心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-今年最後のおススメ
今年最後にご紹介する本は、心に優しい本です。

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村山早紀著『コンビニたそがれ堂』
(ポプラ文庫/2010年・2014年23刷/540円)

著者は、毎日童話新人賞・椋鳩十児童文学賞受賞と、児童文学出身の方。
文章がとても柔らかくて読みやすくて、ほっこり温かい気持ちになります。
風早の街、駅前商店街、不思議なコンビニ「たそがれ堂」、どこか懐かしい情景です。
5つの短編集。時々ほろりとなりながら、よかったなあという気持ちで読み終わります。

『コンビニたそがれ堂 空の童話』
(ポプラ文庫/2013年/640円)

先のお話と舞台は同じ。シリーズ第4弾です。
4つの短編ですが、どれも『空の童話』という本がどこかで関わり、本好きにはたまらないお話ばかりです。漫画家、編集者、駅前商店街の書店の店主と店員とお客さんたち、女医さん、誰もが何かを抱えながら一生懸命生きているのです。
「大事な探しものがある人は必ずここで見つけられるという」コンビニたそがれ堂、あなたも訪ねてみませんか。


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今年は飛蚊症がひどく、読みたい本は山積みだったのですが、残念ながらセーブして170冊の読書でとどめました。短歌や俳句の本は相変わらず多いのですが、今年は雑誌「MOE」に、大好きな「ムーミン特集」や「3月のライオン特集」があったので、嬉しくて買いました。こういう本は無条件に安らぎますね。


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土屋文明著『新編短歌入門』
(角川文庫/昭和34年初版・昭和45年改版初版・平成元年改版7版/440円)

今読んでいるこの本(原本は昭和12年発刊の『短歌入門』と昭和19年出版の『短歌小径』)が面白いです。読者アンケートにより平成元年に限定復刊された文庫本で、字も小さく紙も日に焼けているのですが、文明氏の叱責が、生の声を聴いているようで人間味があって親しみを感じます。「塔」誌を初校しながら感じていたのと同じことが書いてあって、「なんだ、昔もそうだったんだ。」と思わずつぶやいたのが、以下の文章です。
P85の半ば
ただいま年刊歌集原稿の整理にかかっているが、誤字、仮名づかいは何年繰り返してもほとんど改まっていない。歴史仮名づかいを否定するとか言うのならばそれも一つの立場であろう。しかし現在われわれの遭遇するのは皆不用意不注意からのまちがいである。この程度の機械的のことについてさえ鈍い神経が、どうして言葉の洗練を要する短歌の製作に進みうることができようかとさえ思うことがあるくらいである。

初心者の歌を例にひいて解説・添削をしているところなど、
「字引を引けばすぐわかることで、こんなことまでを、その方面は素人で不得手なわれわれに添削させていたのでは本論にはいらぬうちに、われわれはへこたれてしまう。」
と、お気の毒なほど怒り疲れておられる。現代の選者の先生方が読まれたら、共感しきりの文面だろう。私は叱責される側として、文明氏の真剣な言葉を直接伺う気持ちで、時々「そうですよねえ」と相槌を打ちながら読んでいる。

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 朝焼けです。斜めの角度で見苦しいですが…。今年も空をいっぱい眺めることができました。

 一年間お付き合いありがとうございました。
               体に気をつけて、よい年をお迎えください。



12月31日追記:土屋文明著『新編短歌入門』を読了し、これだけは忘れないように記録しておかねばと思ったことを本書より引用します。「短歌の現在および将来について」より

P205
(短歌は)少数の有閑者の玩弄物だというふうなところに目安をおいておる人もあるようでありますが、われわれ(土屋文明は昭和期「アララギ」の事実上の指導者)はそういうふうには考えない。むしろ短歌というものは、いちばん真剣な生活者、広い意味での勤労者の文学だ、というのが今までの歩んで来たところであり、今後行くべきところはそこになければならないんじゃないか、というふうに考えております。
先ほど申しました製作者が受用者といっしょになってしまう文学だということにやはり関連しますが、そういう点からいえば、短歌というものは、けっして一つの英雄を作り出す文学ではなく、一つの天才をめぐる文学ではなくて、同じ立場に立ち、同じ生活の基盤に立つ勤労者同士の叫びの交換である。


正岡子規の短歌革新をまっすぐ受け継いだ土屋文明氏ならではの珠玉の言葉がいっぱい詰まった本でした。歌に対する考え方もいろいろありますし、一人の人間の中でもその時々によって揺れがありますが、この本に書かれていることは基本的に大切なことだと感じました。最後に、そこからほんの一部だけ引用して、私の作歌の依るところとしたいと思います。

