心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-超オススメです!
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      【大都会のど真ん中に…物語の舞台になりそうなとってもステキな花屋さん】

超オススメ!の本

 yorutokiri.jpg 『夜と霧 新版』  

 名著だと若い時から聞いていたけれど、ナチス強制収容所体験記なので、生々しくて辛くて読めないのではないかと、避けていました。ところが、大好きな小説『神様のカルテ2』の中に、やる気のなかった大学生が『夜と霧』を読んで、人生観が変わり大変身するという場面があり、早速『夜と霧 新版』を買いました。
ページ数もそんなに多くなく、訳も読みやすく、心配していた生々しさは、ほとんど気にならず、深く感動しながら一気に読んでしまいました。今までたくさんの本を読んできたけれど、1冊だけ推薦してと言われたら、迷わずこの本を挙げると言い切れるほど素晴らしい本でした。すべての人に読んで欲しい本です!

ヴィクトール・E・フランクル著/池田香代子訳『夜と霧 新版』 (みすず書房/2002年/1575円)

ナチス強制収容所での体験を、ユダヤ人精神分析学者が冷静につづったこの本は、既に1956年に出版されていて、古典として読み継がれていますが、古さを全く感じさせません。それは、単なる体験談ではなく、随所に人間の本質に迫る深い思索と感動があるからです。特に後半部の文章には、魂の震えを覚えました。


kamisamanokarrute2.jpg 『神様のカルテ2』

夏川草介著『神様のカルテ2』(小学館/2010年/1470円)

 前作と同様、夏目漱石を敬愛する内科医栗原一止が主人公。写真家の妻・ハル、信州の「24時間、365日対応」の本庄病院で働くスタッフ、下宿先「御嶽荘」の住人たちに、今回は新赴任の同窓生が加わる。自分の時間も体も家族も犠牲にしながら、「医者の良心」を貫く彼らの姿勢に、今回もまた心打たれると同時に、「医師である前に人間である」彼らのまともな生活を願わずにはいられませんでした。
こう書くと、とても辛く暗い話のようですが、ユーモアもあり、表現もうまく、とても楽しめる本です。現役のお医者さんでもある著者の、現代医療のあり方に対する憤りと、人間としての立派さを感じます。『夜と霧』を読んで人間が変わった本書の中の大学生は、若き日の著者なのかもしれません。


気楽に読めるけど、気持ちがよく書けている本

ティーンエイジャー向きと思って読まずに来ましたが、ちょっと読み始めたらはまりました。
石井睦美さん、この作者、上手いです!

 kyabetu2011.jpg    tamagotokomugiko2011.jpg   gunnzyounosora2011.jpg  kyoudaipazuru.jpg

 まず読んだのが『キャベツ』 (講談社/2007年/1300円)

父親が亡くなり初めて働きに出ることになった母親と、兄妹の物語。料理を担当する兄の言動が、今、料理が楽しい私のツボにはまったようです。ちょっと空想癖のあるところも気に入り、とても面白く読めました。本当は大変な状況なのだから暗くも書けるのですが、明るく爽やかな話に仕上がっていて、でも決して上っ滑りではなく、言葉にしにくい想いをなんとか表したいという作者の感性が、心地よかったです。
P202
生きているあいだは、そのどの地点にもからだを置いていくことができなくて、ひとはじぶんのからだをひきずりながら生きていくしかないのだ。だけどひとは、その人の残像のようなものを、ところどころ残していく。


 『卵と小麦粉それからマドレーヌ』 (ピュアフル文庫/2006年/540円)

 『群青の空に薄荷の匂い 焼菓子の後に』 (ピュアフル文庫/2007年/540円)

中学生になった菜穂と同級生の亜矢が主人公の青春小説。二冊目は、その三年後。
作者は1957年生まれで、そんなに私と年が違わないのに、ちゃんと現代の家庭環境や世間の流行も取り入れてあって、今の若者が読みやすい話になっている。でも、作者より年上の私も、自分が中学・高校生だった頃の気持ちを思いだして、感情移入しながら読めました。
P19
ひっかかっているのは気持ちなのに、言葉が喉にひっかかるのは、言葉が気持ちだからだろうか。

