心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本‐三浦しをん著 『舟を編む』
 数年前「電子書籍が広まると、今の出版業界はどうなるか」というのをテーマに講演会が開かれ、岩波書店の方のお話を聞いたことがあった。その時、「広辞苑」の紙の質や厚み・調べる人の指の位置など細かい配慮がなされているのを聞いて、電子辞書ばかり使っている身をちょっと申し訳なく思った。また、しおりひもなどの材料や製本技術や編集者の視点などが失われる危惧を伺い、「本」が何層もの文化を背景として生まれていることに改めて気付かされた。

 今回紹介する本は、そんな辞書を生み出す側から書かれた小説で、2012年本屋大賞に選ばれたベストセラーです。言葉に関心のある人にとっては、共感を覚える部分がたくさんあって、心に残る一冊となるのでは…。前半はなんだか軽い感じでしたが、後半に入ってからよかったです。本の装丁にも注目したいところ。引用の(  )は、登場人物のセリフです。

三浦しをん著 『舟を編む』 
(光文社/2011年・2012年14刷/1500円)

 hunewoamu.jpg

p203 言葉の持つ力。傷つけるためではなく、だれかを守り、だれかに伝え、だれかとつながりあうための力に自覚的になってから、自分の心を探り、周囲のひとの気持ちや考えを注意深く汲み取ろうとするようになった。(岸辺)

p212 馬締が言うには、記憶とは言葉なのだそうです、香りや味や音をきっかけに、古い記憶が呼び起こされることがありますが、それはすなわち、曖昧なまま眠っていたものを言語化するということです。(香具矢)

p226 言葉は、言葉を生みだす心は、権威や権力とはまったく無縁な、自由なものなのです。(松本先生)

p257・258
言葉はときとして無力だ。荒木や先生の奥さんがどんなに呼びかけても、先生の命をこの世につなぎとめることはできなかった。
けれど、と馬締は思う。先生のすべてが失われたわけではない。言葉があるからこそ、一番大切なものが俺たちの心のなかに残った。
生命活動が終わっても、肉体が灰となっても。物理的な死を超えてなお、魂は生きつづけることがあるものだと証すもの―、先生の思い出が。
先生のたたずまい、先生の言動。それらを語りあい、記憶をわけあい伝えていくためには、絶対言葉が必要だ。

テーマ:オススメの本 - ジャンル:本・雑誌

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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
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