心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-今年読んだ本から
 今年も拙いブログにお付き合いくださって、ありがとうございました。
年末恒例の(と私の中で決めている)本の紹介で、今年の〆と致します。

 今年読んだ本(雑誌や結社誌は除く)は、合計225冊です。
簡単に読める本も結構あるので、冊数の多さはあまり意味がありません。
最近読んだ中で、とても紹介したい4冊をアップします。(新刊は無し。)

1、のんびりほっこりしたいときに
  どいかや著『ちっぽけ村に、ねこ10ぴきと。』~絵本作家の森ぐらし~
       (白泉社/2011年刊/1300円)
    ちっぽけ村に、ねこ10ぴきと。
猫の絵も写真も文章も、そして著者の生活そのものも私好みの素敵な本でした。
せっかく生まれてきたのだもの、こんなふうに自分の体にも心にも気持ち良く…。


2、俳句の基本的な知識をきちんと手に入れたいときに
  國文學編集部編『知っ得 俳句創作鑑賞ハンドブック』
        (學燈社/2008年/1800円)
    知っ得俳句ハンドブック
俳句の本質・俳句の歴史・俳句の鑑賞・俳句の作法・俳句の添削と批評・俳句と古典文学・俳句と近代文学・海外の俳句・俳句の研究と俳論・現代俳壇地図・俳人の系譜・俳句の年表・季題と季語一覧・俳句の本・俳句の文学館と資料館
どれもしっかり書かれていて、質のいい本だと思いました。


3、言葉にだまされず現代社会を生きるために
小森陽一とアーサー・ビナードの対談『泥沼はどこだ』言葉を疑い、言葉でたたかう
  (かもがわ出版/2012年/1900円)
 帯文に「文学者が語る政治の言葉 ウソとのたたかい方」とありますが、文学者と詩人がここまで政治のことを語らずにはいられない酷い現状を、皆さんにもぜひ知って頂きたいと思った本でした。共感することや教えられることがたくさんあり、付箋をいっぱい貼りました。私にとっては、今年一番の収穫本です。

4、とりあえず軽い感じで読んでみたいという方に
アーサー・ビナード著『日本語ぽこりぽこり』 講談社エッセイ賞受賞
  (小学館/2005年/1600円)
 日本人より日本語をよく知っていて、日本のことを考えている著者です。
 気楽に読めますが、本質を突いていて、大事なことに気づかされます。
泥沼はどこだ 日本語ぽこりぽこり

12月初めに、アーサー・ビナードさんと木坂涼さん(夫妻)の5時間もある講演を聞きました。
ユーモアも交えながら、上手くお話をされたので、全く疲れず充実した時間を過ごしました。
どんな話か知りたいという声もあり、とてもよい内容だったので、以下にまとめてみました。
よろしければお時間のある時にでも、下の[READ MORE]をクリックして読んでみてください。

皆さん、よいお年をお迎えください。来年もよろしくお願いします。

 ここから[READ MORE…]です。

平成25年度子どもゆめ基金助成活動「子どもと本の集い2013」
主催:子どもの本連絡会 後援:市教育委員会

アーサー・ビナード氏&木坂涼氏 講演会
2013年12月8日(日)10:30~16:30(昼休憩60分)/市立中央図書館集会室にて

第1部 講演 10:40~12:20
 アーサー・ビナード氏(1967年生・詩人・翻訳家・エッセイスト)
演題「日本語をつくった生き物たち」

「よりによって真珠湾攻撃の日に…」という挨拶に、会場から「私の父は戦争で死んだ。アメリカ側からの発想で話をしないで欲しい。」と突然の怒声。会場の皆が唖然とするも、ビナードさんはにこやかに「大切な指摘をして下さいました。この日は、開戦の日とも言います。アメリカではただPearl Harborとだけ言うことが多いですが、立場によって言い方や見方が違うということをお話しましょう。大切なことです。」と言って、イラク戦争の話を導入としてされました。
以下は、ビナードさんの話をまとめたものです。

1941年12月7日(日本は8日)ルーズベルト大統領は次の言葉で宣戦布告をしました。
“A date which will live in infamy.”=「悪い評判(汚名・悪名)の永遠のうちに生き続ける日」