巻末の解説を、10代の文学で定評のある今江祥智氏、金原瑞人氏が書いているので、少し引用します。

今江氏~子供のころの「地平線の向こうに消えて(レイ・ブラッドベリの言葉)」いったものを、もう一度呼び戻し、本のページに定着するということ、物語にとけこませて目の前に再現してみせるということ、それが「子供の文学」の持札の一枚のように、私には思われます。石井睦美さんは、そうした持札の使い方が、なかなかの書き手です。読者のあなたが十二歳なら十二歳なりに、二十歳なら二十歳なりに見えてくるものが埋めこんである。

金原氏~うまいなあと思った。はらはらどきどきするような場面はほとんどなくて、事件が起こりそうになっても、大事になるまえに解決していく…そんななかで、細かい心の動きがたんねんに、菜穂の素直な言葉でつづられていく。
二つの作品をあわせて読んだとき、この作者はなんてうまいんだろうとあらためて驚いた。二つの作品から響いてくる菜穂と亜矢の言葉が、微妙に、しかしはっきりと、そして美しく描き分けられている。さらに、そこにはふたりの性格や感性や境遇のちがいだけでなく、中学校から高校という数年の変化までが細かく写し取られているのだ。


3月1日追加  石井睦美著『兄妹パズル』 (ポプラ社/2010年/1500円)

高校生の亜実、兄二人と両親、五人の家族の物語。同級生とのやりとりが、自分の懐かしい時代を思い出させる。軽く書いているけど、温かいものが残る。

 おまけ

 aisuruhitopanhu2011.jpg   dancingchaplinpanhu2011.jpg   amazinggrace2011.jpg

久しぶりに映画を見に行きました。

『愛する人』
切なく哀しい映画でしたが、三人の素晴らしい女優さん(ナオミ・ワッツ/アネット・ベニング/ケリー・ワシントン)を中心に、女性陣が魅力的に描かれていました。女性が好きな監督(ロドリゴ・ガルシア 脚本も)なのだと思います。原題の『Mother & Child』が、内容にはふさわしいです。周りに人が居なければ、大泣きしていたでしょう。


 予告編を見て行きたいなと思った作品二つ。

『ダンシング・チャップリン』
周防正行監督・草刈民代のラストダンス。美しいバレエが見られます。監督の、妻への敬意と愛を感じます。

『アメイジング・グレイス』
18世紀のイギリスで奴隷制廃止を勝ち取った若き政治家と、彼を支えた名曲「アメイジング・グレイス」。実話に基づく物語だそうで、これは絶対見逃せないと思いました。

どちらも、4月以降、ロフト地下の「テアトル梅田」にて。

 すぐ隣のチャスカ茶屋町に、日本最大の本屋「MARUZEN & ジュンク堂」ができ、そばにはグルメ街やタワーレコードの入っている「NU 茶屋町」や「阪急古書のまち」などもあり、都会の苦手な私でも、ここは嬉しい一角です。最初の写真も、ここで撮りました。


テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

お疲れ様です…今回もたくさんの本、本、本でビックリです。
本当に勉強家だなぁと思います。

吹田も田舎者の私から見たら大都会ですよ~
梅田はいつ行っても楽しい場所でワクワクします。
【2011/02/25 21:47】 URL | 中村ケンジ #- [ 編集]


夜と霧、わたしは大学時代の先生に勧めて頂きました。
(卒業した後の、今頃思い出して読んでいるのですけど。マックス・ウェーバーもその先生の影響で手を出しました。)

