読み手の想像力をやたら刺激する。それとは関係なく、初めのほうにある、主人公の叔父藤井についての説明(p57)が、なんだか漱石自身を揶揄しているようで面白かった。
引用~一種の勉強家であると共に一種の無精者に生れ付いた彼は、遂に活字で飯を食わなければならない運命の所有者に過ぎなかった。

さて、『続明暗』である。これは、装幀・字体・文体と漱石の『明暗』をしっかり頭に入れての続編。ぐいぐいと力強く読み手を引っ張っていく力(勢い)は、こちらの方がある。どういう結論に持って行くかな?と最後まで興味が途切れず面白く読めたのは、さすが。


 息子たちに贈った本
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藤尾秀昭・文/片岡鶴太郎・絵 『心に響く小さな5つの物語』 (致知出版社/2010年/952円)
同出版社から出ている雑誌「致知」の中の巻頭の一文を集めた『小さな人生論』という本の中から、小学生にも読めるように絵とふりがなをつけて抜粋したもの。こちらの原本『小さな人生論』1~4もいい。志の立派な本だと思った。多くの人に読んで欲しい。

小泉幸仁著 『1日1分生きる力-折れない気持ちのつくり方-』 (同友館/2010年/1500円)
当たり前と言えば当たり前のことばかりかもしれないが、いいことが書いてある。きちんと生きようと励まされる思いがした。一つの章が短いので、題名通り1日1分ペースで繰り返し読みたい。
帯文~死ぬこと以外はかすり傷/ここから先の一歩は勇気が要るぞ 自分を変えるのはこのゾーン

ヴィスワヴァ・シンボルスカ詩集 『終わりと始まり』 (沼野充義訳/未知谷/1997年・2010年3刷/1400円)
作者はポーランドの詩人。ノーベル文学賞を受賞した作品が収めてある。久しぶりに、大人向けの、読みやすいが歯ごたえのある現代詩に出会えたという気がした。言葉は平明だが、深くて力がある。


 生き方を考えさせる本
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石井幹子著 『光が照らす未来 照明デザインの仕事』 (岩波ジュニア新書/2010年/960円)
冬になると最近の街はライトアップで賑わうが、その先駆者といえる照明デザイナーの自伝的随筆。自分の才能や興味を見極め、自分の力を試し伸ばすべく、物怖じせず行動していく筆者の姿には、大いに励まされるものがあった。海外に行くことも、会社を興すことも、彼女にとっては高いハードルではないのだと思う。今のライトアップは、彼女の存在がなければ無かったかもしれない。前を向いて生きている人は、かっこいい。

金 美齢著 『凜とした生き方-自分の人生、自分で決める-』 (PHP研究所/2007年・2009年18刷/945円)
この筆者もかっこいい。書かれていることは、すべて納得&共感を覚えることばかり。ただそれをきちんと実行できるかどうかが問われるところだ。本物の大人になれるよう努力したいと思う。
引用~どういう社会であるべきなのか。自分はその社会と、どのように関わって生きていくのか。自分の役割は何なのか。自分の頭で考え、決断することが何よりも必要なことだ。自分をまっとうすることは、そこからしか始まらない。

安野光雅著 『語前語後』 (朝日新聞出版/2008年/1600円)
特に前後の脈絡はなく気ままに書かれているので、つれづれに読むのがふさわしい本。時々、心の琴線に触れる言葉が出てくるのが、この本の魅力。
引用~外から見えない病気や家庭の事情は誰にでもあり、言わないだけで、言いたいことは山ほどあるものだ。そして、誰もが自分の努力で克服してきている。それが先に書いた「誇り」である。
引用~「見えるとおりに描かなくても、そこに描かれた世界とおなじ世界があればおもしろいな」と感じてもらえるような絵を描くために、よく見ることが大切だと言っているのである。


このほかに、講談社創業100周年を記念して出されている「15歳の寺子屋シリーズ」が、いずれも90ページ程度で分量は少ないが、内容が充実していて、若者だけでなく中高年の私でも励まされる、人生を考えるのにとてもいい本だ。


 ある方(=古本屋をされていた本好きの方)に微笑みとともに「書痴」と言われてしまいました。私の小遣いの中で一番出費の多いのは本代ですから、確かに「書痴」に近いかもしれません。といっても、新刊はほとんど買いません。著者の方には印税が入らず申し訳ないのですが、安く手に入る古本をついつい買ってしまう私です。
ちなみにこの9冊の内、借りたのが3冊、中古が3冊、新しいのが2冊×2人分(プレゼント用)、モニターで頂いたのが1冊(毎月感想を載せる予定でしたのに、果たせませんでした)。今年は183冊読了。たくさん読むことより、読んだことを身につけていくことが大切だと思いつつ、活字を追うときの無の境地が心地よく、気がついたらいつも周りに本の山ができているという状態です。
   
  来年は、本棚の整理をちょっと頑張ろう!&もっと外に出て体を動かそう!
   今年一年、ブログを読んで下さって&いろいろ励まして下さって、ありがとうございました。
   来年もお付き合い頂けたら嬉しいです。皆さん、よいお年をお迎え下さい。  


テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

今年最後?の記事は内容盛りだくさんですね~
先日テレビで古本屋の主人が読書家の事を「書痴」とか「書狼」って言っていましたよ~
私はよく二宮ケンジローって言われていましたよ~

金美齢は私も大好きですね~
現代詩も読むんですね~ワーズワースもオススメですので良かったらぜひ・・・

書きたい事は山ほどありますが今日はこのへんで・・・
※来年、e歌会っていうものに参加してみようと思います。
よいお年を・・・
【2010/12/30 13:22】 URL | 中村ケンジ #- [ 編集]

中村ケンジさんへ
今年一年、いつもコメントをありがとうございました。

>私はよく二宮ケンジローって言われていましたよ~
歩きながら読んでいたのですか?働き者の勉強熱心な子どもだったのですね。

>金美齢は私も大好きですね~
私は読んだことなかったのですが、本好きの若い人が「バイブルのようにして時々読み返すんです。よかったら。」と貸してくれ、ついこの間初めて読みました。
中村さんは、いろいろ読んでいるんですね。

来年は早々に中村さんの歌集の批評会ですね。
私は、先日書き上げましたよ。楽しみにしてて下さい。
よい年をお迎え下さい。
【2010/12/31 00:06】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年3カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
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