心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く詩歌-短歌・俳句の雑誌より
 私の所属している短歌会と俳句会の、若い方々の最近の活躍をご紹介します。

tanka201111.jpg 「短歌」2011年11月号

第57回角川短歌賞次席作品(50首)  海蛇と珊瑚  薮内亮輔(20歳)より

月の下に馬頭琴弾くひとの絵をめくりぬ空の部分にふれて

晩年の姿を残しひとは逝く橋の手摺りを越えて降る雪

窓に背をあてて話せり首すぢは空のけはいを感ずるところ

おしまひのティッシュペーパー引くときに指は内部の空(うつほ)もひけり

眼底に雪はさかさに降るといふ噂をひとつ抱きて眠りぬ

死ぬことはもう識つてゐる小説の挿絵のなかに欅、夕ぐれ

虹、といふきれいな言葉告ぐることもうないだらう もう一度言ふ

光線のながき旅路の終点のひとつに数へたし、ゆふ雲を

忙しき一日よ憶えゐるものは眼鏡のうへの指紋ひとひら

まず一首目を読んで「うまいなあ!好きだなあ。」と思いました。ここに挙げた歌は、言葉も発見も作者の独自性があって、しかも響きに風格があると感じました。また、死というものの本質に迫る歌群に心惹かれました。私も所属する「塔」短歌会の、ホープの一人です。

ここでは具体的なお名前はあげませんが、「塔」には、角川賞、歌壇賞等々優れた短歌の賞の受賞者が何人もおられます。


20122kadan.jpg 「歌壇」2012年2月号

第23回歌壇賞次席作品(30首)  温度差の秋  沼尻つた子(昭46生)より

ながつきの真夏日 ストアの扉からにせものの秋の温度は漏れて

店員用ユニフォームに〈がんばろう日本〉おのれでは読めぬ背中へ刷らる

淡雪のようなる埃をぬぐいたり半年を経し義援金箱

のちの世にわれらを祖先と呼ぶひとのありやレシートの数字うすれぬ

かつて薄野原でありしわがまちの空調の風に髪を梳かるる

迎えたるものをあまねく送りだすストアの扉から秋もまた

所属する「塔」には、いい歌を詠む方が多く、彼女もその中の一人。生活感があって力強く、言葉がふわふわしていないので大好きです。この作品群には、個人的なことも詠まれているのですが、私はここにあげた広い視野を持つ歌がとても気に入りました。普段は買わない「歌壇」ですが、応援している沼尻さんの歌を紹介しなくてはと思って、今回は買いました。

予選通過作品の中に、リンク先の宮岡絵美さん(同郷&同級生の友人夫妻の娘さん)の名前を見つけたのも、嬉しいことでした。その宮岡絵美さんのブログに「世界の大学図書館」というサイトが紹介してあるのですが、とても素敵です。


haiku201111.jpg 「俳句」2011年11月号

第57回角川俳句賞候補作品(50句)  塔   織田高暢(昭33生)より

低く来し蝶またぎけり駅へ急く

我が影と別れて休む木下闇

手ざはりは絹蝙蝠をつまみ出す

帰省子の髪の吹かるるデッキかな

窓たたき搗きしばかりのもち食へと

舞ひ降りて一羽一羽に草青む

私は、二句目と五句目が特に好きです。日常見過ごしがちな何でもないことを詠めるのが俳句だと、改めて思った句群でした。全体を通したテーマがわかりにくかったのが、残念でした。私も所属する「空」俳句会の方なのですが、「塔」という題が、私の所属している短歌会の名前と一緒だったのでびっくりしました。
同誌に伊丹三樹彦先生の俳句(連作8句)が載っていたのも嬉しかったです。

ちなみに私の所属する「青群」顧問の伊丹三樹彦先生は2003年に現代俳句大賞を、「空」主宰の柴田佐知子先生は第7回(平成4年度)俳壇賞を「己が部屋」にて、「空」を私に勧めて下さった高千夏子さんは第43回(平成9年)角川俳句賞を「真中」にて受賞されています。


tanka20111.jpg 「短歌」2010年11月号

前年度、紹介を忘れていましたが、2010年第56回角川短歌賞受賞は、同じく「塔」のホープ、大森静佳(21歳)さんの「硝子の駒」でした。青春時代にしか詠めない、淡く切ない恋の歌です。この号には、河野裕子さんの追悼特集があったので、めったに買わない「短歌」を買ったのですが、中に思いがけなく拙歌集『大空の亀』が紹介してあり、驚くと同時にありがたく思いました。