簡単ですけど感想を書いています。
http://miya-miya.at.webry.info/201009/article_7.html

人間とは何か、戦争とは何だったのかを強く考えさせられる本でした。
学問的にも意義のある本のようですね。

新しく出来たジュンク堂書店、私もこの間行きましたよ!
洋書があれだけ充実しているというのは他では考えられませんね。

【2011/02/26 11:06】 URL | 宮岡絵美 #- [ 編集]

中村ケンジさんへ
こんばんは。
>梅田はいつ行っても楽しい場所でワクワクします。
やっぱり若いと違いますねえ。
私なんかは、人の多いところに行くと、もうそれだけで疲れちゃって。
梅田も、一つだけの用事で出かけ、済ませたらすぐ帰ってしまいますが、
この茶屋町近辺だけは、まだ私でもなんとか大丈夫です。
【2011/02/26 21:02】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

宮岡絵美さんへ
こんばんは。
さすが、勉強家の絵美さんですね。
『夜と霧』の感想、読みましたよ。
若くて感受性が鋭い分、辛く感じる度合いもきつかったんだなと思いました。
私が、割と冷静に読めたのは、年をとって、ものに動じる度合いが減った(言い換えると感受性が鈍った)せいかもしれませんね。

引用してあった箇所は、私も印象に残ったところです。
私が若い頃、とても落ち込んでいた時期があって、その時やはり自然の美しさに感動したことが、生きる気力を呼び起こしたことを、あの箇所で思い出しながら読みました。

ゆったりしたいい本屋さんですね。
すぐ近くの写真の花屋さんも、見ましたか?きっと気に入りますよ。
【2011/02/26 21:09】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


中をのぞきたくなる可愛いお花屋さんですね。
近場では【お花屋さん】がほとんど見当たりません。
スーパーの花売り場で買います。

「夜と霧」亀さんの推薦されるのでメモしましたが難しそう( 一一)
相変わらず亀さんの読書量はすごい!
お仕事をされているのに、と感心しています。

次々と図書館に予約したり、書店をのぞいてつい買ってしまったりしますがなかなか進みません。
【2011/02/26 21:21】 URL | ベンジャミン(keiko) #oUPgpoCM [ 編集]

ベンジャミンさんへ
こんばんは。
>中をのぞきたくなる可愛いお花屋さんですね。
そうなんですよ。友達と、行きに見て、帰りに「もう一回見たいね。」と回り道をしました。
といっても、花を買う予定はなかったので、表で写真を撮っただけ。(お店の人、ごめんなさい…)
最近の携帯って、カメラの性能いいですね。デジカメ要らないくらいですね。
パソコンに転送したのですが、大きく撮れていたので、びっくり!縮小しました。

『夜と霧』は、最後の三分の一が特にいいから、ぜひ頑張って読んでみて下さい。
いつもは私のオススメを読まない夫も、夢中になって読み感動していました。
今は、次男に「一生に一度は読まないと悔いの残る本だ。」と押しつけ渡しています。

気分転換には、お料理好きのベンジャミンさんにぴったりの『キャベツ』が、オススメです。
ベンジャミンさんは、新刊の即買いが多いから、本代かかってるんじゃないかしら?
私は、中古が多いのですが(ちなみに『キャベツ』は1円+送料250円)、それでも、本代に一番お金がかかってます。
【2011/02/26 22:00】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

夜と霧
こんにちは。

この本を持っています。が、読んではいません。訳者は霜山徳爾氏。
若い頃読めなかった・・・これが正直な気持ちですね。
でも亀様のお勧めとあらば今日から読もうと思います。
”年をとって物に動じる度合いが減ったせいか、割と冷静に読めた”
この亀様の言葉、効いています(笑)。

沖縄や広島、アウシュビッツやベトナムはいつか訪ねることができたら
いいな、とは思い続けてきました。広島とアウシュビッツには行くことが
出来ました。当時ナチスの兵舎だった建物が今は観光客のためのホテルに
なっていました。ワルシャワからクラクフ経由の日帰りで行ったのでその
ホテルに泊まることはなかったのですが・・・なんとも妙な気持ちだったことを
思い出します。
【2011/02/27 15:09】 URL | 初夏 #hFEj5StE [ 編集]