アメリカの憲法は、悪い権力者の暴走を止めるため、一般市民が生き残るために、制定された。
憲法による歯止めが効いていて、戦争をするには議会で宣戦布告をし承認される必要があった。
第一次世界大戦で多大の犠牲を払ったアメリカは、99%の人間が戦争に反対しており、有名な飛行家リンドバーグを先頭に反戦の世論が盛り上がっていた。金儲けのために戦争を起こしたがっている1%のバックアップを受けている大統領が、開戦するためには敵を作り憎悪をかき立てる必要があった。その作戦の掌中にまんまとはまり、日本は真珠湾を攻撃した。奇襲攻撃と言われているが、情報はすべてアメリカも把握しており、空爆戦が主流となっている戦争で、すでに不要な軍艦を破壊しただけであった。[軍艦を並べ上にベニヤを敷いて空母艦に見立てたもので、しかも爆薬がすぐ爆発するよう上の方に置いていた。]当時の実録映画も残っており、そこには撮影合図の指も見える。この攻撃により、アメリカも一気に開戦ムードとなり、宣戦布告がなされた。

大学までアメリカで教育を受けたビナードさんは、「終戦のため止むを得ず日本に原爆を落とした。」と習ってきた。「それなら広島・長崎と2箇所でなく、1発で済むだろ。」と思ったが、後にその理由がわかった。広島に落とされた原爆(リトルボーイ)は、古い型のウラニウム235でウラン鉱石があればできる。長崎の原爆(ファットマン)は、半減期2万4千年のプルトニウム239で、人工的に生み出すものである。[ちなみに、権力者が原発を稼動したいのは、電力の問題ではなくプルトニウムを生み出したいからである。]1942年12月2日マンハッタン計画(アメリカ・イギリス・カナダによる原爆開発計画)によりプルトニウムが本格的に作られ始め、1945年7月16日爆弾が完成した。広島型の原爆なら、もっと早い段階での投下も可能だったが、プルトニウム爆弾ができるまでの時間稼ぎとして、硫黄島や沖縄島が不要な攻撃を受け多大の犠牲を出した。ニューメキシコ(貧しい土地)で小規模実験を行ったのち、長崎に8月9日投下。それは、ソ連軍による満州侵攻が始まった日でもある。アメリカ・ソ連の力関係が見える。このマンハッタン計画により大もうけをしたダウ氏の名前が、ニューヨーク市場の「ダウ平均」の名となっている。

来日して広島の被爆者が「ピカドン」と話すのを聞いて、気づいたことがあった。私たちは普段「原子爆弾」とか「核兵器」と言うが、それらは上から見ていたり遠くから見ている言葉で、「ピカドン」は体験した人が生み出した言葉で実態と根っこがある。近い距離で原爆を体験した人は「ピカ」と言う。『はだしのゲン』には、「ピカ」と出てくる。体験者は言葉を使い分けているし、体験したことを表す言葉を作らないと生きていけない。これらから、立ち位置によって使う言葉が違うことがわかる。時間をかけて原爆と同じことをする原発を、地元では「ジリジリ」と言うことも知った。
私は、新しい言葉を知ると使わないではいられない。お金と言葉はいろんな点で似ているが、お金は使うと無くなるが、言葉は使えば使うほど自分のものとなる。

1941年12月7日の宣戦布告を最後に、アメリカでは「戦争」と言わずに、戦争を220回以上世界中で起こしている。1947年トルーマン大統領が「国家安全保障法」を制定し、それまで「War(戦争)」と言っていたものをすべて「Defense(国防)」と呼び変えたことによる。「ペンタゴン(国防総省)」は、「ペテンタゴン(ペテンは中国語・ビナードさん命名)」である。
実は、12月7日は1953年にアイゼンハワー大統領が「原子力を人類の幸福のために使う。平和利用をしよう。」と言った日でもある。わざわざこの日を選んだことの意味を考えなくてはいけない。歴史を見抜く目が必要だ。今やアメリカは、悪質な一部の人に乗っ取られている国となっている。日本も「特定秘密保護法」という違法な法律が強行採決されてしまったが、子どもたちのためなら闘えるはずだ。

 かっこいいビナードさんの、ユーモアも交えながらの熱い講演に、時間も忘れ聞き入りました。


第2部 講演 13:30~15:10
 木坂涼氏(1958年生・詩人・翻訳家・夫はアーサー・ビナード氏)
演題「言の葉ことばの鼻歌さんぽ」


高校生の頃から書き始めた詩が自分の原点。自分の詩の世界があるから、今の絵本の世界もある。
十七歳の時の詩「猫のように ぶるぶるってできたら とっても楽になれるのに」がスタート。
長谷川義史さんの絵とコラボの動物シリーズの詩の一つ「人生はしがみついてなんぼです(コアラ)」。
力づくや教訓でなく、楽しく納得させるのが、詩人の力。表記でも遊べる(例:あ” 、ラュ)。
しっかり観察し、資料を集め、どういう切り口で表すか、考える。
どこに焦点を当てるかが大事(何でも入れると、説明的になってしまう)。
私らしい新しい何かを書きたい(作家魂)。日常をどう生き、どう心を寄せるかが問われる。
今の子どもたちは、小学校中学年から忙しくなり、本に触れる機会が減っているが、この時期に絵が無くても言葉だけで想像できる力を育てなくては。自分の中に自分の友だちを作れるのは、この頃。その自分を育てておかなくては。10代になると、対応しきれないものが増えるが、本が支えてくれる。孤独や自分の心と対応できる最終的な話し相手は、自分の中の自分。自分の中の友だちや、自分の中にいるさまざまな年齢の自分と出会えることが、豊かさとなる。本は、経験値を上げてくれる。

