心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-高野公彦氏のエッセイ&評論集
ふるさとと短歌つながりでご縁のある高野公彦氏の本を2冊ご紹介します。

        IMG_2133201106.jpg 紫陽花

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高野公彦著『うたを味わう 食べ物の歌』 
(柊書房/2011年/1800円)

帯文~短歌をこよなく愛する著者が、食べ物の歌をテーマとして鑑賞し、また自らの食べ物に寄せる思いを綴った 読んでおいしいエッセイ集。

「味の味」平成11年1月号~平成13年12月号に掲載された「味詠」と「NHK歌壇」平成12年4月号~平成14年3月号に掲載された「食べ物の歌」「歌と食べ物」を1冊にまとめた本です。月ごと、季節ごとに、著者の心をひく食べ物とそれにちなんだ歌が載せてあります。

読みながら、「高野氏はお酒が好きなんだろうなあ」とか、「食べ物というのは、やっぱり人を幸福にしてくれる原点だな」とか思いました。故郷が同じなので、「私の育った四国の田舎では」「私は子規と同じ愛媛県の生まれであるが」などと書いてあると、懐かしい味の話が出てくる!と期待感で胸がどきどきしました。私は食いしん坊なので、美味しい食べ物と歌が出てくるこの本は、実に刺激的でした。

食べ物は、各地方の産物や文化、歴史と深いつながりがありますが、このエッセイは、その豊かさを、さまざまな角度から豊富な知識を駆使して書かれていて、勉強にもなりました。田舎の丸ずしはいうまでもなく、好きなもの(枇杷・筍・木綿豆腐など)や、苦手なもの(ハンバーガー・辛すぎる物)が似ているのは、同じ郷土で食べてきた物が似ているから?年齢が近い(10歳ほど違いますが・・・)から?などと思いつつ、楽しんで読みました。

読み終わって、早速お総菜(ひじきの炊いたの、きんぴらごぼう、ほうれん草のごま和え)を作り、冷や奴と刺身をあてに日本酒を飲みました。すぐ顔が真っ赤になるので、外ではなかなか飲めないのが残念です。
最後に、懐かしいじゃこ天の出てくる一首を引用します。大洲の病院に入院しているお父さまを見舞われた時の歌だそうです。

乗換への松山駅で世のことを忘れて食へりじやこ天うどん

「じゃこ天」という響きだけで口の中が喜ぶのですが、松山駅では汽車の発着時に「瀬戸の花嫁」のメロディも流れていて、ついつい青春時代を思い出し胸がいっぱいになります。

        IMG_2153201106.jpg 泰山木の花

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高野公彦著『うたの回廊 短歌と言葉』 
(柊書房/2011年/2800円)

帯文~古典和歌から現代短歌までを俯瞰し、一首一首の読みを重視しながら、短歌についての言論や言葉の問題、無名者の歌から現代の歌人の歌を、独自の視野で鋭く論じた待望の書。

初出は「短歌現代」「短歌年鑑」「短歌」「短歌と日本人」「短歌研究」「歌壇」「短歌春秋」「国文学臨時増刊号」で、平成2年から平成21年の評論が収められています。

昨年の秋、京都で、青磁社10周年シンポジウム「ゼロ年代の短歌を振り返る」で、高野公彦氏が講演をされました。時々雑誌などで、言葉を冒涜しているのではないかと思うような、このまま軽く流れていくと短歌の存在意義がなくなるのではないかと心配になるようなものがあり、私は鬱々としたものがあったのですが、高野氏の講演は、その辺りのことにも関わってきちんと批評をされ、私は話を伺いながらほっとしたことを覚えています。この本も、その講演会で話されていたことと重なる内容で、私は強い味方を手に入れたという思いで、共感を覚えながら読みました。

勉強になるところがたくさんあって、印をたくさん入れたのですが、特に「定型があつてこそ面白い」「ケの歌の周辺」「短歌の〈膨張〉について」「前衛短歌の光源と反照」「言葉はのろく、及び予定調和の件」の章が印象に残りました。短歌を学んでいる方にはぜひ読んでほしいと思う、内容の濃いいい本でした。私は、北原白秋の感性と佐藤佐太郎の表現が好きなのですが、二人の例歌が多くあげてあったので、大変ありがたかったです。たくさんの歌を引きながら具体的に解説してあり、講義を受けているような心地よさもありました。

