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心に響く本・詩歌・言葉・音楽・風景
私の読んだ本や聴いた音楽、出会った風景の中から心に響いたものを紹介します。
森まゆみ著『子規の音』
森まゆみ著『子規の音』 2017年4月発行/新潮社/2,100円

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表紙の絵は、子規の友人、中村不折画「朝顔を持つ少女」

 正岡子規について書いてある本は、今までにも何冊か読んだことがあるが、これは、東京生まれの著者ならでの土地勘が効いた一冊で、とても良かった。子規の足跡を膨大な資料と現地訪問とで丹念にたどった力作で、子規や周りの人たちの声が聞こえるような親近感を覚えた。

  たくさん引用されている俳句や短歌も、その背景とともに読むと更なる面白さがあり、魅力が増すと思った。ただ、松尾芭蕉の「奥の細道」を、1ヶ月ほどかけてたどった時の子規の句には、やたら「涼し」が多くて笑ってしまったけれど…。

 肺を病んで喀血してからも、子規は恐ろしく行動的で実にたくさん旅をしている。文章中に「見たがりの子規、新し物好きの子規、競争心の強い子規」とあったが、ほんとにその通りで、頭の元気に体の元気が追いつかず、生き急いでしまったのだと思った。

 子規の支援者であった「日本」新聞社主の陸羯南(くがかつなん)、叔父の大原恒徳と加藤拓川、母の八重と妹の律、親友の夏目漱石、門人の高浜虚子・河東碧梧桐・伊藤左千夫・長塚節、寒川鼠骨など、最期まで人に恵まれていた子規である。

 病床についてから七年、体に出来た穴から出る膿とその痛みに耐えながら、「墨汁一滴」「仰臥漫録」「病牀六尺」と書き綴っていった、子規の気力と明晰さは驚異的だ。「日本」新聞の同僚古島氏の言葉「骨盤は減ってほとんどなくなっている。脊髄はグチャグチャに壊れて居る、ソシテ片っ方の肺が無くなり片っ方は七分通り腐っている。八年も持ったということは実に不思議だ実に豪傑だね」

  「悟りという事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思って居たのは間違いで、悟りとはいう事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であった」という子規の言葉は、何回出会っても心に突き刺さる。こんなに辛い状況であるのに、読後感が明るかったのは、「生ききった」子規を感じたからでしょうか。

PS:図書館で借りて読んだのですが、やっぱり手元に欲しくて買いました。

 12月14日、この冬二度目の雪です。
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早速デッキに出て、足跡を付けたのは雄猫のミュー。

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毎朝ストーブの前に陣取るのは、雌猫のハオ。

テーマ:オススメの本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

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大空の亀 

Author:大空の亀 
写真の猫は姉のハオと弟のミュー。
ハオは2006年5月5日生(伝)。
ミューは2008年10月10日生(伝)。

空と言葉と草木花が好き。
趣味は読書・文芸。

読書ノート歴34年。
年間読書冊数の平均は、学生時代は
300冊、就職後は100冊~150冊。

ブログ歴 12年4カ月
2006年 3月17日から始めました。
2006年 9月 9日カウンター22222通過
2007年10月24日カウンター77777通過
2008年 5月23日カウンター100000突破 !
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