 「若者応援」に便乗して、青木拓人(たくと)のライブのお知らせ

1月30日(月)京都の老舗ライブ「磔磔(たくたく)」にて。平日の夜なので、なかなか難しいかもしれませんが、京都河原町駅から徒歩3分の近さですので、よろしかったらお出かけください。

2月3日(金)は、umeda AKASOにて。以前バナナホールがあったところです。AKASOの2月のスケジュールに、なんと!「スガシカオ」!行きたい!でも、残念。SOLD OUTでした。

テーマ:短歌 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

少しの積雪でも慣れていない都心は大騒ぎです。
気温が低いので解けずに細い道路、歩道が怖い(>_<)

首都圏の地震予測が不気味です。
でも今はまだ、東日本震災のお手伝いが出来ます。
それどころじゃなくなるかもね。

義援金の箱が埃をかぶっているって淋しいです。
最近、ボランティア仲間のおひとりが石巻のパソコンサークルとコンタクトが取れてそこの「被災地に咲いた花」のポストカードを大量に送ってもらいました。
仲間や生徒さん、2月に市と共催で開くイベントに置く予定でしたが仲間だけで殆ど買い占めて今は、追加注文をしているそうです。
時間がたち、義援金箱を見かける事もありません。
でも私も含めみんな、何かしたい!と思っているのですね。
取り寄せたご本人が驚いていました。

息子さん、ご活躍ですね。
【2012/01/25 08:46】 URL | ベンジャミン(keiko) #oUPgpoCM [ 編集]

ベンジャミン(keiko)さんへ
いつも優しいコメントをありがとうございます。
今日も寒い一日でしたが、雪は降りませんでした。

>少しの積雪でも慣れていない都心は大騒ぎです。
昨日のニュースで、ピンヒールで歩いてる人がいて、びっくり。
金沢に行ったときは、地元の人がすたすたと、雪の上をヒールで歩いていて驚きましたが、都心ではねえ…。

>首都圏の地震予測が不気味です。
4年以内に70%でしたか?怖いですねえ。
地震列島ですから、いつどこに起きても不思議はないのですけれど、こんなふうに数字であげられると、さすがにいろいろ備えとかないと…と思いますね。

>でも私も含めみんな、何かしたい!と思っているのですね。
そうですね!私もベンジャミンさんのこの文章を読んで、そのハガキ、買いたい!って思いましたから。
寒い寒い季節、仕事や家や、いろんなことで辛い思いをされてるでしょうね。

>息子さん、ご活躍ですね。
何にも言わないもので、こちらからHPを覗いて、元気かしら?ってチェックをし、今回はこんな有名なところでやらしてもらえるんだって、驚いたのです。
まだまだ一人でお客さんを呼べるというような力はないので、他の方の力を借りて何人かでやるようです。
【2012/01/25 18:02】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


紹介頂いてありがとうございます!恐縮です。
薮内亮輔さんの短歌、良いですね。
20歳とは思えない程重みがあります。

死ぬことはもう識つてゐる小説の挿絵のなかに欅、夕ぐれ

の歌が私には非常に印象的でした。
暁方ミセイさんという私の大好きな詩人(20代前半)がおられて
暁方さんも良く死をテーマにした作品を書かれます。
若くして死にそんなにも向き合うことができる人々のことを
私は本当にすごいなあと思います。
私にはまだ怖くて向き合えないのです。
おそらく今を生きること自体に必死なのでしょう。

沼尻さんの歌は、年齢を経てきた経験が
私には感じられるようです。独特ですね。

「ユリイカ」2月号の投稿欄に拙詩が掲載されます。
(小池昌代さん選)
またコピーを持っていきますので
よろしければ読んでみて下さい。
歌壇賞の通過作品のコピーもよろしければ。
見返してみると未熟な一連で、好きな歌はところどころあるけれども
全体としてまだ世界観を形成しているとは
言えないと思います。今後の課題です。
詩集「鳥の意思、それは静かに」も2月か3月頃に
出来あがる予定ですので、是非謹呈させて下さいね。
【2012/01/26 11:28】 URL | 宮岡絵美 #- [ 編集]