初夏さんへ
こんばんは。
>若い頃読めなかった・・・これが正直な気持ちですね。
初夏さんもそうでしたか。
私は、旧訳は読んでないので分からないのですが、
新訳は、思っていたよりずっと読みやすくて、まずは、やっと読めたことが嬉しいです。
「出会えたときが一番いいとき」
そう思って、いくつになっても、いろんなことと、新鮮な気持ちで向き合いたいですね。

アウシュビッツに行かれたんですね。私は、まだ広島と沖縄だけです。
>当時ナチスの兵舎だった建物が今は観光客のためのホテルに
>なんとも妙な気持ちだったことを思い出します。
う~ん、これは、辛いですね。
私も、初夏さんと同じ気持ちになると思います。
今だって、もしかしたら、そういう残酷な過去を思い出させる場所に立っているかも知れないのだけれど、明らかに分かっているところには、抵抗がありますね。

図書館から、予約していた『人間の運命』の本が届いたと知らせが来ました。
初夏さんと、お互いに読書の刺激を受けることができて、ありがたいです。
【2011/02/27 18:30】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

はじめまして、こんにちは。
フランクルさん
数年前、よく読んでいました。

小論集が
何冊も、出版されていた時期があったんですね。

そのときに
次から次へと、手元においていたんです。

いまは
処分してしまいましたが

『それでも人生にイエスと言う』というのは
まだ、本棚にあると思います。

『夜と霧』も
読みました。

けれど
いまは、読めません。

いろんなことが
よみがえってくるようで

途中で
なげだしてしまいます。

チャスカ茶屋町
きょう、はじめて行ってきました。

日本一だときいて
覚悟して行きました。

時間がなかったので
目的地だけにしました。

フロアーの面積は
あまりないのかしら?

親切なつくりになっているのか
まわりやすかったです。

【2011/03/06 17:24】 URL | 名月かな #uSu7kBwQ [ 編集]

名月かな さんへ
こんばんは。
コメント、ありがとうございます。これからも、よろしくお付き合い下さいね。

>フランクルさん 数年前、よく読んでいました。
すごいですねえ。私は、今回が初めてで、こんな立派な方がおられたことに感動しました。

>『それでも人生にイエスと言う』というのは  まだ、本棚にあると思います。
たくさんの本を処分された中で、これが残っているということに、とても興味を感じました。
人間の地獄を見てきたフランクル氏ですが、そんな中にあっても素晴らしい人間にも出会えたことが、その後の生きる支えになっていると、私は『夜と霧』を読んで思いました。
この本の題名からも、なんだかそんなことを感じました。早速手に入れようと思います。

>フロアーの面積は あまりないのかしら?
そうですね。階がある分、一つの階のフロアは大きくなくて、旭屋書店のイメージですね。
私も、まだゆっくりは探検できてないので、また行ってみようと思います。
【2011/03/06 21:12】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

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【2011/03/07 15:12】 | # [ 編集]

鍵コメさんへ
嬉しいコメントをありがとうございます。
『夜と霧』の紹介は、あちこちで反応があって、
「紹介してくれてありがとう」と、何人かの方からメールを頂きました。
この本に心を寄せている人が、何人もおられることを知って、私も嬉しく思いました。
根底のところで、人間を信頼したいと思っている人が何人もおられるってことですものね。

最近の作品ももちろんいけれど、これからは、昔の本にも注目していこうと思います。
よく言われることですが、若いときに読んだ本でも、年を経て読むと、また違った読み方ができるというのは、当たっているようです。
もちろん、若いときに読めなかったけど、今なら読めるという本も含めて。
古典や名著・名作というものの価値が、少し分かるようになったのかもしれません。
【2011/03/08 19:37】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年8カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !
2017年 9月26日カウンター343434通過



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