P40
☆歌であるからその内容は説明してない、また説明してないところがかえって純粋に抒情的に響くのであります。
☆現実であって現実以上に通ずるのが歌の、詩の本質でありましょう。本来現実以上のものなのであるから求めて、あるいは作って現実を遊離しようとする夢幻的の歌というものは幼稚なゆき方といわざるをえないのであります。

P132
☆他人の作の価値を十分に理会するということは、作者として最も重要な性格であると私は思う。他人の歌品の美点の見えぬ人、古来の作品に対して全身的に傾倒しえぬ人、それは作者としての第一条件の欠けている人だと私は思う。


     今年の締めくくりにこの本が手に入って読めたことに感謝しています。



テーマ:読んだ本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

こんにちは。


今年もたくさんの素敵な本やいろいろなものたちを紹介してくださってありがとうございました。
ここを通じて紹介してくださった本や言葉やものたち・・・
こころに響くもの、こころに沁みるもの・・・たくさんありました。
だくさんの出会いのチャンスを、本当にありがとうございました。


イヴの日に職員室で転んでしまって、びっこのまま今日になってしまいました。
湿布が効いているときはマシだったのですが、肌が荒れてしまってもう湿布もできない。
大掃除も買い出しもあきらめて、これは神さまがくださった休暇・・・ってことにして読書三昧。
古い本を掘り起こして読みなおしています。

朝焼けの写真・・・素敵ですね。
勤務先が遠いので、お洗濯物を干すのがいつも朝焼けと一緒です。
この写真はもしかしてあの日?って思い当たる日があります。


お身体、大切になさって、ご家族とも健康で
良い年をお迎えくださいね。


【2014/12/31 11:08】 URL | kimico #Zr2/WiYY [ 編集]


こんにちは。

ムーミンがお好きなんですね♪
絵心のない私ですが、スナフキンとミーだけは書けるという特技?を持っています(笑)

それにしても年間170冊!それでも十分すごいです。
ゆっくり本に触れる時間を持ちたいと思いつつ、買うのは仕事関連の本ばかり。
徒歩1分のところに図書館があるというのにもったいないですよね。

今年はこうしてまた大空の亀さんに会いに来る時間も持てるようになり嬉しく思っています。
来年ものんびり写真をしたいと思いますので、よろしくお願い致します。
良い2015年をかわいいニャンズとお迎えくださいね^^
【2014/12/31 11:16】 URL | bianca #cK8v8HAk [ 編集]

kimico さんへ
こんにちは。ぽかぽか暖かい大晦日ですね。

>イヴの日に職員室で転んでしまって、びっこのまま今日になってしまいました。
せっかくの冬休みだというのに、災難でしたね。早く治りますように。

>大掃除も買い出しもあきらめて、これは神さまがくださった休暇・・・ってことにして読書三昧。
そうですね。ものは考えよう。たまにはそんな年越しもあり!ですね。
kimicoさんくらいの年が一番働き過ぎるので、まさに「神様が下さった休暇」。
のんびりと日頃の疲れをとって下さいね。

私は、お節料理を作り終え、掃除もざっくりとですが完了!
あとは、のんびりと読書と編物三昧で過ごそうと思っています。至福の時ですね。

ご家族の皆さま、よい年末・年始をお過ごしください。
【2014/12/31 15:07】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

bianca さんへ
お久しぶりです。コメントありがとうございました。またお話できて嬉しいです!

のちほど、そちらのブログに訪問&リンクをさせてもらいますね。

>スナフキンとミーだけは書けるという特技?を持っています。
どちらもちょっとスネものですね。(笑)
そうかあ、描くってこと、ちっとも思いつかなかったけど、描けると嬉しいですね。

>ムーミンがお好きなんですね♪
そうなのです。そんなにお話を読んだというわけではないのですが、あの世界とムーミンの水色が好きなもので、見ると幸せになります。

>徒歩1分のところに図書館があるというのにもったいないですよね。
なんと素晴らしい環境!私は、仕事帰りの駅前で借ります。
先日も10冊予約して、届いたのから読み始めたのですが、付箋だらけになったので、比較的安い本だけですが半分買いました。
すぐ線を引きたくなるから、結局、買った方が時間のロスがないのです…。

biancaさんの写真をまた拝見できるの、とても楽しみです。
来年もよろしくお願いいたします。ハオもミューもただいま爆睡中。
【2014/12/31 15:20】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


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プロフィール

大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !
2017年 9月26日カウンター343434通過



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