心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-マルクス・アウレーリウス『自省録』
  IMG_4099201506.jpg

 何かにあった時にはいつもこの本を読むと、誰かが書いていて興味を持ちました。

マルクス・アウレーリウス/神谷美恵子訳『自省録』
岩波文庫/1956年第1刷・2007年改版第1刷・2015年第13刷/840円

訳者序より
プラト―ンは哲学者の手に政治をゆだねることをもって理想としたが、この理想が歴史上ただ一回実現した例がある。それがマルクス・アウレーリウスの場合であった。大ローマ帝国の皇帝という地位にあって多端な公務を忠実に果しながら彼の心はつねに内に向って沈潜し、哲学的思索を生命として生きていた。・・・折にふれ心にうかぶ感慨や思想や自省自戒の言葉などを断片的に書きとめておく習慣があった。それがこの『自省録(原題「自分自身に」)』として伝わっている手記(全12巻)である。


訳者解説より
西暦121年~180年。享年58歳。死の直前、意識朦朧としていたとき「戦争とはこれほど不幸なことか」とつぶやいていたという。彼はなによりの平和愛好者で、戦争は人間性の不名誉であり不幸であるとしており、・・・不幸にして彼の在任中はほとんど絶えず戦争が続き、最期も戦塵の中に遂げなくてはならなかった。
彼は在任中、仁政によって万人の敬愛を一身に集めていたので、死後一世紀の間多くの家では彼を家の守護神の一人として祀っていたという。・・・マルクス・アウレーリウスの統治には彼独特の思想的背景がにじみ出ていた。正義、博愛、社会連帯感情等が彼のなすことを特徴づけていた。

*文中「君」とあるのは自己にたいする呼びかけであって、いわば自己との対話ともいうべきものであろう。

  自省録マルクスアウレーリス マルクス・アウレーリウス『自省録』

私が印を付けた言葉から少しだけ引用。
第4巻
17 あたかも一万年も生きるかのように行動するな。不可避のものが君の上にかかっている。生きているうちに、許されている間に、善き人たれ。
18 隣人がなにをいい、なにをおこない、なにを考えているかを覗き見ず、自分自身のなすことのみに集中し、それが正しく、敬虔であるように慮る者は、なんと多くの余暇を得ることであろう。〔他人の腹黒さに眼を注ぐのは善き人にふさわしいことではない。〕目標に向かってまっしぐらに走り、わき見をするな。

第5巻
1 ・・・いったい全体君は物事を受身に経験するために生まれたのか、それとも行動するために生まれたのか。小さな草木や小鳥や蟻や蜘蛛や蜜蜂までがおのがつとめにいそしみ、それぞれ自己の分を果して宇宙の秩序を形作っているのを見ないのか。
24 普遍的物質を記憶せよ。そのごく小さな部分が君なのだ。また普遍的な時を記憶せよ。そのごく短い、ほんの一瞬間が君に割りあてられているのだ。さらに運命を記憶せよ。そのどんな小さな部分が君であることか。

第7巻
2 ・・・私は物事について自分の持つべき意見を持つことができる。それができるなら、なぜ私は心を悩ませるのだ。私の精神の外にあるものは、私の精神にとってなんのかかわりもない事柄だ。このことを学べ、そうすれば君はまっすぐに立つ。・・・
59 自分の内を見よ。内にこそ善の泉があり、この泉は君がたえず掘り下げさえすれば、たえず湧き出るであろう。


 この大皇帝にも思い悩む嫌なことがいっぱいあったのだと思います。ただ、それに思い煩わされることを忌み、自身を叱咤激励することで乗り越えようとした人だったのでしょう。神や宇宙への壮大な観点、仏教の悟りに通じる無常観、表現を変え自らに幾度も言い聞かせる自省の言葉、ここにはその一部しか書けませんでしたが、どれも魅力的でした。何かがあった時、他人を責めるだけでなく自らを省みる、そんな姿勢が私にも今の時代にも欠けていることに気付かせてくれた一冊でした。

  IMG_4103201406.jpg

テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント
自省録
自省録、私もとても好きです。
神谷美恵子さんのお仕事にも感銘を受けました。
以前京大の近くの小さなギャラリーで回顧展が開かれていて
行けばよかったなあと今だに悔やまれます。

職場の上司も、自省録を好きだと言っていました。
注を読むとだんだん読めなくなる、といったことを
仰っていて、たしかに…と思いました笑。
【2015/06/27 18:06】 URL | 宮岡絵美 #64TjWBNY [ 編集]

宮岡絵美さんへ
こんばんは。コメントありがとう!
おおー、『自省録』すでに愛読書でしたか。
絵美さんは若いのに、「とても好き」と言えるなんて、素晴らしいですね。

私は、カタカナの名前と翻訳文が苦手で、元「洋書」はつい避けてしまいます。
若い時、結構哲学書を読んだはずだったけど、字面だけ追って理解してなかったんだろうなって恥ずかしく思います。

この本は、翻訳がいいのでしょうね、ある種の詩を読んでいるみたいでした。
(注)は、頭が混乱しそうなので、パスしました…。
【2015/06/27 21:12】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]

座右の書のひとつです
御無沙汰しております。
たまたま、甕様お元気かしら?とブログを開いてみましたら
なんとなんと『自省録』を取り上げていらしてびっくり!
どんなに助けられた本であったことか・・・。
・・自分の内を見よ・・はあまりに有名な文章ですね。幾度この
箇所へ立ち返ったことでしょう!!


訳者の神谷美恵子さんの精神性や生き方にも共感し心から
尊敬しています。いくつかの著作を通して感じるのは心の風景
のとても美しい方だと思います。

甕様どうぞお元気でこれからも素晴らしい本の数々をアップな
さって下さいね。
時々またのぞかせて頂きたいと思ってます。

【2015/06/27 22:22】 URL | 初夏 #- [ 編集]

初夏さんへ
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
読書家の初夏さんの愛読書でもあったのですね。

コメントを下さったお二人の、神谷美恵子さんへの尊敬ぶりに、遅まきながら私もきちんと読まねばと、先ほど神谷美恵子さんの本を購入しました。
正直、私の中では、お名前を聞いたことはあっても、著作までは至らない存在だったのですが、今回の本のおかげで、新しい出会いができました。

落ち着いて、よい本を読んでいきたいと思います。
また、気が向いたらお訪ねください。(亀より)
【2015/06/28 07:41】 URL | 大空の亀 #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://kamenoashioto.blog52.fc2.com/tb.php/689-ce1c1250
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年8カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
2008年 9月 8日カウンター111111通過
2011年 5月 4日カウンター200000突破 !
2012年 1月10日カウンター222222通過
2014年 9月15日カウンター300000突破 !
2017年 9月26日カウンター343434通過



カテゴリー



最近の記事



最近のコメント



リンク

このブログをリンクに追加する



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カウンター



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード