心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
心に響く本-新書とコミック
 今回の心に響く本は、新書とコミックです。

梯久美子著『百年の手紙-日本人が遺したことば』

       hyakunenotegami.jpg (岩波新書/2013年/800円)

簡潔にまとめてあって読みやすいのに、感動的な内容でとてもいい本でした。
二十世紀の百年間に、日本人が書いた手紙の中の印象的な一部が引いてあり、見開き2ページに人物紹介とその手紙のいきさつが紹介されています。
また、百通あまりの手紙の出典になった書名が示されているので、読書案内としても役立ちます。どのページもよい内容で感動しましたが、ここでは少しだけ引用します。(色つき文字)

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足尾銅山鉱毒被害の救済運動に尽くした田中正造が、死の前年に日記に書きつけた言葉
「真の文明ハ山を荒さず川を荒さず村を破らず人を殺さざるべし」

日露戦争の兵士が母校の教師や先生に送った手紙
「戦場は時ならぬ血の川を形成し、実に見る人をして戦闘なるものはかくも悲惨なるか、かくも惨烈なるかの感情を喚起せしめ申し候」

井伏鱒二が、原発の危険性を告発した松本氏の手記に寄せた序文の一節(昭和53年)
「『放射能』と書いて『無常の風』とルビを振りたいものだ」

佐藤総理に死をもって抗議した由比忠之進の抗議書の一部
「毎日毎日、新聞に雑誌に表される悲惨きわまる南北ベトナム庶民の姿。いま米国が使用している新しい兵器の残虐さは原水爆のそれにも少しも劣らない」

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新美南吉は四歳で母と死別、父の後妻がすぐに男の子を産み、母の実家の養子となった。近所の人から「おとなしいのい」と言われただけで涙ぐむような少年だったという。 (読むと必ず私が泣いてしまう) 『ごんぎつね』は18歳、『手袋を買いに』は20歳頃の作という。
29歳で亡くなった新美が元教え子に書いた手紙
「たとい僕の肉体はほろびても、君たち少数の人が僕のことをながく憶えていて、美しいものを愛する心を育てて行ってくれるなら、僕は君たちのその心に、いつまでも生きているのです」


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学徒兵中村徳郎の遺書
「今の自分は心中必ずしも落ち着きを得ません。一切が納得が行かず肯定が出来ないからです。いやしくも一個のある人格を持った「人間」が、その意志も行為も無視され、尊重されることなく、ある一個の、訳も分からない他人の、一寸した脳細胞の気まぐれな働きの函数となって左右されることほど無意味なことがあるでしょうか」

シベリア抑留中に亡くなった山本幡男の遺書
「君達はどんなに辛い日があらうとも、人類の文化創造に参加し、人類の幸福を増進するといふ進歩的な思想を忘れてはならぬ。偏頗で矯激な思想に迷ってはならぬ。どこまでも真面目な、人道に基く自由、博愛、幸福、正義の道を進んでくれ。最後に勝つものは道義であり、誠であり、まごころである」


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 今の政治情勢を見ていて、引用した文章も、戦争に関連したものが多くなりましたが、こんなに心を打つ手紙を遺した人々が、無惨な死に方をしたかと思うと辛くてなりません。彼らの遺志を継いだ世代の者として、絶対戦争をする国にしてはいけないと強く思います。
この本には他に、「愛する者へ」の章立てで、恋人・妻や夫・子ども・友人にあてた手紙も載っていて、相手を思う気持ちをしみじみ味わうこともできます。
メール全盛の時代ですが、「手紙」、見直したいですね。


水寺葛作『10ミニッツメイド』

 minitumeido2015.jpg (講談社/2015年)

突然登場して10分間だけ望みを叶えてくれるメイドさんは、家事の達人。9つの話が入っているコミックで、上手いなと思いました。発想がユニークで、絵も好みでした。汚れやシミのとり方が面白く、読み終ってから試している私がいました。

テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴33年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 11年6カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
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