宮岡絵美さんへ
コメントありがとうございます。

>20歳とは思えない程重みがあります。
ほんとに!
新人賞の意味合いも持つ角川短歌賞に、薮内さんの歌は上手すぎたのかなって、審査員の評を読みながら思いました。
たとえば、審査員の声として「彼は、賞の後押しがなくてもひとりでやっていける」というのがありました。
でも、薮内さんは薮内さんとして、この短歌賞に賭けたものもあったでしょうから、賞の後押しはやっぱりしてあげてほしかったなって思いました。
力のある人ですから、今後も活躍されると思います。

沼尻さんのここにあげた歌は、いつも「塔」で読むのよりおとなしめです。
詠み慣れたというような、審査員の評がありましたが、やはり新人賞的な意味合いを持つ賞には、上手すぎるのだろうと思います。
「賞の半分は運」という言葉もありました。作歌力とは別に、さまざまな用件が意識・無意識にかかわらず、影響しているということでしょうね。
でも、沼尻さんも力のある人ですから、これからもどんどん活躍されますよ。

>若くして死にそんなにも向き合うことができる人々のことを、私は本当にすごいなあと思います。
身近なところで、早くに、死に接したことがあるからではないでしょうか。
自分の人生と無関係に表現はできないから、誰もが早くから死と向き合う必要はないのではないかなと、私は思います。
いろんなことをテーマにした表現があっていいですもんね。
といっても、私は恋をテーマにした歌が、詠むのも読むのも苦手。むずがゆくなります。

ユリイカ掲載詩と歌壇賞の通過作品のコピー、楽しみにしています。
堅い頭ですが、できる限り柔らかくして読みますね。
詩集「鳥の意思、それは静かに」、素敵な書名ですね。
これもとっても楽しみです。若い方が、自分の好きなことができるのって、嬉しいです。
【2012/01/26 22:58】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


スガシカオ、金沢では当日券出てました。
すっごくよかったので、当日券聞くだけきいてみては?^^
【2012/01/30 09:23】 URL | #- [ 編集]

?さんへ
コメントありがとうございます。チャレンジしてみます。
スガさんを、近くで聞けることはめったにないですもんね。
【2012/01/30 19:46】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


亀さんこんにちは、つた子です。
いろいろともったいないお言葉、恥ずかしくも嬉しいです。
若手に紛れこませていただいて(わははは)

>言葉がふわふわしていないので大好きです。

私は「うわすべりな言葉」をつかわないようにしたいので
この評価、ひとしお沁みます。
いつも見守って下さってありがとうございます。

息子さんのご活躍、燦燦として、すてきだ!
そうっと応援するお母さんも、きらきらです。

夏の大阪の陣(?)での再会を今から心待ちにしております。
【2012/01/31 14:11】 URL | つた子 #1S3fpaoM [ 編集]

つた子さんへ
こんばんは。お忙しい中、コメントありがとうございます。

>若手に紛れこませていただいて(わははは)
いやいや年齢的には十分若手で。(作品的にはベテランの域ですが…。)

>私は「うわすべりな言葉」をつかわないようにしたいので、この評価、ひとしお沁みます。
気に入ってもらえて、よかったです。リアリズムですね!
ちなみに、薮内さんは、「響きに風格がある」というのを気に入って下さいました。

向田邦子のエッセイ『父の詫び状』の解説(沢木耕太郎・文)に次の文章があり、つた子さんと通うものを感じました。

彼女は決して具体的なものから離れようとしない。抽象的な思弁や空疎な修飾に筆が流れていくことがない。自分の身の丈に合った素材を、自分の手になじんだ道具で料理していく。声高に叫んだり、過剰な情緒に溺れたりすることがない。・・・続く・・・

いい解説でしょ。こうありたいと、気に入ってます。たまには言葉遊びもしますけど…ね。
【2012/01/31 20:10】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !



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