例えばp53の文などは、強い自戒もこめて、歌を詠む時に忘れてはならないことだと思いました。少し引用します。

何をうたつても、それは作者のいのちを刻印している。確かにその通りであらう。しかし歌にはおのづから優劣がある。優と劣の分岐点はどこにあるか。それはただ一つ、言葉を使ふ能力である。言霊を信じる信じないは別にして、言葉を使ひこなす言語能力が優れてゐなければ、作品は凡作駄作とならざるを得ない。今、さういつた認識が欠けてゐるやうに思へる。

凡人の私ですが、歌を詠む&読む以上は、せめて言語能力を高める努力は怠らないでおこう、凡作駄作ばかりにならないよう、学ぶ姿勢は捨てずに生きていこうと思いました。

        IMG_2195201106.jpg 
         樫の木の花・団栗に

 2011年6月14日朝日新聞夕刊に「じゃこ天うどん」の記事が載っていました。
松山駅の到着メロディーが、今年の4月から新井満さん作詞・作曲し、トワエモワが歌う「この街で」になったそうです。

zyakotenudon201106.jpg

 ふるさとつながりでもう一つ話題を追加
6月19日久しぶりに、S先生から電話がありました。1月には1ヶ月入院されていたのですが、だいぶ回復されたそうです。「テレビで、I くんの奥さんと同じ名前の人が料理番組に出ていたのだけれど、そうだろうか?」と尋ねられました。そうだと言うと、「じゃあ、前に犬と一緒に出ていた人もそうだね。初めてちゃんと見た!」と喜ばれていました。
「教え子のみんなは元気か?」と、あれこれ名前をあげて気にされていました。次の俳句は、「亀さんへ」ということで、いただきました。卒業して40年ですもんね、教師にとっての教え子は、こんな感じなのでしょう。「また」に寂しさを、「青嶺澄む」に優しさを感じ取りました。

  また遠くなりたる人へ青嶺(あおね)澄む

 お知らせ-よろしければご覧下さい。
私もお世話になっている書道の先生、菅谷藍(すがのやあい)さん(103歳)が、7月1日(金)午後2:20~2:40のNHK教育テレビ高校講座「家庭総合」に出られます。「もう一つの人生を生きる-新しい高齢者像」というテーマだそうです。
NHKの「百歳バンザイ!」に登場されてから3年、マスコミからの取材が多く、断っても是非!と言われ、元気な姿を見せて下さっています。ちなみに、どれも出演料などはなかったそうですが、誰でもテレビに出たいと思っているわけでもないのに、当然喜ぶだろうって発想、これって変じゃないですか?

テーマ:読んだ本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント
涼しい日曜日
日本の食卓が浮かんできます。
亀さんの言葉もステキ「口の中が喜ぶ」

お腹がすいて困るなんてことがない飽食現代です。
目が欲しくて大してお腹がすいていないのに食べてしまうことが多々あります。

食べ物を丁寧に味わわなければいけませんね。


菅谷先生がご出演されるテレビ、忘れん坊なので今、録画予約しました。
【2011/06/26 16:08】 URL | ベンジャミン(keiko) #oUPgpoCM [ 編集]

ベンジャミン(keiko)さんへ
>食べ物を丁寧に味わわなければいけませんね。
そうですね。
せっかくの自然の恵みや命を頂くのですからね。
「口寂しい」なんて言って、無雑作に食べてはいけませんね。
一口三十回がダイエットやぼけ防止の秘訣のようですから、せいぜいゆっくり噛んで、味わいながら食べようと思います。
ベンジャミンさんは、お料理が得意だしお好きだから、心配ないですね。

私も、ベンジャミンさんのコメントを見て、予約しました。どんな編集か楽しみです。
【2011/06/26 20:06】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年1月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
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