 ちょっと不思議な涼さんが、素敵な声で自作の詩(『どこへ』『ある日』)を朗読されました。


第3部 対談 15:15~16:30 
木坂涼&アーサー・ビナード「絵本をのみこむべからず」


お二人が大好きだと言う『ワイズ・ブラウンの詩の絵本』を示しながら、立ち上がっての対談。

宇宙開発がいかにお金の無駄遣いで愚挙であるかというのを、漫才のように話して会場は大爆笑。
テレビはバカになるから見ないけど、講演などで必要な時だけ天気予報を見るというお二人。
 涼さん「さっき宇宙船の若田さんが映ってて、お母さんが話しかけてたよ。」
 ビナードさん「息子よ、1000万円の水は美味しいかい?って質問してた?」

翻訳家のお二人からは、ただ意味を追うだけでなくリズムや背景の文化も考えた翻訳が大切と。
 ディズニーは嫌いだから、そこの翻訳は断っているが、今回はその原画が好きな人だったので引き受けたという『不思議の国のアリス』の話。原作者のルイス・キャロルは詩人・文学者・数学者で造語の名人なので、原作の英語で笑えるところは、翻訳の日本語でも笑えるようにした。中に「unbirthday」という、キャロルの造った言葉が出てくる。過去に20人ほどが訳しているが、「非(不)誕生日」や「誕生日じゃない日」など、面白みに欠けていたので、あれこれ考えて「誕生(たんじゃ)ない日」としたのも、工夫の一つ。

『ハエをのみこんだおばあさん』という風刺の効いた絵の絵本がある。のみこんだハエを何とかしようと新たに猫や犬、牛や馬をのみこんで、結局は何も解決できずに死んじゃった、という話である。1940年代にできた次の歌がもとになっていて、アメリカ人はたいていの人が歌える。
 There was an old lady who swallowed a fly. I don’t know why she swallowed a fly. ・・・
 Perhaps she’ll die.
『かいぞくゴックン』という絵本は、楽しんでいるうちに大変なことになっちゃったという絵本。
作家には、社会を見る目が必要。今、自分たちが抱えている問題を、直接教訓的に言うのではなく、楽しみながら伝えたい。語っている大人が学ぶ、大人が考えながら語る。新たに作品を出すためには、今の社会を扱っていること、今の世の中の奥にあるものを、大人たちが見抜くこと。

 言葉にこだわり深いところで理解し合っている、とても感じのいい仲良しのお二人でした。

テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

 亀ちゃん お正月準備 しておられることと。
今年も ブログ 楽しませていただきました。
私も 一年の早さに驚いてます。60才過ぎて いままで見ていなかったことを感じたり、身体は衰えますが、考えたり、感じることが変わってきたようにも思えます。
来年も 素敵なブログ 楽しみにしています。
 息子さんのお料理 本格的で凄いですね。丁寧な料理過程が伺えます。ブラボー!!!
 お正月の準備は適当にやっています。あとは成り行きです。
 年賀状は 言ってたように お出ししていませんよ。
 では 良い お年をね。 来年も 身体大事にして いきましょうね。
【2013/12/30 09:56】 URL | よりやん #- [ 編集]

よりやんへ
こんにちは。コメントをありがとうございます。

>お正月の準備は適当にやっています。あとは成り行きです。
私も適当。ぼちぼち無理せず。BS放送を見たり、本など読みながら。
この頃、難しい本を読むと、すぐ眠くなって、ちょっと困ってます。

>年賀状は 言ってたように お出ししていませんよ。
ありがとう。覚えてくれてたんですね。それなのに、私といえば…
ぼんやりと去年の賀状を見ながら書いてしまったので、届くかもしれません。
言っておきながら、ごめんなさい。吾ながらいい加減なもんです。(反省)

もう60、まだ60なんて、自分に言い聞かせながらの1年でした。
来年は、もう少し体を動かすことを楽しみたいなと思っています。
よりやんも、よいお年をお迎えください。来年もお付き合いよろしくお願いします。
【2013/12/30 13:07】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年8カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !
2017年 9月26日カウンター343434通過



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