心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-今月読んだ本の中から…。 
 今月読んだ本の中から…。 

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吉本隆明著『ひとり』 (講談社/2010年/2010年)

昨年後半から 「15歳の寺子屋シリーズ」 にはまっていますが、なかでもこの本が一番好きです。いい言葉がいっぱいあり、自分のノートにはたくさん抜いたのですが、ここではほんの一部をご紹介します。

〈書き言葉〉は自分の心の中におりていくための道具

人は誰でも誰にもいわない言葉を持っている。沈黙も言葉なんです。

大事なのはしょっちゅうそのことで手を動かしてきたか、動かしていないのかのちがいだけです。


どれもみな共感を覚え、宝物にしたいと思った言葉です。何よりも吉本隆明氏の「自分の頭でしっかり考える」姿勢に、感銘を受けました。人間を深く広く成長させるには、「自分できちんと考える」ことが大切です。15歳の若者の質問を受け、それに真剣に向き合い、若者と共に考える、氏の誠実さは、大変心地よいものでした。


柳澤桂子著『意識の進化とDNA』 (集英社文庫/2000年)

生命科学者、サイエンスライター、エッセイスト、歌人でもある著者が、小説の形を取りながら(といっても、こちらはおまけみたいなもの)、「いのちの不思議」について、科学的に述べた文章です。こういう分野は苦手な私ですが、分かりやすく書かれていたので、興味深く読むことができました。

特に、面白いと思ったのは、「地球上の物体は全部分子からできている。」「あなたは、一つひとつの細胞の中に、三十六億年の記憶をもっている。」「私たちは誰しも心の奥底に、万華鏡のような多様性と、無限の思いに満ちた世界を持つことができる。」といったことについて、具体例をあげながら説明してあるところでした。

理科的に説明されると拒絶反応を起こしてしまう私ですが、物語形式で展開してあったおかげで、日頃接さない分野に目が開き、大変よい刺激を受けました。


小川糸著『食堂かたつむり』 (ポプラ文庫/2010年/560円)

映画の予告編だけで、「食べることで癒されていく」という内容なのだろうと勝手に思い、また、アマゾンでの書評がよくなかったので読まずにきました。でも、今年は「食」を意識して生きようと考えているので、美味しいメニューが載っているかなと、軽い気持ちで手に取りました。

前半は、映画「地球交響曲」の中の「佐藤初女さんのおむすび」で癒されてゆく人々のことを、思い出しながら読みました。読む前に思っていた以上に、「命を頂いて食べること」の大切さを感じ、特に後半では深いものを受け取りました。後半は、ドキュメンタリー映画「いのちの食べ方」を見たときの衝撃に通じるものがありましたが、映像でない分なんとか耐えられました。私は、とてもいい本だと思います。


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水内喜久雄著『ステキな詩に会いたくて-54人の詩人をたずねて』 
(小学館/2010年/1470円)

詩が大好きな著者が、大好きな詩人を訪ねました。谷川俊太郎、まど・みちお、新川和江、茨木のり子、石垣りん、吉野弘、岸田衿子、工藤直子…、名前を書くだけで羨ましさでいっぱいになります。次のお二人に、若い頃の私は、優しさをいっぱいもらいましたが、次の言葉を読んで納得!です。

永田萌「私の気持ちの中に、悲しい人や辛い人が少しでもそれを軽くしてほしいという想いがあり、描いています。幸せな仕事をさせてもらっています。」

みつはしちかこ「元気がでるもの、生きていてよかったと思うことができるものを書きたいと思います。言葉の力はすごいですね。気持ちが明るいほうに行ったり、おおらかになったりしますから。」



内田新哉画『澄んだ瞳のおくに』 (河出書房新社/2000年/2400円)

大好きな絵なので、とっくの昔に紹介したと思っていたのですが、ブログ内検索をしたら未紹介でしたので…。
優しいタッチの絵で、添えられた言葉も「坂道はいつも僕の小さな旅だった」など、心の琴線に触れ、青春の切なさや憧れを思い出しました。帯に載っていたご本人の写真も穏やかで、絵の雰囲気とぴったりです。


高野秀行著『異国トーキョー漂流記』 
(集英社文庫/2005年・2010年第5刷/514円)

