心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く詩-「木」の詩二編
 いきなりの夏!「梅雨」はどこかに消え去って、全く雨のないかんかん照りの日が続いています。風はさわやかなのですが、なにしろ日差しがきつくて、日傘を忘れようものなら大変。夏好きの私ですが、さすがにこれだけ雨が降らないと、植物が心配です。【写真は家の周辺】

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木    田村隆一

木は黙っているから好きだ
木は歩いたり走ったりしないから好きだ
木は愛とか正義とかわめかないから好きだ

ほんとうにそうか
ほんとうにそうなのか

見る人が見たら
木は囁いているのだ ゆったりと静かな声で
木は歩いているのだ 空にむかって
木は稲妻のごとく走っているのだ 地の下へ
木はたしかにわめかないが
木は
愛そのものだ それでなかったら小鳥が飛んできて
枝にとまるはずがない
正義そのものだ それでなかったら地下水を根から吸いあげて
空へかえすはずがない

若木
老樹

ひとつとして同じ木がない
ひとつとして同じ星の光りのなかで
目ざめている木はない


ぼくはきみのことが大好きだ


       IMG_75121306.jpg

木は旅が好き     茨木のり子

木は
いつも
憶っている
旅立つ日のことを
ひとつところに根をおろし
身動きならず立ちながら

花をひらかせ 虫を誘い 風を誘い
結実を急ぎながら
そよいでいる
どこか遠くへ

どこか遠くへ

ようやく鳥が実を啄(ついば)
野の獣が実を嚙(かじ)
リュックも旅行鞄もパスポートも要らないのだ
小鳥のお腹なんか借りて
木はある日 ふいに旅立つ―空へ
ちゃっかり船に乗ったのもいる

ポトンと落ちた種子が
〈いいところだな 湖がみえる〉
しばらくここに滞在しよう
小さな苗木となって根をおろす
元の木がそうであったように
分身の木もまた夢みはじめる
旅立つ日のことを

幹に手をあてれば
痛いほどにわかる
木がいかに旅好きか
放浪へのあこがれ
漂泊へのおもいに
いかに身を捩(よじ)っているのかが


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 木のことを詩にした素敵な作品を二つ見つけました。特にアンダーラインのところが好きです。以前から心惹かれていた木と野の草ですが、近年ますます好きになって、自然の中を歩いていると、それだけで気持ちが満たされていきます。新緑が濃い緑になると寂しくなるなと思っていたのですが、夏の元気な木々は豊かな緑蔭をつくってくれて、やっぱり素晴らしい。芽吹き、新緑、万緑、紅葉、落葉、裸木…と、木は一年中そばにいて心を癒してくれます。

テーマ:詩・ことば - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

こんばんわ。どちらの詩も良いですね♪
私も木が大好きです。自分の人生を遙かに超えているような大木に出逢った時には、
抱きしめて幹に耳をあてずにはいられません(笑)

ご存じかもしれませんが、ヘッセも「木」という作品を残しています。
念のために…いちおうご紹介しておきますね。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~etree/bungaku/hesse05.html
ありがとうございました。合掌
【2013/06/14 22:02】 URL | うみそら居士 #- [ 編集]

うみそら居士さんへ
お早うございます。
コメントありがとうございます。

>自分の人生を遙かに超えているような大木に出逢った時には、 抱きしめて幹に耳をあてずにはいられません(笑)
とてもよくわかります。私も必ず触れて、大木の力を分けてもらいます。大木は憧れです。

>ヘッセも「木」という作品を残しています。
ご紹介、ありがとうございます。知りませんでしたので、早速読みました。
木と故郷(母)を結びつけて書いているところに、新鮮な驚きを感じました。なるほど!

木と言えば、4000万本植えた宮脇昭さんという素晴らしい方がおられるんですね。
先日、知人から送ってもらった読書案内で知りました。
早く読んで、本を紹介したいと思っています。
木を残し地域を助ける人と、原発で儲けることを企む人、未来への姿勢が大違いですね。
【2013/06/15 08:32】 URL | 大空の亀  #- [ 編集]


おはようございます。
ヘッセの「木」も喜んでいただけて良かったです。
自然に畏敬を感じ、守っていくことこそが何より大切ですよね。

宮脇さんの本は、私も数冊読んでいますが、かなりお薦めですよ。
また書評を楽しみにしてますね♪

ちなみに、これは宮脇さんが講演をされているラジオ番組なのですが、
40分ほどあるので無理にお薦めはしませんが、もしお時間があるようならば…
「森が育む心の遺伝子/宮脇昭」
http://www.youtube.com/watch?v=RX35TQ4oPSo

ありがとうございました。合掌
【2013/06/15 11:21】 URL | うみそら居士 #- [ 編集]

うみそら居士さんへ
こんにちは。
やっと雨が降りました。
コメント、ありがとうございます。

>宮脇さんの本は、私も数冊読んでいますが、かなりお薦めですよ。
やっぱり読んでおられましたね。私も早く課題を片付けて、読みたいです。

>「森が育む心の遺伝子/宮脇昭」
教えて下さって、ありがとうございます。
今、これを書きながら聞いています。
子どもの頃に遊んだ野山や神社を思い出します。
どうしてこういうまともなことが広まらないのでしょうね。

以前に畠山重篤氏の『鉄は魔法つかい』を読みましたが、森から海までつながる循環の大切さを思います。
【2013/06/15 16:39】 URL | 大空の亀  #- [ 編集]


竹やぶのお写真が素敵ですね。
緑が下からグラデーションになって柔らかくなっていますね。
空の青さとピッタリ。
きれいに撮れてるわ。

『ポトンと落ちた種子が・・・
いいところだな・・・
しばらくここに滞在しよう・・・』
のところが好きです。
なんか、いいんですよね。

私の分身たちは巣立って行きましたが
私は今いるここが終の棲家になるといいんですけどね。


【2013/06/18 20:15】 URL | ベンジャミン(keiko) #oUPgpoCM [ 編集]

ベンジャミン(keiko)さんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。
久しぶりの本降りで、びしょ濡れになって帰宅しましたが、涼しくて気持ちいいです。

竹藪、マンションのすぐ裏手で、隣のマンションとの境目にあります。
万博のあった千里丘陵一帯は、竹藪ばかりだったようで、今もたくさん残っています。
春のタケノコも、もっぱら周辺から、ご近所の方が掘ってきてくださいます。

>『ポトンと落ちた種子が・・・・・ しばらくここに滞在しよう・・・』 のところが好きです。
なるほど、フーテンの寅さんみたいな自由さがありますね。
どこを旅しても、ここの住人になれそうと思う私、共感を覚えます。

>私は今いるここが終の棲家になるといいんですけどね。
できる限り長い時間、病院や施設などには入らず自宅で過ごしたいと、私も思います。
元気な長寿の先生やお友だち・知人をお手本に、お互い元気でいましょうね。
【2013/06/19 17:46】 URL | 大空の亀  #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年7カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
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