読みながら、昔夢中になって読んでいた椎名誠の数々の冒険話を思い出していました。それよりもっとたがが外れた感じと言えばいいでしょうか、とにかく面白かったです。
早稲田大学探検部という著者略歴が示すように、著作には、世界の辺境を探検したノンフィクションが多いのですが、これは、外国人との交流を描いたエッセイでした。就職難で若者受難のご時世ですが、こんなにゆるく生きられるんだよ (生活は厳しいでしょうが…)って、人付き合いのコツを教えてもらった気がします。

千葉県あたりの本屋さんが「酒飲み書店員大賞」というのを作り、彼の『ワセダ三畳青春記』が2006年に第1回受賞とあり、早速、この本を買って読んでいるところです。


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森 浩美著『家族の言い訳』(短編集)・『こちらの事情』 (短編集)

『夏を拾いに』 (長編)すべて双葉文庫

短編集の方のテーマは、「絶対的な味方」の大切さ。仕事にかまけて省みることのなかった家族の大切さを訴える本。40代後半から50代前半が主人公で、その子どもも登場する作品が多いので、中学入試問題にもよく採用されているそうです。読む人によって読みがブレることがないのも、その理由でしょう。
作者は男性で、年齢も重松清より2、3歳上なので、設定が似ています。元々作詞家で、ヒット曲を多数手がけてきた点が、作風に影響しているか、少々ベタな感じがするのは否めません。でも、読後感は温かいです。展開が上手いので、ラジオドラマにもよく使われているというのも、納得です。活字が大きいし、文章も読みやすいので、優しい気持ちになりたいときに、オススメです。

『こちらの事情』のあとがきより
前作同様、どの物語にも最後には“光”を残した。“救い”と言い換えてもいい。・・・僕は、甘いと言われようとも、やはり救いはあってほしいと願う。救いがあれば、決定的に堕ちる前に踏み止まれると信じている。

『夏を拾いに』(長編)は、小学5年生の息子を持つ父親が、自分の小学5年生のときの冒険を語るという設定です。「僕なりの『スタンド・バイ・ミー』」を書きたかったそうで、4人の少年たちの夏休みが生き生きと描かれています。40~50年前って、こんな風だったなと、小学校時代の同級生たちの姿が浮かんできました。ちょうど同じ年くらいの親子で読んでみたい本です。


テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

おつかれさまです…

今日はたくさんの本をしていてスゴイです!
今年も絶好調ですね~

上記のコメント文が良いので、どの本も読んでみたいです。
(オレももっと文章力が上手になれるようにがんばります)
【2011/01/27 19:52】 URL | 中村ケンジ #- [ 編集]

中村ケンジさんへ
>上記のコメント文が良いので、どの本も読んでみたいです。
ぜひ読んでみて下さい。
私が一生で読める本は限られているので、まず本を選ぶ段階でいい本をと考えます。
ほとんどが読んでよかったという本で、かつ、ここに紹介するのはそこから選んだ本です。
従って、本のことも著者のことも、敬う気持ちを忘れずに書きたいと、私は思っています。
よい文章は、まず書き手が謙虚になるところから…ではないかしら。
【2011/01/28 08:25】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

こんばんは
相変わらずすごい読書量ですね。
今月だけでしょ。
お仕事をされているのにいつ読まれるのかしら。

私はTPOで3冊を同時進行。
今年はまだ、完読は3冊だけです。
いろいろ忙しくて…いい訳です( 一一)

ご紹介の本、メモメモです。
【2011/01/29 19:52】 URL | ベンジャミン(keiko) #oUPgpoCM [ 編集]

ベンジャミン(keiko)さんへ
こんばんは。
今年は正月休みが長かったので、たくさん読めました。
実は、ずっと以前に頂いた歌集の感想を送らなくてはと、それらも必死で読んだので、冊数で言うと、30冊を超えているのです。
我ながら、目、大丈夫…?と思ってしまいます…。呆れますね。
テレビとパソコンの前に座る時間が減ったのと、寒くて室内で過ごす時間が増えたのが大きいです。
テレビを見ているときも、CMになると本を読んでいます。う~ん、呆れますね、やはり…。

パン焼き器のフランスパンいいです!バターとスキムミルク不要。砂糖は半分でヘルシー!
【2011/01/29 21:15】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年4カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
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